スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

筋トレがここまでのブームになるとは思ってもいなかったフィットネス業界の誤算:前編

2022年最初のブログ記事です。

毎年のように「今年こそは更新頻度を上げよう!」と思いますが、、、、できるだけやってみようと思います。

早速前回と前々回の記事の続きとして、現在でもウイルスの蔓延に苦しむフィットネス業界の誤算について書きます。

全く「新年」や「年明け」、「新たなスタート」などということには触れませんが、実際に触れる要素が無いと言っていいほど21年~22年は、特別なことが何も無い年明けになりました。

 

「マニア追求路線」として数々の筋力トレーニングマシンが会場のメインに並んでいた「スポルテック2021」でしたが、多くのフィットネス業界関係者は「そんなことになる」などとは全く考えもしていなかったと思います。

というのも、それまでのスポルテックなどのフィットネス関連イベントや博覧会などでは「ファンクショナルトレーニング」というキーワードが主流で、展示される運動器具や実際にデモンストレーションされるトレーニング方法というものはどれも「機能性」や「ファンクショナル」を打ち出したものばかりでした。

この「機能性」や「ファンクショナル」というものがこれまた説明が難しいのです。

「機能的なカラダ」「動ける身体」などどんな言葉を当てはめてもイメージがしづらく、映像で見る方が理解がしやすいかも知れません。

 

タレントの小島瑠璃子が「男たるもの使える筋肉を付けとけよ」という発言で炎上する出来事がありましたが、まさにフィットネス業界全体が「その発想」だったわけです。

筋トレユーチューバーたちが視聴者(チャンネル登録者)を集めていき、現在のような成功者とも呼べる段階に至るまでの最初のステップを踏み始めたのが、2015年頃です。それ以前から、そして筋トレユーチューバーたちが注目を集めるようになってきても、それでもフィットネス業界は「無駄な筋肉を付けてもしょうがない」という発想のままでいました。

正確には、世間一般にそうした発想の人が多くいたので、そこに合わせとけば世間にウケて客が増えるだろうという何とも安直な安っぽい(同じこと繰り返してますけど)発想をこの業界人たちは持っていたのです。

「筋肉を付けすぎても、なにも使えない。」

「ジムで鍛えた筋肉は見せかけの筋肉。実際の運動や競技で自然とついていく筋肉とは違う。」

「筋肉を付けすぎると逆にスピードが落ちる」

など、とにかく筋トレや筋肉というものにマイナスイメージを持つ人が多かったのです。

プロ野球選手の清原和博が現役時代に、パーソナルトレーニングジムの老舗であるトータルワークアウトで肉体改造を行いましたが成績が付いてこず、怪我にも悩まされることになったもの影響していたでしょう。

「清原がダメになったのは筋肉を付けすぎたせいだ」と何も知らない自称スポーツジャーナリストもコメントしていました。(今となってはただの無知&バカコメントに過ぎないことがはっきりしましたが)

今でこそ、筋トレの権威・インフルエンサーとしての地位を確立した山本義徳や山岸秀匡も当時のテレビや動画メディアでは完全にゲテモノ扱いで、まるで気持ち悪いものを見るような視線が向けられていました。

 

ですから「カラダを鍛えよう!」と筋トレを始めた人に対して

「何目指してんの?」という質問が出るようになりました。

「そんなに体を鍛えてどうすんの?」ということですね。

体を鍛えた先に何があるのか?どんなメリットがあるのか?なんにも無いじゃーん!と今でも思っている人は多いでしょう。

 

しかし、不思議なことに「筋トレ以外のスポーツや習い事」に対しては「何目指してんの?」という質問がでることはありません。

私なんて逆に質問したいですよ、ランニングしてる人とかゴルフ・テニス・水泳などをしている人に対して。

「何を目指してるんですか?」と。

ゴルフがうまくなった先に何があるんですか?どんなメリットがあるんですか?

