スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

筋トレがここまでのブームになるとは思ってもいなかったフィットネス業界の誤算:後編

フィットネス業界の誤算シリーズの最終回です。

 

ファンクショナルトレーニングがヒットするだろう!

体幹レーニングが主流になるだろう!

と、考えたフィットネス業界各社は運営するフィットネスクラブ内にファンクショナルエリアを新設したり、グループエクササイズに体幹レーニングメニューを取り入れたものを積極的に導入するなどして、意気揚々と多くの入会者が集まること、会員数が増えること、そして何より儲かることを期待していました。

これが2012~15年頃のことです。ですのでこの頃は「2020年に開催される東京オリンピック」にも業界は大いに期待をしていました。

オリンピック期間中には数多くのスポーツが視聴され、それに触発されて多くの人が運動を始めようという気持ちになり、フィットネスクラブへの入会者も増えるだろうというなんとも短絡的な発想です。さらにそこに「アスリートも実践する体幹レーニング」とくればバッチリだ!ということですね。

 

では、体幹レーニングは流行ったのか?または

「これは良いトレーニング方法だ」として広く実践されるようになったのか?というとそんなことはありませんでした。ファンクショナルや体幹を導入してから入会が増えた・会員数が伸びたという施設もありませんでした。

実際にファンクショナルや体幹レーニングというものをやってみると、結局は基本的な筋トレ動作であるローイングやプレスといった動作をするものであったり、ピラティスで頻繁に使われる「背骨を一つずつ動かしていく」などの難しい表現や動作があったりで、「なにがなんだかよく分らないもの」と世間的には認識されてしまい、とてもじゃないけど広く多くの人に実践してもらえるものにはなりませんでした。

 

ファンクショナルと体幹から目新しさ感が薄れてきたころ、突然インパクトのあるテレビCMが頻繁に流れるようになります。それがライザップでした。

「太ってだらしない体をした人が、カッコイイ(キレイな)体へと劇的に変わる」というシンプルなCMは一気に世間の注目となり、話題をかっさらっていきました。

一つの事に焦点を絞ってメッセージを打ち出すというのは「ランチェスター戦略」の基本ですが、まさにそれを忠実に再現したのがライザップのCMです。

「どんなところなのか?ダイエットのために何をするのか?」といった説明が一切無く、「ここに来ればあなたの体はこうなります」という効果だけを伝えるCMは、一種の人気キャラクターのように世間にウケまくったのです。

 

実際にライザップを利用する人達が出てくると「ライザップって何をするの?」ということも明らかになってきます。この時期に「パーソナルトレーニング」という言葉も一気に世間一般に浸透し、その意味を多くの人が理解する共通言語までになりました。

ライザップ以前の2003~2009年頃はパーソナルトレーニングという言葉の意味すら知らないという人が多く、「パーソナルトレーニングとは専属トレーナーがマンツーマン指導をするもので・・・」と説明をしないといけないものでした。

そしてライザップのパーソナルトレーニングでは、ダイエットのために何を指導されるのかというと「筋トレ」です。

バーベルを担いでスクワットをしたり、ダンベルフライやローイングをしたりという筋トレをするところがライザップで、利用者が増えるほどに筋トレをすることがダイエットのために有効、カッコイイ体作りのために必要なことなんだという認識が広まっていくようになります。

 

また、2015年頃はスマートフォンの高速データ通信化とネット環境の配備に合わせて、YouTubeが現在のような巨大データベースとも言える存在になっていく、その出だしの時期でもありました。

この時期に今ではユーチューバーと呼ばれる「YouTubeを使って有名になって金を稼ごうとする人たち」も活動を始めるようになります。

サイヤマングレート、コアラ小嵐ステロイドを使う前の(たぶん)カネキン、小池友仁などはいち早く動画配信を始めた筋トレユーチューバーたちで、自身のトレーニングや減量の時に食べている実際の食事などを公開することで視聴者を増やしていき、現在ではすっかり成功者に成り上がっています。

 

彼らが動画配信するコンテンツによって

「身体を鍛えることってかっこいい・おしゃれ」

「球技やスポーツは今更できないけど筋トレならできるかも」

といった印象を持ち、トレーニングを始める人たちが急増していきました。実質的にこの時点でゲームチェンジが起こったと言えるでしょう。

 

筋トレが流行ると今度は鍛えた体を披露する場として様々なコンテストがあるということも世間に知られるようになります。

中でも「ボディビルという所まで行かない程度のカッコイイ体」を競い合うフィジークというジャンルの競技は「出てみたい」という人が急増し、大人気のコンテストになりました。(今ではフィジークもボディビルとほぼ同じですが)

