スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

「代行」とは最高の自動管理システム

昨日書いた「代行」という仕組みについて考えていきましょう。

 

フィットネス業界ではほぼ当たり前になっている「代行」つまり「休むなら自分の代わりの人を見つけてきてください」という仕組みですが、恐らくこれは日本中の「アルバイト・パート」が無くては成り立たない業界(ほとんどですけど)で、いつの間にか浸透したルールです。

本当に「いつの間にか」自然とできあがったような印象があります。

この代行には法的な根拠はなく、破ったとしても何も問題が無いものです。

 

この代行というルールを見直してみると本当にうまく出来たルールだということがわかります。

日本人の生真面目な性格ということもあるかと思いますが、「休むなら他の人を見つけるように!」ということを言われると、自然と「ルールを守らないと!」という気持ちになり、破ったからと言っても何でもないことなのに、そのルールをできる限り守ろうとします。

 

これによって、管理者の仕事である、バイトスタッフの安定的な配置が非常にやりやすくなるわけです。その一言(ルール設定)によってまるで魔法がかかったようにみんなが代行を探してくれるので、自分たち(社員たち)が休む日、休む時間を設定しやすくなります。

 

また、現場のスタッフ間の秩序もこの代行ルールによって自然と保たれるようになります。仮に、実際の職場である一人のスタッフが横柄な態度であったり、自分勝手な言動をしている場合、そのスタッフは自分が困って休みを取る必要が出てきたときに「誰も代行を引き受けてくれない」という状況に追いやられます。

男はまだしも、女性の場合はそういったことが感覚的にわかるでしょうから、偉そうな態度や、きつい態度などをしなくなり、「みんなで仲良くしよう」という意識が自然と構築されていきます。

 

さらに「この日休みたいんだけど変わってくれないか?」というお願い自体がスタッフ間のコミュニケーションになり、「自分が代行をお願いした人が休む時は私が代わってあげないと」という返報性の原理が働きます。

 

現場のスタッフが欠けることが少なくなり、現場のスタッフの問題行動も起きにくくなり、さらには自動的にスタッフ間のコミュニケーションがなされて、自動的に現場スタッフのチーム化が進んでいく、というまさにコンビニや飲食店の店長からすると「便利で夢のような仕組み」が「代行」、「休むなら他の人を見つけてください」なわけです。

こんな素晴らしい仕組みが浸透しないわけがありませんね。

 

しかし、その仕組みももう、「人手不足」という現象によって崩壊しかけ(すでに崩壊して)ているのでしょう。

セブンイレブンの時給カット騒動は、便利な仕組みの崩壊の表れだと思います。