前回に続いて
今回もまた別の角度から四十肩五十肩の原因を考えていきます。
原因の特定が困難な肩の痛みはまとめて「四十肩、五十肩」と
呼ばれていますが、その中でも一つ、病名がはっきりしているものがあります。
それは「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」というものです。
ある日突然、特に寝ている時などに強烈な肩の痛みを感じる(夜間痛)ことで
自覚することから始めるケースが多い肩の痛みです。
俗にインナーマッスルと呼ばれる肩周りの細かな筋肉を「腱板(けんばん)」または「ローテーターカフ」などと言ったりしますが、
そこにリン酸カルシウムが溜まり
結晶化することで腱板に炎症が突如として発生するというものです。
名前が明確になっている肩の不調だけあってこの症状は四十肩五十肩の中でも
もっとも初期症状が重く、長期間肩の痛みに悩まされる難敵です。
40~50代の女性に多いとされていますが実際は多くの男性も悩まされています。
カルシウムと聞くと、「骨を強くする栄養素」として幼いころに大人たちからなんとなく教わってきたという経緯から「身体に良いもの」であり「たくさん摂っても大丈夫」だと考えて、牛乳やヨーグルトなど乳製品を積極的に摂るようにしている人も多いでしょう。
カルシウムは確かに重要ですが、
だからと言って過剰摂取はやはり体に良いものではありません。
ビタミン、特に水溶性ビタミンと呼ばれるビタミンBやCは汗や尿とともに体外へ排出されていきがちなのであまりにも非常識な量を摂取するということでもない限り過剰にはなりませんが、カルシウムは身体に蓄積されると簡単には排出されないのです。
カルシウムを過剰に体内に蓄積させないために必要なのがマグネシウムという栄養素なのですが、これを積極的に摂っているという人は少ないでしょう。味としては「豆腐のにがり」のようなにがい味ですので、文字通り美味しくありませんから、マグネシウムが入っている食品、食材は自然とその摂取量が少なくなりがちになります。
国と国の力関係のように、マグネシウムとカルシウムのバランスが体内で取れていることが重要なのですが、その均衡が崩れすことで様々な影響が身体に発生します。
この石灰沈着性腱板炎はまさにカルシウムが筋肉内に溜まり、マグネシウムが不足していることで起こっていると判断してよいと考えられます。
肩の痛みというと整形外科的な関節の問題として考えてしまいがちですが
実は栄養素から来ているということも考えられるわけですね。
好きなものばかり選んで食べるという習慣を長年続けていることも
肩の痛みの原因の一つになっているのかもしれません。
では、なぜカルシウムが、ある日突然肩の筋肉に溜まるのか、ということは次回以降に説明していきます。