 

コンテスト出場へ向けて、競技者たちが何を頼りにしたかというと

これまでゲテモノ扱いされてきたボディビルダーたちでした。

YouTubeなんか無いころから、ライザップも存在しなかったころから「体を鍛えることってかっこいい」という思いを実践し続けてきたいわば先駆者たちが、やっと日の目を見るかのように世間に注目されるようになります。

特に山本義徳さんのブレイクはすさまじく、筋トレに興味がある人なら一度は関連動画を目にしたことがあるほどになりました。

 

これまでは

「何目指してんの?」

「そんなに鍛えてどうするの?」

「ウエイトトレーニングで作った筋肉は”使えない筋肉”だ」

「筋肉を付けすぎるとスピードが落ちる」

ボディビルダーなんて気持ち悪い」

など、散々な言われようでバカにされてきた「筋トレ」に対する視線のあり方が、一気に羨望の眼差しに変わったのです。

 

そして2022年現在。

すっかりフィットネスの主流は「筋トレ」に変わりました。

ファンクショナルと体幹は、完全に後退しており、長友がやっている体幹レーニングの「コバトレ」なんておそらく誰も知らないでしょう。

 

コロナという事態も予想外でしたが

フィットネス業界は筋トレが「まさかこんなことになるなんて」と呆気にとられている状態です。

 

終わり。

 

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筋トレがここまでのブームになるとは思ってもいなかったフィットネス業界の誤算:中編

前回の続きです。

まだ「筋トレ」というものが異質なものという見方をされていた頃、フィットネス業界は「見せかけだけの使えない筋肉よりも機能的なカラダを!」と打ち出した方が世間にウケるだろうと考え、機能的なカラダ作り=ファンクショナルトレーニングというものを施設内に導入するようになりました。2012年~2015年頃のことです。

 

ただダンベルを上げ下げしたり、単調な筋トレマシンを動かすだけの筋トレよりも、ちょっとした遊び感覚も含んだファンクショナルトレーニングなら飽きも来ないだろうと考えていたりもしました。

 

そしてこういった時にフィットネス業界が馬鹿の一つ覚えのように参考にして、丸パクリのように導入するのが「海外で行われているもの」、「有名アスリートがやっているトレーニング方法」です。

この時、ファンクショナルに合わせて「体幹」という専門的な匂いがするカッコイイ言葉にも業界は目を付けました。

少しフィットネスについて調べたことがある人なら体幹レーニングという言葉を聞いたことがあるかも知れません。サッカー日本代表だった長友佑都が行っていたトレーニング方法として、長友自身も何冊か本を出しています。

また、モーグルというスキー競技のオリンピック選手だった上村愛子のトレーナーもファンクショナルトレーニングの第一人者とも言える人物で、ビデオカメラか何かのテレビCMにも出演するほどの有名人です(業界的には、です。世間的には知らない人が大半でしょう)。

 

「海外」からは、ピラティス、TRX(サスペンショントレーニング)、アスリーツパフォーマンスで行われているトレーニング方法、

「有名アスリート」からは、コバトレ、ファントレが参考(事実上の丸パクリ)にされました。

簡単に説明すると・・・

ピラティス:ドイツ人のジョセフ ピラティス氏が考案したトレーニング方法

・サスペンショントレーニング:鉄棒の吊り輪のような器具を使ったトレーニング方法

・アスリーツパフォーマンス:アメリカのアリゾナ州にあるプロアスリート用トレーニング施設

・コバトレ:長友のトレーナーだった木場(こば)という人がやっていた方法

・ファントレ:上村愛子のトレーナーだった鈴木岳(すずきたけし)氏が運営するジムで行っているファンクショナルトレーニングを初心者向けにまとめたもの(多分、本が出ています)

となります。

詳しくはそれぞれGoogle検索をお願いします。

 

こういったトレーニング方法に合わせてフィットネスクラブはどこも大幅な施設リニューアルを計りました。

例えばサスペンショントレーニングをグループレッスンとして行うための「サスペンションを引っかける鉄棒」を設置したり

ジムエリアに人工芝を植えてスポーツに直結する動作がやりやすいようにしてみたり

スタジオプログラムやフリースペースのショートレッスンでも体幹や機能的といった言葉に沿った内容のものが次々と導入されるようになりました。

体幹・ファンクショナルが強調される前から使われていたバランスボールやストレッチポールなどが使われるレッスンでも「体幹を鍛えましょう!」というインストラクションがかかるほどでした。