(あとは「ゴルフ」の部分を別のスポーツなどに置き換えて応用)

ぜひ回答をお聴きしたいものです。

 

そんな世間一般の

「筋トレ=メリットが無い」

「一部のマニアが好んでいる気持ちが悪いもの」

といったイメージに合わせて、フィットネス業界は「使える筋肉」や「動ける身体」というものを積極的にフィットネスクラブで打ち出すようになります。

 

その中で「体幹」という便利なキーワードに業界は目を付けました。

「筋力トレーニング」ではなく「体幹レーニング」です。

この言葉を見聞きした方は多いかと思います。

2010年頃からフィットネスクラブでは「体幹」が強調されるようになりました。また、体幹レーニングの一つとして「ピラティス」もこのころから世間に広まっていきました。

 

ボディビル的な筋トレにはどうしてもバーベルやダンベルなどの器具をそろえる必要がありますが、体幹レーニング・ピラティスにはそういったモノは必要ありません。女性ならば筋トレにはどうしても抵抗感を感じる人も多いですが、「体幹」ならばそのハードルはぐっと下がります。

設備費などが掛からずに、ウケるトレーニング方法が見つかりました。

「筋トレ=無意味」という世間の誤認識に合わせて「いくらアウターを強化しても、インナーマッスルが上手く使えていなかったら、動ける身体は作れませんよ」などという最もらしい売り文句も都合よく使うことができました。

 

こうしてボディビル的ではなく、ただ筋肉を付けることを目的とせず、見せかけの筋肉ではなく使える筋肉をつける、動けるカラダを作るといった概念が「ファンクショナルトレーニング」という言葉に置き換わってフィットネスクラブで行われる運動プログラムになっていきました。

 

中編へ続く。

 

ちょっと宣伝を

私がよく利用する高品質&低価格プロテインです。

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こちらも低価格でおススメです。

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スポルテック2021雑感そのニ

前回の記事で「マニア追求」というキーワードが当てはまったと書いた2021年のスポルテックですが、筋トレをする人、ボディビル、ボディメイクをする人というのはここ数年でその数は明らかに増えています。

エニィタイムフィットネスやゴールドジムは現在、筋トレをする人達で時間によっては非常に混みあうこともあり、ジム現場の活気ということなら新型コロナウイルスの影響からいち早く脱却した数少ないフィットネス会社になるのかも知れません。

 

カッコイイ身体作りとしてのフィットネスではなく、健康的な体にすることや運動を楽しむ、運動が体に与えるメリットを広く知ってもらうという意味でのフィットネスは、今回のスポルテックを見る限り、まだまだコロナ禍から抜け出せていない、厳しく言えば壊滅状態であり昔から何も変わり映えしないままであるとも言えます。

 

個人的に注目だったのはこちらです。

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プロテインドリンクの自動販売機ですね。カップに注ぐタイプのコーヒーやココアの販売機のようにボタンを押すとプロテインドリンクがカップで出てきます。会場に置かれているものは無料で何回も飲めたので3~4杯ほど色々な味のプロテインをいただきました。

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面白いのはホットドリンクとしてのプロテインもあるのです。これは斬新だったし、こうした販売機が街中にとは行かないまでも、企業が複数入るようなオフィスビルなどにまずは置かれるようになったりすればトレーニングやタンパク摂取への意識も社会的に上がっていくように思います。それこそ24時間ジムにこんな自販機があったら味によっては即売り切れになるものもあるんじゃないかと思います。

 

この他は前回の記事に載せたようにマニアックな筋トレマシンの展示が多かったわけですが、フィジーク大会やベストボディといったコンテスト、筋トレユーチューバーたちの影響によってトレーニングをする人の数というのは増えたため、その市場へ向けた商品が目玉になっている様子です。

 

数年前のスポルテックやHFJという似たような展示会では、キックボクシングエクササイズやTRXを使った「グループエクササイズ」が大音量でデモンストレーションレッスンを行い、飛び入り参加者まで集めて派手な宣伝活動をしていました。

むしろそちら側の方がメインで、筋トレマシンはそのあとに続くものという程度でした。

 

