フィットネスクラブで筋力トレーニングをしている人たちを観察してみると、多くの方が「軽すぎる重量」を扱っています。
筋トレの基本をわかって適切な重さを扱っている人もいますが、その割合は低いというのが個人的な印象です。
筋トレマシンやダンベルなどをもってトレーニングしている人からよく
「やり方はこれでいいの?」と質問され、我々フィットネストレーナーは
その人のフォームをチェックして修正します。
すると次に来る質問は
「これで何回やるのがいいの?」というものです。
ここがいつも我々が困るところです。
「何回やるのがいいの?」
なんてお話ししながらできる程度の重さを上げ下げしていても
「その重さはあなたにとって適切ではないから何回やっても”やらないよりはマシ”程度の効果しか得られません。つまりほぼ無意味です。」というのが「正しい答え」
となるわけですが、そんなダイレクトな言い方をするとお客様を傷つけることになります。
ですから「もう少し重い方がいいですよ💛」と言って重めのダンベルを
渡したり、マシンの重さを上げてやってもらうのですが、そうすると途端に
「うわ!これ重い!ムリムリ!もっと軽くていいわ。」という
”重さに対する拒絶反応”が起こります。
ですから本当は「軽すぎて効果がない」くらいのトレーニングに対して
「だいたい15~20回くらいですかね♡」と応えざるを得ないのです。
そうすると、それを教えてもらったお客様はそこで思考停止状態になり
いつもの決まった重さ(本人にとって丁度よいと思っているが実は軽すぎる)で
15~20回をひたすら繰り返し続けます。
勘のいい人は3か月、6か月、1年とやり込みますが、身体が変わってこないことを敏感に察知して「こんなにやってるのになんで変わらないのかねぇ?」とスタッフに聞いてきたりするのですが、「だから重さですよ。軽すぎですって。」と何度も言っても
重さを上げることをためらい続けます。
この「拒絶反応」の元は、トレーニングに対する不安感や恐怖心。
「ムリをしてケガしてしまったらどうしよう」
「やりすぎて逆に痛めてしまうのではないか」
というような心理からくるのだそうです。
ですから
本来「筋肉に刺激が入ったことの証」で、いいトレーニングが
できたということを意味している筋肉痛も”ケガ”や”やりすぎ”としてそれを認識し、
ほんの少し出るだけでも嫌がる人が多いです。
適切な重量でトレーニングすることを拒絶するなんて、まるで
ステーキを出されたのに肉を嫌がって付け合わせのコーンとかニンジンとかブロッコリーの半切れだけ食べて満足しているようなもの。
ちょっと高めの店でコース料理を注文しておきながら
「メインディッシュは要りません」と言っているようなものです。
トレーニングのやり過ぎや重すぎる重量を扱ったことによるケガをする人
はいますが、そのほとんどはトップクラスのボディビルダーレベルでの話です。
フィットネスクラブ利用者の8~9割は「軽すぎ」の重さです。
怖がらずにもっと重くしましょう。
次回は「筋肉痛」について書いてみます。