スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

四十肩五十肩の原因について②

前回に続いて

今回もまた別の角度から四十肩五十肩の原因を考えていきます。

 

原因の特定が困難な肩の痛みはまとめて「四十肩、五十肩」と

 呼ばれていますが、その中でも一つ、病名がはっきりしているものがあります。

 

それは「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」というものです。

 

ある日突然、特に寝ている時などに強烈な肩の痛みを感じる(夜間痛)ことで

 自覚することから始めるケースが多い肩の痛みです。

 

俗にインナーマッスルと呼ばれる肩周りの細かな筋肉を「腱板(けんばん)」または「ローテーターカフ」などと言ったりしますが、

そこにリン酸カルシウムが溜まり

結晶化することで腱板に炎症が突如として発生するというものです。

  

名前が明確になっている肩の不調だけあってこの症状は四十肩五十肩の中でも

もっとも初期症状が重く、長期間肩の痛みに悩まされる難敵です。

40~50代の女性に多いとされていますが実際は多くの男性も悩まされています。

 

 

カルシウムと聞くと、「骨を強くする栄養素」として幼いころに大人たちからなんとなく教わってきたという経緯から「身体に良いもの」であり「たくさん摂っても大丈夫」だと考えて、牛乳やヨーグルトなど乳製品を積極的に摂るようにしている人も多いでしょう。

 

カルシウムは確かに重要ですが、

だからと言って過剰摂取はやはり体に良いものではありません。

ビタミン、特に水溶性ビタミンと呼ばれるビタミンBやCは汗や尿とともに体外へ排出されていきがちなのであまりにも非常識な量を摂取するということでもない限り過剰にはなりませんが、カルシウムは身体に蓄積されると簡単には排出されないのです。

 

カルシウムを過剰に体内に蓄積させないために必要なのがマグネシウムという栄養素なのですが、これを積極的に摂っているという人は少ないでしょう。味としては「豆腐のにがり」のようなにがい味ですので、文字通り美味しくありませんから、マグネシウムが入っている食品、食材は自然とその摂取量が少なくなりがちになります。

 

国と国の力関係のように、マグネシウムとカルシウムのバランスが体内で取れていることが重要なのですが、その均衡が崩れすことで様々な影響が身体に発生します。

 

この石灰沈着性腱板炎はまさにカルシウムが筋肉内に溜まり、マグネシウムが不足していることで起こっていると判断してよいと考えられます。

 

 

肩の痛みというと整形外科的な関節の問題として考えてしまいがちですが

 実は栄養素から来ているということも考えられるわけですね。

 

好きなものばかり選んで食べるという習慣を長年続けていることも

 肩の痛みの原因の一つになっているのかもしれません。

 

 では、なぜカルシウムが、ある日突然肩の筋肉に溜まるのか、ということは次回以降に説明していきます。

四十肩五十肩の原因について①

ブログ記事がフィットネス業界についての話題やその他の話題が中心になってきているのでトレーナーとして身体のことについてしばらく続いて書いていきます。

ダイエットに関するものでもよいかと思いましたが

多くの人の悩みである肩の問題、四十肩五十肩について書いていきます。

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いかにも年を取ったから現れてくるような名前の”肩痛”ですが

この痛みの特徴は

・ある日突然いきなり痛くなる

・ひどい時は腕を挙げるだけでつらい

・長い人では数年という単位でその痛みが続く

という本当に厄介なものです。

この原因はいったい何なのでしょうか?


結論から先に言ってしまうと「使わなずぎ」ということになります。

肩の関節や筋肉を十分に使っていない状態が続いた結果、
ある日突然痛みが出るということですね。


一日中腕を動かしているような仕事をしている人がいる一方で
反対に一日中PC作業でほとんど腕を動かしていないという日々を
過ごしている人も多いかと思います。

(私個人としてはこちらが原因となっている人の方が
ずっと多いのではないかと感じています)


肩の内部にある筋肉を「腱板」と呼びます。

(ネット検索「腱板」で画像やイラストはすぐ表示されます)