今回はいくつものグループエクササイズライセンスを「MOSSA(モッサ)」というブランド名で保有するブラボーグループ社が出展しておらず(確かそのはずです)、看板インストラクターたちの実演レッスンはありませんでしたし、資格ビジネスとセミナービジネスばかりやっている斉藤邦秀(業界ではよく見る人で、最近では糖質制限を提唱する白澤医師とまた新しい資格ビジネスを立ち上げています)が数人を参加者と共にファンクショナルトレーニングを見せている程度でした。

TRXという器具のデモンストレーションも出展ブースの規模が明らかに依然と比較して小さく、ほそぼそと実演をしているという程度です。

 

数年前のフィットネス業界は「ファンクショナル」「機能性」「体幹」「動ける身体」というキーワードに絡んだプログラムが商品が並んでいました。おそらく筋トレよりも一般的にはそちらのほうにニーズがあるのだと思ったのでしょう。

 

しかし、現実は真逆になりました。

 

また次回に続けます。

スポルテック2021雑感

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約3年、または5年くらいスルーにしていたフィットネス業界最大の展示会「SPORTEC」に

今年はなんとなく行ってみようかな?という気になったので会場は足を運んでみました。

12/1〜3で開催され、私が行ってきたのは最終日の12/3です。ちょうど1週間ということですが、そのくらいしてから「とりあえずブログに書いておくか」と思えるくらいの内容だったということです。

 

ひとまず、会場の様子とそこで受けた印象からです。

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会場に行ってみると、まずその広さに驚きました。というのもスポルテックは毎年の回を重ねるごとに規模が縮小され、会場である東京ビッグサイトの中でも一番小さいと思われるスペースで開催されていたこともあったくらいです。

ですから、コロナ禍を経てのこの規模でのイベントとは!と、業界の回復を思わせられました。

 

が!

 

写真を見てもわかる通り、来場者が明らかに少ないです。

能天気で短絡的で何も考えていないフィットネス業界人たちのSNSには、会場は盛り上がってました!とか、多くの人が詰めかけていました!などのセリフが、やはり馬鹿の一つ覚えのような集合写真と共にアップされていますが、実際の空気感はそれとは真逆です。

平日の昼間に開催という、普通に仕事してる人なら行けるわけもない日程での開催ということもあるのでしょうが、まあ寂しい会場でした。

 

今回のスポルテックについて私なりのテーマを挙げるとするなら、「マニア追求」です。

たとえばこのマシンや

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あるいはコレ
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そしてこちらは寝そべってバーベルロウができるベンチです。
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これらを見て、一般の人達や運動初心者に使いやすい器具だとは思えないです。

筋トレをしている人、同業者、ビルダーやフィジーカーなど、完全に「筋トレ好きな男」をターゲットにしたものばかりです。

 

どんなに改良を加えたとしてもチェストプレスはチェストプレスだし、パワーラックはパワーラックです。

 

既に筋トレを実践してる人ならメーカーによるマシンの違いや、良し悪しがわかるものですが、そこへの訴求ばかりで何も目新しさがありません。

 

製品によっては昔ながらのマシンが今年もまたか…という感じで出展されていたり、サプリメントも大半がプロテインの紹介でした。

 

盛大なイベントのようで、その中身は狭い方狭い方へと進んでいるという印象でした。

 

次回はもう少しスポルテックについて書きます。

 

 

 

 

健康器具、健康食品、トレーニング方法などで迷ったらまずは事実を確認しよう!

ファクトフルネスという本が何と現在でも売れている様子です。

意見や考え方の前にまずは世界中で起きている現象を見て何がどうなっているかの判断材料にするという本ですが、これはフィットネス関連の商品やトレンドなどを見ても大いに当てはまる事なので、業界人も参考にするべき視点やものの見方です。

 

このブログで最も読まれている記事は「ジョーバ」という乗馬運動健康器具についての記事ですが、その記事が一位になるということはその器具を買い求めようとしている人が多いということを意味しているはずです。

しかし、事実を見てみるとどうなのでしょうか?

