スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

人の身体はタンパク質をどんどん使ってしまう

タンパク質摂取の重要性をここ数日続けて書いています。

 

筋肉を増やすためのものとしてのイメージが強いタンパク質ですが、その為に摂取が重要だということが本質ではありません。タンパク質摂取が重要だという最大の理由は、タンパク質という栄養素が「貯めておくことができない栄養素」ということにあります。

それを理解するにあたって大事なこととは、人体というものを構成する主成分は「水とタンパク質」だということを理解する必要があります。人体の成分で最も比率の高いものは水分です。そのほかの身体のあらゆる組織(筋肉・内臓・皮膚・髪・体毛・爪など)はタンパク質からできています。

そしてそれらの組織は、常に新しいものに入れ換える(取り換える)という作業をしています。

 

「肌の新陳代謝」というのはよく聞く表現ですが、この「代謝」という入れ替え作業を人体の組織は常に行っています。皮膚はどんどん入れ替わり、古い皮膚は「垢」として人体にとっての異物となって剥がれ落ちます。

髪の毛や体中の体毛などもどんどん伸びていき、古くなった毛は抜け落ちていきます。爪もほっていたら勝手にどんどん伸びていきます。爪の場合は勝手にはがれることはないので自分で切ったり削ったりする必要があります。

これと同じ理屈で、筋肉も常に古いものと新しいものの入れ替えを行っています。専門的に言えば「同化作用」と「異化作用」と言いますが、この同化・異化を繰り返すことで筋肉というのは「今現在の状態」を保っているということです。

 

異化作用が進んでいくということは、どんどん筋肉が減るということ、毛で言えばどんどん抜け落ちている状態、同化作用が進めばどんどん筋肉は増えていく、毛がどんどん生えていくというということです。

 

この「入れ替え作業」の原料となるが、まさに筋肉や毛の原料であるタンパク質なわけです。そして、「入れ替え作業」というのは自分の意志でオン・オフできるものではありません。運動によるエネルギー消費というのは自分で運動強度や運動の種類を選択するという手段で、ある程度自分の意志でコントロールできますが、代謝はそれができません。

「速く走ろう!」「ゆっくり走ろう」「ここでは歩こう」などということはできますが

「今すぐ髪の毛を伸ばそう」「すね毛は要らないから抜け落とそう」「爪の伸びを遅めにしよう」などということはいくら強く願っても自分の意志ではできないことです。人体が勝手にやってしまうことだからですね。

 

この様に、タンパク質を摂取すると、人体はあらゆる組織の入れ替え作業を勝手にやってしまいます。筋肉をつけるためには同化作用を促すことはもちろんですが、それよりも異化作用をさせないこと、つまり、減らさないことが重要です。

 

タンパク質を十分に摂取するという行為は、古いものをどんどん捨てても新しいものがどんどん入ってきて作り出され続けている状態にしてあげているということ、になるわけです。

これがタンパク質摂取が重要である最大の理由です。