スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

フィットネス業界で今もはびこっている「アメリカで流行っているから日本でも流行るだろう神話」

映画評論家の町山智浩という人がいます。
テレビにはあまり出ては来ず、ラジオの1コーナーくらいで
ちょろっと登場してきてこれから公開される映画の紹介をします。

そしてもう20年くらいアメリカに住んでいて
だからこそわかるアメリカ事情についても話をするのでこれがとても面白いです。youtubeでも聞けます。

この人の話によると、日本人のイメージする「アメリカ」とは
カリフォルニアとニューヨークのことを指しているのだそうです。
両方とも海沿いにある都会中の都会ともいえる州のことで
アメリカ全土のうちのほんの小さな地域に過ぎないということでした。
日本よりもなんとなく進んだ文化でおしゃれな感じをアメリカに抱くのは間違いで、アメリカという国は9割以上が農業生産が主力の田舎町の国。
もっと言えば州ごとに法律が違うくらいなので、
実際は「州=一つの国=国家」のようなものでそれが集まって
大きなアメリカを作っている(だから”ユナイテッドステイツ”)んだそうです。

日本人がイメージするほどアメリカは先進国ではないので
ソニー」や「ホンダ」をアメリカの企業だと思っているアメリカ人も多いそうです。

ここまで書いただけでも
20年もアメリカに住んでいる人が話す現場の情報は確かなものだとわかります。

なぜこんな話から入ったかというとフィットネス業界では
「トレーニング先進国アメリカで流行っている」という理由で
「アメリカで流行っているのだから日本でも流行るだろう」という
感覚の人が多いのです。特にセミナー講師などに。
「今、アメリカでは1対1の運動指導ではなく1対2~3人の形式が主流だから今後日本もそうなる」と言うのです。

しかし私はこうなることはないと思っています。

確かにアメリカは「トレーニング先進国」だとは思います。
それは金さえ払えばすぐに誰でも入学できて、試験前だけ勉強すれば
何とかなる日本の専門学校と違って
設備の整った施設と、長年研究を続けている研究者と、優秀な学生が集まる大学でトレーニングに関するあらゆる研究が行われているからです。
そういったところを卒業して、またはそういったところで勉強をして
知識と技術を身につけた人なら
「まとめて2~3人指導する」ことくらい余裕だろうなと考えられます。

マニュアルだけこなすような何も考えてない人や
学生アルバイトが「トレーナー」ということになっている日本のフィットネスクラブで同じことができるわけがないと思います。

20年住んでいる町山さんが「日本でも流行る」というなら考えが変わりますが
数日、数週間、数か月だけ、海岸沿いのアメリカのほんの小さな地域で
研修してきたトレーナー達の「日本でも流行る」には説得力がありません。

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