つまり乗馬運動器具に確かな運動効果があり、それに付随するダイエット効果があるというのならば、日本中のジムと言うジム、フィットネスクラブの多くがそのマシンを導入するはずですが、そんな現象は起こっていません。

 

このように事実を確認していけばより正解に近いもの、より効果的な方法ややり方というものが見えてきます。

 

ここ数日書いている加圧トレーニングについてもおさらいしておきましょう。

加圧という方法で軽めの負荷や重量を使ったトレーニングで筋肥大や筋の量が増えるということならば、やはりジムの中は加圧ベルトを巻いた人たちで溢れかえるはずですが、そんなことは起こっていません。

今でも加圧トレーニングジムというのは多くありますが(それにしても以前よりは少なくなったものですが)、そこに来るお客さんには加圧指導しているけど自分自身では加圧をしないで普通の筋トレをしているトレーナーも多いです。

 

美容効果、アンチエイジング効果があるということなら痩身系エステや美容系サロンがこぞって加圧トレーニング器具を導入するだろうし、利用者のビフォーアフター写真で「加圧を数週間継続したら若返りました」というような写真がネットに多く流れてくるはずです。若返りに敏感なホリエモンだって絶対に食いついて離さないでしょう。

 

低体力や人や怪我、大きな手術などを受けた人などのリハビリ効果としては、加圧は「ベルトを巻いて血流制限をしたことで、そうしなかった場合と比較すると明確に違う」というくらいの効果が実際の症例として数多く報告されています。

一方で、そうは言っても「効果があまり出なかった」という例もあるはずですし、医者それぞれの考え方や意見、または利権なども絡むので、日本中の病院や整形外科クリニック、リハビリテーション施設で加圧が導入されているという状態にはなっていません。

 

サプリメントも同様です。

テレビを付けていれば本当に色々な健康食品やサプリメントのCMが流れてくるのがわかります。それらが本当に効果的で、体調に目に見えた変化が起こる!数値が改善する!ということならまるで薬のように日本中の薬局で販売されるでしょう。

確かにこの現象は実際に起こっており、ドラッグストアに行けば数多くのサプリメントが販売されています。

そう考えると個々のサプリメントにはそれぞれ人体に良い影響を与える効果があるのだと言えるでしょう。しかし、多くのトレーニーや健康マニアとも言えるような人たちが実際に使っているサプリメントは日本製ではないことの方が多いのです。

iherb(アイハーブ)という健康食品販売サイトやナウフーズというメーカーが有名ですが、実際に愛用されているサプリメントはそういったモノであることが多いです。

ビタミンやミネラルなど、栄養サプリメントについて少し調べてみると、日本製というのは確かに品質は良いのでしょうが、値段が高額であり、サプリメント自体に含まれる栄養素の含有量も少なくなっていることが多いのです。

ですから、サプリメント愛用者の多くは値段的にも安く、一日の必要量を一回の摂取で満たされるように作られている海外のものを利用しています。

 

こうしたことは実際の現場を見てみるとわかることですし、今の時代であればSNSYouTubeでも確認することができます。

 

実際の現場とはまさにジムや運動施設を利用している人のことですね。試しに一度でいいからジムやフィットネスクラブに入会て実際に通ってみましょう。

レーニングをしている人が何をしているか、ロッカールームでどんなサプリメントを摂っているかなどの現実を自分の目で見ることができます。

 

SNSYouTubeも著名人になると企業案件やタイアップ企画などを請け負っていて、実際にそのサプリを使っているのかどうかは不明確になりますから、忖度無しのレビューをネットに載せている素人さんの投稿や動画を参考にしてみましょう。

 

事実を見れば多くの事がわかります。

加圧だからより効果的だ、ということはありません。

加圧トレーニングについて、そのホントのところをまた書いていきます。

 

様々な効果が宣伝文句に使われている加圧トレーニングですが、実際のところどうなのか?加圧トレーニングに限らず色々な健康器具やサプリメントでも言えることですが、まず見るべきは実際に起こっている現象です。

 