腱板は非常に細くて小さな筋肉なのですが、人の身体の腕と胴体部分を

直接的につなげているのがその腱板なのです。


筋肉は使わないでいると、その筋力は低下しますし柔軟性も低下してきます。

腱板も同様で、運動やトレーニングによる刺激というものが

無ければどんどん委縮していきます。


そこに「腕自体の重さ」というものが負担として腱板にかかってきます。

腕の重さというのは体重の7~8%と言われており、

50㎏の人であれば3~4㎏がその重さになります。


長年十分に肩や腕を動かしていないことによる

腱板の筋力低下、柔軟性低下に対して「腕自体の重さ」というのが

変わらない(むしろ体重増加で重くなる)ということが続いていけば

その負担はしわ寄せとなってある日突然どこかのタイミングで

痛みとして発生するということは十分に「原因」として考えられるものです。


みなさんの日常生活の中で腕や肩を十分に動かすというシーンが

あるか、イメージしてみてください。

気が付くと「頭を洗う時」や「洗濯物を干すとき」くらいしか

腕を持ち上げるようなことをしてないで、後はほとんど腕が下がっている

ということがないでしょうか?

そんな「肩~腕の運動不足」は「四十肩五十肩の原因」になっているかも知れません。


次回も「原因」について考えていきます。

ゴルフ場の現状から考えるフィットネスクラブの今後

もうかなり前のこと、と言っていいでしょうか、

プロゴルファーの片山晋呉がプロアマの大会で同じグループの参加者を無視して一人だけ別行動をとっていたことが問題となりました。

私はゴルフをしないので今回の一件で

プロアマという大会(プロ選手がお客様へ行う接待ゴルフ)の

意味やゴルフの現状を改めて知った次第です。

 

ゴルフと言えばプロスポーツの中でも大きなお金が動く競技で、丸山茂樹ジャンボ尾崎などの選手の名前は私のようなゴルフを知らない人にもその名が知られているくらいのメジャースポーツ、というのはもはや完全に時代遅れで過去の話の様です。

かつてはゴルフ場の利用者となる「会員権」も数百万円から1千万円程度というけた外れの金額でしたが、今では会員権など持っていなくてもだれでも1日数千円でプレーができるくらいまで価格が下がっています。

 

スター選手不在も相まってゴルフ人気が下がるにつれスポンサー離れも著しいようで、かなりの数の大会が開催されなくなり、大会の賞金も減ってきているとか。

 

確かに、ゴルフというとおじさんのスポーツ(というかゲーム)という印象が強いですし、ポロシャツをズボンの中に”イン”してプレーするというのは見た目にもダサいとは思います。

 

このゴルフ場の変化ぶりはフィットネスクラブにも完全に当てはまります。

かつては入会金だけで数百万円、さらに年会費、その他利用料などとにかくお金がかかるお金持ち専用施設だったフィットネスクラブですが、現在では大手クラブの「正会員」の料金である1万円前後の金額ですら「高い」と感じるようになるほど価格破壊が進んでいます。

 

そしてそのどちらも主要なお客様となっているのが高齢者です。

健康に対する意識、関心が高く、仕事も引退していて時間があるため昼間からトレーニングや運動に時間を充てられるのはその年代の人くらいしかいないことは確かです。

 

そして現在のゴルフ場(特に高級感を売りにして始まったところ)の多くは「ゴルフコース意外」の要素でお客様を取り込もうと必死だそうです。

広いお風呂やレストランや喫茶室のラグジュアリー感、そこで出される料理やスイーツなどが売りになっているようです。

まるでちょっとした旅館ですが、ゴルフをしない人でも小旅行感覚でゴルフ場まで足を運んでもらい、はじめは料理目当ても何かのきっかけにゴルフをやってもらおうということのようです。

 

フィットネスクラブ、特にフィットネス業界最大手3社(コナミ、セントラル、ルネサンス)はこのゴルフ場の戦略をまるまるモノマネしているかのようで、それが広告にも表れています。フィットネスクラブなのに「天然温泉」が前面に押し出されていたり、エステやマッサージルームが大きく広告の範囲を占めていることがここ最近目立ってきています。

もはや本来の「フィットネス=運動」はどこへやらという印象ですね。

 

ゴルフ場の動向から推測できるの今後のフィットネスクラブのキーワードは「飲食」になるかと思います。食べ物というのが健康に占める割合は運動よりも大きいわけですし、「ゴルフがおまけ」になっている現在のゴルフ場に同じく、