 

新しいトレーニング方法やプログラムが導入されれば、最初は物珍しさで人が集まります。コバトレやファントレをベースにしたプログラム、海外で行われているメソッドは一定の参加者を集めました。パーソナルトレーニングジムもゴリゴリの筋トレ系ジムではなく、ピラティススタジオやファンクショナルトレーニングジムが出店されるようになります。

特にピラティス2LDKくらいの部屋でも(もっと小さなスペースでも)できるものなので、中には自宅を改装してスタジオオープン!なんてやっているところも出てきました。

この2012~15年頃のスポルテックやHFJというフィットネス業界の一大展示会はまさにファンクショナルトレーニングが注目の的でした。

東京ビッグサイトの展示室の中でも中心部にブースを陣取り、大音量で音楽をかけてTRXのデモンストレーションが行われていましたし、バイパーというまるでバズーカ砲のような形をした器具を使ったファンクショナル運動も派手にパフォーマンスをしていました。

 

しかし、時間が経過してみて結果的にどうなったかは今回のスポルテックの会場風景がそれを証明しています。

「ファンクショナル」や「体幹」は定着しなかったのです。

ブームになったと言えばなりましたが、そのブームの規模は微々たるもので「ウォーキングドクターデューク更家」や「カーヴィーダンス」、「ビリーズブートキャンプ」など一時的とはいえ社会現象と呼べるほどのものまでにはなりませんでした。

「次はファンクショナルとか体幹が来るぞ!」と期待していたフィットネス業界だけが勝手に盛り上がっていただけに過ぎないのです。

 

この誤算の原因は、先ほど挙げたキーワードである「海外」「アスリート」に反応してしまったこの業界の(業界人の)頭の悪さにあります。

 

まず、海外で盛んに行われているとかアスリートがやっているトレーニングなどと言われても一般人には「ふーんそうなんだー」という程度にしか響きません。

サッカーやフットサルをやっている人は多いですからそういった人なら「長友がやってるトレーニング方法?ちょっとやってみようかな?」という気持ちになることはわかりますが、フィットネスクラブに来る人の大半は運動不足や体重増加を気にしてくる人たちです。アスリートのトレーニング方法よりも自分にはどんな運動が適しているのかの方が気になるはずです。

 

また、ファンクショナルトレーニングというのは実は難しいのです。

例えば「不安定な状態でも体幹がブレないカラダを作るトレーニング」として、

・右足で片足立ちになり

・左手でダンベルを持って肩の高さまで持ち上げ

・さらに頭上に上げる

という動作をやってみるとしましょう。

 

運動初心者であればまず片足で立っただけでかなりフラつきます。そしてダンベルを持ちあげるにしてもアップライトローやショルダープレスといったトレーニング動作がある程度理解できていなければ、何が何だかわからないものになります。

 

つまり、ファンクショナルトレーニングが上手にできるようになるにはスクワットやデッドリフト、ベントオーバーローイングなどの昔からある筋トレで「股関節から体幹を屈曲させる」というような基本的な筋トレが出来ている必要があるのです。

 

機能的なカラダを手に入れるためには

見せかけの使えない筋肉を作るためのトレーニングをする必要があったわけです。つまり「筋トレ」こそが真のファンクショナルトレーニングであり、体幹レーニングだったのです。

 

業界が流行らせようとしたファンクショナルトレーニングでしたが、結果的に「昔から行われている筋トレ」が見直されるようになってきました。

 

後編へ続く。

 

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筋トレがここまでのブームになるとは思ってもいなかったフィットネス業界の誤算:前編

2022年最初のブログ記事です。

毎年のように「今年こそは更新頻度を上げよう!」と思いますが、、、、できるだけやってみようと思います。

早速前回と前々回の記事の続きとして、現在でもウイルスの蔓延に苦しむフィットネス業界の誤算について書きます。

全く「新年」や「年明け」、「新たなスタート」などということには触れませんが、実際に触れる要素が無いと言っていいほど21年~22年は、特別なことが何も無い年明けになりました。

 

「マニア追求路線」として数々の筋力トレーニングマシンが会場のメインに並んでいた「スポルテック2021」でしたが、多くのフィットネス業界関係者は「そんなことになる」などとは全く考えもしていなかったと思います。