前回の記事では加圧トレーニングと筋肥大について書きましたが、「加圧トレーニングを行えば低い強度の負荷でも筋肉が付いていく」というのならば、筋肉を求めるボディビルダーやアスリートたちがこぞって加圧トレーニングを実践しているはずですから、ジムの中は加圧ベルトを巻いた人たちで溢れかえるはずだし、YouTubeにも加圧トレーニング動画が大量に出回るはずです。

しかし、実際にそんな現象は起こっていません。

 

美容効果についても同様です。

加圧トレーニングには美容効果(美肌効果?)やアンチエイジング効果があるという謳い文句がまるでセットのようについてきますが、こちらもその言葉の通りならば芸能人やモデルたちが加圧トレーニングをガンガンやるはずだし、個人で加圧ベルトを買ってインスタグラムにでも載せてくるでしょう。

しかし、実際にそんな現象は起こっていません。

 

というように、甘い言葉や楽に願いが叶うかのような言葉を見たら「本当にその通りだとしたら起こるはずの現象が起こっているのか」を確認すれば間違いありません。

 

筋力アップ、美容・美肌に合わせて加圧トレーニングにはダイエット効果や体脂肪が減る効果があるとも言われますが、こちらも「それが確かならば」と考えれば、日本中の加圧トレーニングジムや加圧をやっている運動施設が「好きなものを好きなだけ食べても加圧トレーニングをすれば痩せられます!」「食事制限不要のダイエット!」などという言葉をウェブサイトや広告に掲載しまくるでしょう。

一般の人たちの間でも「毎日お菓子を食べまくりだけど加圧トレーニングで引き締まったままです!」というSNS投稿がどんどん出てくるはずです。

 

正確に細かく説明と解説をしていけば

加圧トレーニングには確かに筋力アップ、美容、ダイエットなどの効果はありますが、「加圧トレーニングだからこそ効果が出る」とか「加圧という手段を取ることによって通常のトレーニングでは得られない効果が得られる」という程ではありません。

 

加圧トレーニングをしているから、してない人よりも筋力が上がる

とか

加圧トレーニングをしているから、していない人よりも肌がきれいだ

とか

加圧トレーニングをしているから、体重が減っていくスピードが普通のダイエット方法よりも早くて効果的だ

などということはありません。

 

「じゃあ加圧ってなんなの?」という話になりますがそれは次回に書くとして、加圧だからそこ通常では考えられないほどの効果があるものが、実はあります。

それはリハビリ効果です。

 

大きな手術を受けた人(骨折や脊柱管狭窄症などの整形外科的なものから、脳梗塞などの外科系なものまで)が病院のベッドに寝た切りになってい状態から起き上がり、立ち上がり、自分の足で歩くようになる、または手足を自分の思うままに動かせるようになっていくといった回復という点では、加圧トレーニングはまさに「他の方法と比較すると比べ物にならないくらいの」効果を発揮しするようで、

実際に加圧学会の場では数多くの「加圧トレーニングならではの、早期リハビリテーション」や奇跡的な回復の症例が報告されています。

 

この点において、加圧は間違いなく効果があるものだと言えますが、その他の点において「加圧をすること」が他の運動方法やトレーニングに比べてより効果的だ、ということはありません。

加圧トレーニングで筋肥大は起こるのか?

今回はまた加圧トレーニングについて書いていきます。

 

加圧トレーニングが登場し、芸能人が実践しているなどとして世間に広まっていったのはかれこれ20年くらい前の話になるかと思います。

今ではかつてほどの勢いは無くなりましたが、廃れたということではなく、トレーニング方法の一つ、健康法の一つ、負荷の掛け方の方法の一つ、といった認識で一定数の人たちには定着しているといったところでしょう。

加圧トレーニングで検索をかければ実に様々な効果があるというような言葉が無数にヒットします。健康増進やアンチエイジング、ダイエット、筋力アップなどすべて見ていくとまるで夢のようなトレーニング方法に思えてきます。

 