「運動がおまけ」になりつつあるフィットネスクラブでは「レストラン」や「料理」が主役になってしまうのではないかということですね。

 

タニタ食堂DNSカフェなど「健康食」がテーマになっている飲食店は増えてきていますので、もはや手あかがつくほど開発され屈されたスタジオプログラムに代わり、今後はどこかのタイミングで飲食店と共同でフィットネスレストランがどこかのクラブ内に作られるようになるのではないかと思います。

 

ライザップとか、やりそうだな~。

2018東京ボディビル選手権

先週の日曜日19日は東京ボディビル選手権大会が行われました。

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ミスター東京とミス東京を決めるこの大会から日本代表クラスの選手達が多く生まれています。

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まず今年の大会で目立っていたのはフィジークやフィットネスビキニの参加選手の多さです。特にここ数年続くフィットネス系のコンテストブームの影響もあってか、男子フィジークの参加者が非常に多い!

本当かどうか不明ですが240人もいたそうです。

本戦のボディビル開始前の朝9時頃から予選があったということでした。

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ベストボディの優勝者や上位入賞やもかなり出場していたようで、中には有名な筋トレYouTuberもいたようです。

(私は知りませんでした😅)

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過去の他の大会で成績を残している選手の身体はやはり筋肉の密度や厚みが他の選手と比べて雲泥の差でした。

舞台慣れしていることもあり、ポーズを取るときのプレアクションも滑らかです。

 

フィットネスビキニの参加者はみんなモデル並みの身長と顔立ちです。

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ボディビル、フィジーク、ビキニというジャンルの違いは一般の人には中々理解が難しいかと思いますが、目指す身体のイメージやスタイルがそれぞれ大きく異なっているのが会場にいるとわかりますね。

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本戦のボディビルになるとやはり身体が別格です。

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昨日惜しくも準優勝に終わった白井選手が今年は優勝かと思われましたが、結果はなんとまた今年も2位!

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参加者の中では比較的小柄な松本選手が優勝でした。1分間のフリーポーズでバク転を見せてくれたのが松本選手でしたが、もしからしたらそのポイントも入ったかも知れません。

 

個人的にとても気になったのは女子のフィジークです。

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優勝した阿部選手の腹筋は男以上の大きさとカットで思わず目を見張ります。

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また来年もどんどん参加者も増えてレベルの高い大会になって行くかと思いますが、それに比例するように大会時間の長さが増して行くのは運営側の工夫で改善してもらいたいところですね。

ボディビル本線が始まるのが11時ごろでしたが、最後のポーズダウンで優勝者が決まったのは19時を過ぎていました。

 

これでは観ている方はどうしてもダレるし、飽きを感じてしまうことは否めません。

 

選手にしても長時間緊張を維持しなくてはいけないのはかなりの負担なはずです。

 

フィットネスが広まって来ている今こそそうしたら工夫をして一般のファン、ボディビルという競技自体のファンを増やせるように運営側は大会にイベント性を持たせる工夫をして欲しいと思います。

フィットネスクラブのチーフやマネージャーは「正しいクレーム」の見極めを!

フィットネスクラブというところはその形式上、

人とのつながりが色々な場面で発生します。

飲食店などと違い、他人同士が同じ場所で運動を共有する

というのは数あるサービス業の中でも面白い形式だな、と改めて感じます。

 

そんな特殊性から良い面もあり悪い面もまた数多く生まれます。

 

会員の皆さんからクラブへ対しては毎日のようにありとあらゆるクレームが発生します。直接言いにくい場合もあるのでアンケート用紙をロッカールーム等に用意しているクラブも多いでしょう。

「室内が暑い・寒い」

「掃除が行き届いていない」

などの施設に関するクレームや

 

「レッスンが難しい」

「もっとこのクラスを増やしてほしい」

などのプログラムに関するクレームが多いのですが、中には

「ロッカールームにテレビを付けろ」「電子レンジをつけろ」などというわがままそのものと言ってもいいような投書もあります。

 