というのも、それまでのスポルテックなどのフィットネス関連イベントや博覧会などでは「ファンクショナルトレーニング」というキーワードが主流で、展示される運動器具や実際にデモンストレーションされるトレーニング方法というものはどれも「機能性」や「ファンクショナル」を打ち出したものばかりでした。

この「機能性」や「ファンクショナル」というものがこれまた説明が難しいのです。

「機能的なカラダ」「動ける身体」などどんな言葉を当てはめてもイメージがしづらく、映像で見る方が理解がしやすいかも知れません。

 

タレントの小島瑠璃子が「男たるもの使える筋肉を付けとけよ」という発言で炎上する出来事がありましたが、まさにフィットネス業界全体が「その発想」だったわけです。

筋トレユーチューバーたちが視聴者(チャンネル登録者)を集めていき、現在のような成功者とも呼べる段階に至るまでの最初のステップを踏み始めたのが、2015年頃です。それ以前から、そして筋トレユーチューバーたちが注目を集めるようになってきても、それでもフィットネス業界は「無駄な筋肉を付けてもしょうがない」という発想のままでいました。

正確には、世間一般にそうした発想の人が多くいたので、そこに合わせとけば世間にウケて客が増えるだろうという何とも安直な安っぽい(同じこと繰り返してますけど)発想をこの業界人たちは持っていたのです。

「筋肉を付けすぎても、なにも使えない。」

「ジムで鍛えた筋肉は見せかけの筋肉。実際の運動や競技で自然とついていく筋肉とは違う。」

「筋肉を付けすぎると逆にスピードが落ちる」

など、とにかく筋トレや筋肉というものにマイナスイメージを持つ人が多かったのです。

プロ野球選手の清原和博が現役時代に、パーソナルトレーニングジムの老舗であるトータルワークアウトで肉体改造を行いましたが成績が付いてこず、怪我にも悩まされることになったもの影響していたでしょう。

「清原がダメになったのは筋肉を付けすぎたせいだ」と何も知らない自称スポーツジャーナリストもコメントしていました。(今となってはただの無知&バカコメントに過ぎないことがはっきりしましたが)

今でこそ、筋トレの権威・インフルエンサーとしての地位を確立した山本義徳や山岸秀匡も当時のテレビや動画メディアでは完全にゲテモノ扱いで、まるで気持ち悪いものを見るような視線が向けられていました。

 

ですから「カラダを鍛えよう!」と筋トレを始めた人に対して

「何目指してんの?」という質問が出るようになりました。

「そんなに体を鍛えてどうすんの?」ということですね。

体を鍛えた先に何があるのか?どんなメリットがあるのか?なんにも無いじゃーん!と今でも思っている人は多いでしょう。

 

しかし、不思議なことに「筋トレ以外のスポーツや習い事」に対しては「何目指してんの?」という質問がでることはありません。

私なんて逆に質問したいですよ、ランニングしてる人とかゴルフ・テニス・水泳などをしている人に対して。

「何を目指してるんですか?」と。

ゴルフがうまくなった先に何があるんですか?どんなメリットがあるんですか?

(あとは「ゴルフ」の部分を別のスポーツなどに置き換えて応用)

ぜひ回答をお聴きしたいものです。

 

そんな世間一般の

「筋トレ=メリットが無い」

「一部のマニアが好んでいる気持ちが悪いもの」

といったイメージに合わせて、フィットネス業界は「使える筋肉」や「動ける身体」というものを積極的にフィットネスクラブで打ち出すようになります。

 

その中で「体幹」という便利なキーワードに業界は目を付けました。

「筋力トレーニング」ではなく「体幹レーニング」です。

この言葉を見聞きした方は多いかと思います。

2010年頃からフィットネスクラブでは「体幹」が強調されるようになりました。また、体幹レーニングの一つとして「ピラティス」もこのころから世間に広まっていきました。

 

ボディビル的な筋トレにはどうしてもバーベルやダンベルなどの器具をそろえる必要がありますが、体幹レーニング・ピラティスにはそういったモノは必要ありません。女性ならば筋トレにはどうしても抵抗感を感じる人も多いですが、「体幹」ならばそのハードルはぐっと下がります。

設備費などが掛からずに、ウケるトレーニング方法が見つかりました。

「筋トレ=無意味」という世間の誤認識に合わせて「いくらアウターを強化しても、インナーマッスルが上手く使えていなかったら、動ける身体は作れませんよ」などという最もらしい売り文句も都合よく使うことができました。

 