その中でもフィットネストレーナーや筋トレ実践者たちが最も注目する、または過去に注目したであろう加圧の効果は筋肥大でしょう。

つまり筋肉が付く、筋肉が太くなるということですね。

「加圧をすることによって、辛いことや強度の高いきついトレーニングをしなくてもそれと同様の効果を得ることができる」というと大げさに聞こえますが、ウェブサイトによっては本当にそのような書き方をしているものあります。

 

実際のところどうなのか?簡単に調べる方法があります。

それは実際に筋トレをしている人たちがどうしているか、見に行くことです。

ボディビルダーや筋トレユーチューバーたちのトレーニング動画でも構いません。ポイントは「筋肉を付けることを追求している人たちの動向」を見ることです。効率よく筋肉が付いていく、発達していくという方法やサプリメントなどに最も貪欲なのはそうした人たちです。加圧トレーニングによって手軽に効果的に筋肉が増えていくとか太くなっていくというのなら、トレーニーたちが真っ先に目を付けるはずだし、その方法を実践し続けるはずです。

YouTubeにも加圧トレーニング動画がどんどんアップロードされるでしょう。

 

しかし、現実はそんなことはありません。

 

ゴールドジムやエニィタイムフィットネスなど筋トレ好きが集まるジムに行っても、腕や脚に加圧ベルトを巻いてトレーニングしている人なんで全くと言っていいほど見当たりません。

ちなみに本日(2021年10月10日)はボディビル日本選手権大会が行われましたが、加圧トレーニングだけで体を作ったというビルダーなんて存在しません。

 

この現実が全てを物語っています。

加圧トレーニングで筋肥大は起こらないのです。

 

正しく言えば、ボディビルダーやフィジーカーが求めるような筋肥大は起こらないということになります。

普段から筋トレどころか、まともに運動もせず体を鍛えたこともないというくらいの人が加圧トレーニングを始めたとしたら、少しは腕や脚が太くなるでしょう。その意味での筋肥大は起こりえます。

 

加圧トレーニングのテキストや解説書には筋肉が増えた実験結果として、上腕二頭筋(力こぶ)と大腿四頭筋(ももの前側)の断面積をCTで測った画像や、巻き尺で周囲径を計ってみた結果などが載せられており、確かに加圧トレーニング実践後はそれらが大きくなっています。

しかし、力こぶや大腿部前面の筋肉はアームカールとレッグエクステンションという単純な動作を繰り返し行えば、軽めの負荷でもパンプアップすることがあります。

それをもって「加圧で筋肥大が起こった!」と謳ってしまうのははっきり言って誇張ですし、腕と脚以外の主要な筋肉(殿筋群や各種背筋)には同じことが当てはまるのかどうかまでは触れられていません。

 

加圧トレーニングで筋肉は太くなる、または増えるのでしょうが、

それはあなたが想像するほどではない程度です、と言えるでしょう。

浮かれまくっていたフィットネス業界はもう元には戻らないかも知れない。

東京の新型コロナウイルス感染者数が減ってきました。

実際に何をもってどの段階で感染者として一人をカウントしているのかなどの議論はありますが、現状は良い傾向と呼べるのではないかと思います。

音楽やダンス系のライブイベントも徐々に再開されてきていますし、テレビで野球中継を見るとセ・リーグは遠目には通常通りの観客を球場に入れているようにも見えます。

 

芸能人やユーチューバーたちの感染は続いていますが、自宅療養で回復する場合もあり、「重症化は怖いけれど活動しないことには仕事にならないし、仮に感染してしまったらとにかく家で寝ているしかない」といったマインドに多くの人がなってきているのではないかと思います。

 

そんな中で、フィットネス業界(個人的には飲食業に次ぐ規模で新型コロナウイルス感染による経済的被害に遭った業界だと思っている)は現在でも活路を見い出させていません。業界紙が少し前に発表した大手フィットネス業界のIR情報によれば、感染が蔓延する前の年と比較した現在の売上高は、

業界最大手のコナミスポーツで60%、第二位のセントラルスポーツで63%、第三位のルネサンスは比較的ましな方で74%に止まっているそうです。

※ちなみに新宿の大型施設(電車の窓からも見えるくらい)の閉館で話題になったティップネスは52%という落ち込みぶりだそうです。

 

業界の象徴でもあるこれらの会社が復活するには?