もっとも厄介(と言ってはいけないかも知れませんが)なのは現場のスタッフやインストラクターに対するクレームです。

「教え方が下手」とか「分かりにくい」というような意見や

「スタッフ側が明らかに失礼な対応をした」ということであれば、お客さんのクレームは「ごもっともなご指摘」ですが、

「そこを指摘されてもどうにもできない」という点を指摘してくるお客さんがどこのクラブにも1人や2人はいます。 

 

最も多いのがスタッフやインストラクターの

「ちょっとした一言や言動に対するご意見」でしょう。

簡単に言えば「気にいらない態度や言葉遣いだった」ということですね。

 

もちろん本人に直接言えることではないですので、より立場が上のスタッフ、つまりチーフやマネージャーといった役職者のところに行って

「あの時あの人はこう言った」「こんな態度をしていた」

という報告をします。

 

そして”ありがたいことに”

そいうったお客様はご自身の過去の経験やフィットネスクラブに対する思い入れもそのクレームに合わせて非常に時間をかけて説明してくださることが多いです。

しかし、そのご指摘をいただくポイントが本当にピンポイント過ぎて施設側や当の本人(スタッフ側)はどうにもできないことの方が大半なのです。

 

実際に私が見てきた現場の例を挙げると

「頑張りましたね~!」

というトレーナーの言葉に反応された会員さんが

時間をかけてジムエリアのチーフに「あの言葉はないんじゃないのか」ということを延々とお話されていました。

今までなかなかダイエットに成功しなかったのに意識を変えて食べるものをガラリと変えたところ、体重や体脂肪が減ったというのです。

それをトレーナー(そのお客さんが頻繁に参加するスタジオプログラムの担当者)に伝えたところ、「頑張りましたね~!」と言われ、

非常に「上から目線感」を感じてしまい、腹が立ったというのです。

 

トレーナーの言い方やその時の表情がどんな様子だったのかということも考えられますが、「頑張りましたね!」というのは普通に考えれば誉め言葉ですし、それが「気にいらない」といわれると、一体どんな言葉が適切だったのか、非常に疑問です。

そのクレームのお客さんはどんな言葉をかけてほしかったのでしょうか?

心を見透かすことができる超能力者でもない限り、おそらくそのお客さんが納得する言葉を見つけ出すことが出来なかったと思います。

 

長々と書きましたが、つまり、取るに足らないクレームなわけですね。

ここで問われるのはそういったチーフやマネージャーのセンスや力量です。アルバイトの現場スタッフであれば、ことの大小を問わず、些細な問題やクレームでも上の立場のスタッフへ報告するのが基本ですが、それを役職者クラスがやってしまっては、何のための管理職なのか、ということになります。

 

こういったクレームを受けた際、その選別ができるチーフであれば「その場の対応」に止めておきますが、「なんでも報告マインド」のままの人の場合は高確率で、トレーナー本人までそのことを伝えに行きます。

 

ですが、それを聞かされても

当の本人は(前述した通り)なにもできないわけです。

チーフなどが「そういわれても対応が難しいと思うから今まで通りでいいよ」と付け加えてくれれば良い方ですが、「こんなご指摘をいただいたので」とただ報告だけしてきて対応はインストラクター自身で考えてくださいと言わんばかりのスタンスでは、次回のレッスンなどでそのお客さんと顔を合わせる時にただただ気まずくなるだけで、その気まずさを表情に出さないように無駄に気を使うことになります。

 

つまり、無駄な労力が増えるだけなのです。

 

フィットネスクラブ、スポーツクラブの役職者たちはクレームの種類を見極め、「ごもっともなご意見・ご指摘」と「指摘されても何もできない細かすぎるご意見」を選別できるようになって欲しいものです。

フィットネスクラブのスタッフ研修の大半が無意味なものである理由

ここ数日、お世話になっているフィットネスクラブの休館日に施設まで足を運ぶことが多くありました。

 

休館日というと、普通に考えれば「従業員の休みの日」ですが、施設内(クラブ内)では何かしらの研修が行われていることが多いのです。

内部のアルバイトスタッフ研修もありますし、私のように業務委託で入っている外部トレーナー・インストラクター達の研修なども頻繁に行われています。

 