こうしてボディビル的ではなく、ただ筋肉を付けることを目的とせず、見せかけの筋肉ではなく使える筋肉をつける、動けるカラダを作るといった概念が「ファンクショナルトレーニング」という言葉に置き換わってフィットネスクラブで行われる運動プログラムになっていきました。

 

中編へ続く。

 

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スポルテック2021雑感そのニ

前回の記事で「マニア追求」というキーワードが当てはまったと書いた2021年のスポルテックですが、筋トレをする人、ボディビル、ボディメイクをする人というのはここ数年でその数は明らかに増えています。

エニィタイムフィットネスやゴールドジムは現在、筋トレをする人達で時間によっては非常に混みあうこともあり、ジム現場の活気ということなら新型コロナウイルスの影響からいち早く脱却した数少ないフィットネス会社になるのかも知れません。

 

カッコイイ身体作りとしてのフィットネスではなく、健康的な体にすることや運動を楽しむ、運動が体に与えるメリットを広く知ってもらうという意味でのフィットネスは、今回のスポルテックを見る限り、まだまだコロナ禍から抜け出せていない、厳しく言えば壊滅状態であり昔から何も変わり映えしないままであるとも言えます。

 

個人的に注目だったのはこちらです。

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プロテインドリンクの自動販売機ですね。カップに注ぐタイプのコーヒーやココアの販売機のようにボタンを押すとプロテインドリンクがカップで出てきます。会場に置かれているものは無料で何回も飲めたので3~4杯ほど色々な味のプロテインをいただきました。

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面白いのはホットドリンクとしてのプロテインもあるのです。これは斬新だったし、こうした販売機が街中にとは行かないまでも、企業が複数入るようなオフィスビルなどにまずは置かれるようになったりすればトレーニングやタンパク摂取への意識も社会的に上がっていくように思います。それこそ24時間ジムにこんな自販機があったら味によっては即売り切れになるものもあるんじゃないかと思います。

 

この他は前回の記事に載せたようにマニアックな筋トレマシンの展示が多かったわけですが、フィジーク大会やベストボディといったコンテスト、筋トレユーチューバーたちの影響によってトレーニングをする人の数というのは増えたため、その市場へ向けた商品が目玉になっている様子です。

 

数年前のスポルテックやHFJという似たような展示会では、キックボクシングエクササイズやTRXを使った「グループエクササイズ」が大音量でデモンストレーションレッスンを行い、飛び入り参加者まで集めて派手な宣伝活動をしていました。

むしろそちら側の方がメインで、筋トレマシンはそのあとに続くものという程度でした。

 

今回はいくつものグループエクササイズライセンスを「MOSSA(モッサ)」というブランド名で保有するブラボーグループ社が出展しておらず(確かそのはずです)、看板インストラクターたちの実演レッスンはありませんでしたし、資格ビジネスとセミナービジネスばかりやっている斉藤邦秀(業界ではよく見る人で、最近では糖質制限を提唱する白澤医師とまた新しい資格ビジネスを立ち上げています)が数人を参加者と共にファンクショナルトレーニングを見せている程度でした。

TRXという器具のデモンストレーションも出展ブースの規模が明らかに依然と比較して小さく、ほそぼそと実演をしているという程度です。

 

数年前のフィットネス業界は「ファンクショナル」「機能性」「体幹」「動ける身体」というキーワードに絡んだプログラムが商品が並んでいました。おそらく筋トレよりも一般的にはそちらのほうにニーズがあるのだと思ったのでしょう。

 

しかし、現実は真逆になりました。

 

また次回に続けます。

スポルテック2021雑感

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約3年、または5年くらいスルーにしていたフィットネス業界最大の展示会「SPORTEC」に

今年はなんとなく行ってみようかな?という気になったので会場は足を運んでみました。

12/1〜3で開催され、私が行ってきたのは最終日の12/3です。ちょうど1週間ということですが、そのくらいしてから「とりあえずブログに書いておくか」と思えるくらいの内容だったということです。

 

ひとまず、会場の様子とそこで受けた印象からです。

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会場に行ってみると、まずその広さに驚きました。というのもスポルテックは毎年の回を重ねるごとに規模が縮小され、会場である東京ビッグサイトの中でも一番小さいと思われるスペースで開催されていたこともあったくらいです。

ですから、コロナ禍を経てのこの規模でのイベントとは!と、業界の回復を思わせられました。

 

が!