新業態への変革が必要なのか?

生き残り戦略として何をすべきなのか?

など、いろいろと考えを巡らせてもいいのですが、いくら考えても「基本的には無理です」というのが私の考えです。

敢えて言えば「今の売り上げ規模くらいの大きさで細々とやっていくことになる」となります。

※ですからこのブログで何度か「フィットネスクラブは支配人という無駄な人件費をカットせよ」と主張しています。

 

では、売り上げが戻ってこない理由、または今のようになってしまった原因はどこにあるのでしょうか?

答えはシンプルで

「業界人がほぼ全員杜撰で何も考えていなくて浮かれていたから」です。ですから今回のような危機に対応できなくなってすべてが後手後手になり、慌ててSNSを駆使してオンラインの告知や実際の店舗の宣伝などに力を入れだしても「時すでに遅し」になってしまったのです。

 

その一例を挙げます。

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2017年の写真

こちらは業界人の一人が2017年にfakebookに投稿した写真です。

この人物と私は何の関係もありませんが、「いいね」という便利機能のお陰で巡り巡って私のスマホにも流れてきました。

パクチー&セクシーだそうです・・・・。

多分パクチー入りの飲料を飲んで写真を撮ったんでしょう。

 

fakebookが一気に浸透したのはおそらく2012~13年のあたりですが、それからフィットネス業界人のSNSはこういった「どうでもいい写真」や「バカ写真」で埋め尽くされることになりました。

※この他は「食べ物の写真」か「酒の写真」かくらいしかありません。

 

そして同業者同士で「いいね」を付け合い、コメントを付け合い、まるでSNS依存症になったように投稿・いいね・コメントのサイクルを繰り返していました。

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上の写真についたコメント

コメントのやり取りを見れば何ともあほらしいと思えるでしょう。

しかし、流行とは恐ろしいものでこの年にはそれが最先端を行くイケてる行動のようにみんなが思っていたのです。

 

今でしょ!で有名になった林修さんは大学卒業後に就職した銀行を僅か五か月で退職したそうですが、その理由は「みんな浮かれていたから」だそうです。

 

まさにフィットネス業界も浮かれに浮かれていました。

現在では「サブスクリプション」という言葉が定着しましたが、月会費制または定額使い放題という料金形態の元祖はフィットネス業界であると言えるくらいずっと昔からやってきているお支払方法です。

これによって一度会員として人を入れてしまえば、後は放っておいても定期的に収入が入るというまるでアパート・マンション経営のような感覚でフィットネスクラブやスポーツジムというものは運営されるようになります。

(だからマンションの管理人みたいなボケっとしたオジサンが支配人になる)

 

放っておいても金が入るわけですから、社員たちは勉強もしませんし、出勤してきてまずやることが休憩室のベランダに出てタバコを吸うことだったりします。

 

そして現場に出れば会員からチヤホヤされ、すっかりタレント気取りのインストラクターたち、パーソナルトレーナーたちが調子に乗ってもっともらしいことを言っているわけです。

 

フィットネス業界人(社員、インストラクター、パーソナルトレーナーたち)は全員が浮かれていました。

今回のようなウイルスによる影響が出るなどとは微塵も考えていませんでした。

ですから本来は「自分自身の仕事の告知」や「特技」などを世間に知らしめて自分の仕事の幅や収入アップ、新たな収入源の開拓などに活用するべき出るSNSを「遊び道具」として使い、使い倒してしまっていました。

 

先ほどのバカ写真、食べ物と酒の写真、お互いに褒め合うコメント、でタイムラインを埋め尽くしてきたのです。

散々そんなことをやっておいて、コロナになったら「これからZOOMでオンライントレーニングです!30分1,500円です!」なんてfakebookで告知しだしても誰も反応しません。

 

業界も、そこで働く個人も、浮かれていました。

だからもう、元には戻らないでしょう。