私は研修参加ではなく別の理由で施設へ行っただけでしたのでその時に行われていた研修の様子がどんなものか軽い気持ちで遠目から見学させていただきましたが、行われていた研修が「本当に意味があるものなのか?」と疑問に感じざるを得ないものでした。

 

その研修とは、フィットネス業界では定番のロールプレイ(通称ロープレ)でした。

研修生たちが二人一組になり

一方がお客様役、もう一人がスタッフ役になって

商品の販売や、施設の体験利用者の

ご案内から入会へ誘導するセールスの研修です。

 

はた目から見ていても「これは気が滅入るだろうな」というのがはっきりとわかりましたが、それはロールプレイを通りして行われているのが「ミスの指摘」に終始していたからです。

ダメだった点、気になった点、ここをこうすればもっと良かったのにという点などをお互いに挙げ合うようにという社員スタッフの事前説明もありましたが、

とにかく

「あれがダメ、これがダメ、ここがダメ、ここが良くなかった」

のオンパレードなのです。

 

男女のペアで女性スタッフがお客様役として無料体験にきた設定で、そのカウンセリングを男のスタッフが行っていた様子を見ていましたが、私の印象では特に問題ないように思われた内容でも女性スタッフは「この一点がダメだった」として、男側が発した「たったの一言」が気になったというのです。

 

お客役である女性スタッフとの会話で、

「仕事が定時で終了することが多い」

ということを客役の女性が話すと、トレーナー役の男性は

「いいですね~!定時で上がれることが多いなんて夢みたいですよ~」と返答しました。女性スタッフはこの一言が気になったというのです。

 

その女性スタッフ曰く

「仕事が早く終わることが夢みたいに嬉しいことなのかどうかはあなたの感覚で、私はそのイメージを持ったお客さんの設定をしていなかった」と言うのです。

 

お客様の立場からすればもっともな指摘だとは思いますが、この女性は「ミスの指摘をする」という研修に特化し過ぎたロールプレイを行っているという印象を私はウケました。

仕事が早く終わることは一般的には嬉しいと感じるものですし、

サービス業であるフィットネス業界人からすれば

定時でスパっと退社できるというのはめったにあることではありません。

 

お客様とトレーナー間でカウンセリング時に

そういった価値観のすり合わせをしていけば

良好なコミュニケーションとなるはずですし、

よほど相手の印象が悪いものでない限り、

初対面の人同士は互いに積極的に会話を合わせようとするものです。

 

得意顔でミスの指摘を行う女性スタッフに対して

男性スタッフはまるで

「そんなポイントを指摘されても・・・」

「そんな細かいこと気にされてもどうしようもないよ・・・」

「占い師じゃないんだからあなたの心を読み取れるわけないよ」という表情をしていました。

 

これは一例に過ぎませんが

フィットネスクラブの研修というのはそのほとんどがこういった「ミスの指摘」「落ち度の洗い出し」が中心となって行われています。

 

そんな研修が半日近く続けば、

ただただ疲れて「早く終わりたい」という気持ちになるだけです。

 

フィットネスクラブのアルバイトスタッフの多くは恐らくそんな風に感じながら研修を受けていることでしょう。

精神的な辛さは睡眠でも日光でも栄養素でも解決しない

少し前に「うつ病にエクササイズは効果なし」という記事を書きましたが、今回も久しぶりに自分の経験から「精神的な辛さ」や「うつ病」というものについて触れてみようと思い、それに関する記事を書いていきます。

 

というもの今月に入り、衝撃的な出来事が続いているからです。

 

5歳の娘を虐待死させた船戸雄大、船戸優里の両被疑者へ娘が書き残した手紙は本当に心をえぐられるかのような内容でした。

(事件の風化を防ぎたく、個人的な怒りからも実名で両被疑者の名前を記載します)

 

戦時下の日本で動物園の閉鎖が決まり、飼育されている動物たちが抹殺されなくてはならなくなった際に、自分から食べ物を取りに行くということが出来なくなった象たちが体力が低下して弱っていく中、餌をもらおうと飼育員の前で必死に芸を披露し続けたという話(映画?)がありましたが、まさにそんな健気さが悔しい気持ちにさせられる事件でした。

 

そして昨日(6月9日)は新幹線の中で見ず知らずの人に刃物で刺された人が亡くなるという事件も起きています。「秋葉原連続通り魔事件」として知られる事件から今年は10年だという新聞報道があった矢先の出来事です。

 

こうした理不尽な形式での人の死というものは必ずどこかで関係する人にとっての圧倒的な精神的ストレスとして襲い掛かります。

人によっては内科的な疾患としてその症状が現れることもありますが、メンタルに来てしまうという人もいるでしょう。個人的にはその人の方が多いかと思います。

もっと言えば、

内臓系が強い人は精神的に弱めであり、精神面が強い人は内臓系が弱いというのが当てはまるのではないかと思います(勝手な想像ですが)。

 

人やペットの死などに限らず、多くの人が悩まされている「精神的な不安定感」や「うつ」というものに対して、

うつにはこれが利く!

こんなことをすると精神的に安定する!

という様々な情報が飛び交っています。

 

マインドフルネスもそうですし、適度なエクササイズはうつに効く、などという情報はネットでは頻繁に目にします。

 

少し栄養について学んだトレーナーなどは

(学んだといっても専門家を自称する人の話をうのみにしているだけですが)

講習会等で得意げに「精神疾患には〇〇がバツグンに効果を発揮する」などと得意げに話をします。

 

私が実際に講習会で聞いたのは

うつ等の精神的不安定はセロトニンという脳内物質が分泌されなくなることで起こる。セロトニンの原料となるのはメラトニンという概日リズム(体内時計)を司るホルモンなのでメラトニンが分泌されるように日光(特に朝日)を浴びると良いというものです。

 

また

そのセロトニンの分泌に密接に関係するのはマグネシウムという栄養素なのでそれを背局的に摂取することが良いという話も聞きましたし、トリプトファンという必須アミノ酸セロトニンの原料となるものなのでそれを含んだ食品としてバナナもおすすめだというような話も聞きました。

(有名になった脳科学者の中野信子さんもラジオ等でそんなことを話しています)

 

実際にうつ症状に悩まされた私の経験からすると、

「そんな簡単なものじゃない!」

と言いたくなります。

 

辛いとき、というのは本当に「何をしてもダメ」なのです。

 

薬(精神薬)などに頼ることは体にむしろ有害などいうことは私は知っていたため、薬は飲みませんでしたし、同じことで悩んでいる人にも薬だけは飲まないで欲しいし、すぐに使用を止めて欲しいと思いますが、

 

じゃあ

バナナを食べれば気持ちが落ち着くのか?

マグネシウムを摂取したらすぐに良くなるのか?

日の光を浴びるようにすれば回復するのか?

というと、そんなことは無いというのが現実です。

(上記3つを私は全て試してみました)

 

そもそも「精神疾患に有効なものはこれだ」とお話をする人の多くが精神的に辛い状態になって悩まされたことがないということが言えるかと思います。

筋トレをまともにしたことがない整形外科医が膝の痛みを抱える患者さんに「足腰の筋肉をつけると良い」とアドバイスをして、

そのアドバイスを受けた人が「少しトレーニングをすれば簡単に筋肉がつく」と思ってフィットネスクラブに入会するもののトレーニングが上手くいかずに長いこと痛みに悩むということに似ています。

 

本当に理論だけまくしたてるのはやめてもらいたいと思います。

 

このブログで過去にも書いていますが、

精神的な辛さを和らげるには、まず「話すこと」です。

 

仮に気持ちをもとの状態に戻してくれるような根本的なできごとが起これば辛さは一気に解消しますが、それは死んでしまった人が生き返るとか、自分にとっての精神的苦痛の元になっている人(会社の上司とか)が異動などでその場からいなくなってくれることや、宝くじが当たってお金の悩みから解放されるといったもので、現実に起こることは極めてまれだし、不可能だと言ってもいいでしょう。

 

何度も同じ話をしてもいいから

徹底的に話して話して話しまくることが自分を落ち着かせてくれます。

 

栄養だの日光だのエクササイズだの睡眠だのはそれがすんでからの話です。

 

精神的に辛くなったら、何度も話を聞いてくれる人や場所、サービスを探しましょう。ネット検索で安易なサプリメント等に引っかからないで欲しいです。