 

写真を見てもわかる通り、来場者が明らかに少ないです。

能天気で短絡的で何も考えていないフィットネス業界人たちのSNSには、会場は盛り上がってました!とか、多くの人が詰めかけていました!などのセリフが、やはり馬鹿の一つ覚えのような集合写真と共にアップされていますが、実際の空気感はそれとは真逆です。

平日の昼間に開催という、普通に仕事してる人なら行けるわけもない日程での開催ということもあるのでしょうが、まあ寂しい会場でした。

 

今回のスポルテックについて私なりのテーマを挙げるとするなら、「マニア追求」です。

たとえばこのマシンや

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あるいはコレ
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そしてこちらは寝そべってバーベルロウができるベンチです。
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これらを見て、一般の人達や運動初心者に使いやすい器具だとは思えないです。

筋トレをしている人、同業者、ビルダーやフィジーカーなど、完全に「筋トレ好きな男」をターゲットにしたものばかりです。

 

どんなに改良を加えたとしてもチェストプレスはチェストプレスだし、パワーラックはパワーラックです。

 

既に筋トレを実践してる人ならメーカーによるマシンの違いや、良し悪しがわかるものですが、そこへの訴求ばかりで何も目新しさがありません。

 

製品によっては昔ながらのマシンが今年もまたか…という感じで出展されていたり、サプリメントも大半がプロテインの紹介でした。

 

盛大なイベントのようで、その中身は狭い方狭い方へと進んでいるという印象でした。

 

次回はもう少しスポルテックについて書きます。

 

 

 

 

健康器具、健康食品、トレーニング方法などで迷ったらまずは事実を確認しよう!

ファクトフルネスという本が何と現在でも売れている様子です。

意見や考え方の前にまずは世界中で起きている現象を見て何がどうなっているかの判断材料にするという本ですが、これはフィットネス関連の商品やトレンドなどを見ても大いに当てはまる事なので、業界人も参考にするべき視点やものの見方です。

 

このブログで最も読まれている記事は「ジョーバ」という乗馬運動健康器具についての記事ですが、その記事が一位になるということはその器具を買い求めようとしている人が多いということを意味しているはずです。

しかし、事実を見てみるとどうなのでしょうか?

つまり乗馬運動器具に確かな運動効果があり、それに付随するダイエット効果があるというのならば、日本中のジムと言うジム、フィットネスクラブの多くがそのマシンを導入するはずですが、そんな現象は起こっていません。

 

このように事実を確認していけばより正解に近いもの、より効果的な方法ややり方というものが見えてきます。

 

ここ数日書いている加圧トレーニングについてもおさらいしておきましょう。

加圧という方法で軽めの負荷や重量を使ったトレーニングで筋肥大や筋の量が増えるということならば、やはりジムの中は加圧ベルトを巻いた人たちで溢れかえるはずですが、そんなことは起こっていません。

今でも加圧トレーニングジムというのは多くありますが(それにしても以前よりは少なくなったものですが)、そこに来るお客さんには加圧指導しているけど自分自身では加圧をしないで普通の筋トレをしているトレーナーも多いです。

 

美容効果、アンチエイジング効果があるということなら痩身系エステや美容系サロンがこぞって加圧トレーニング器具を導入するだろうし、利用者のビフォーアフター写真で「加圧を数週間継続したら若返りました」というような写真がネットに多く流れてくるはずです。若返りに敏感なホリエモンだって絶対に食いついて離さないでしょう。

 

低体力や人や怪我、大きな手術などを受けた人などのリハビリ効果としては、加圧は「ベルトを巻いて血流制限をしたことで、そうしなかった場合と比較すると明確に違う」というくらいの効果が実際の症例として数多く報告されています。

一方で、そうは言っても「効果があまり出なかった」という例もあるはずですし、医者それぞれの考え方や意見、または利権なども絡むので、日本中の病院や整形外科クリニック、リハビリテーション施設で加圧が導入されているという状態にはなっていません。

 

サプリメントも同様です。

テレビを付けていれば本当に色々な健康食品やサプリメントのCMが流れてくるのがわかります。それらが本当に効果的で、体調に目に見えた変化が起こる!数値が改善する!ということならまるで薬のように日本中の薬局で販売されるでしょう。

確かにこの現象は実際に起こっており、ドラッグストアに行けば数多くのサプリメントが販売されています。

そう考えると個々のサプリメントにはそれぞれ人体に良い影響を与える効果があるのだと言えるでしょう。しかし、多くのトレーニーや健康マニアとも言えるような人たちが実際に使っているサプリメントは日本製ではないことの方が多いのです。

iherb(アイハーブ)という健康食品販売サイトやナウフーズというメーカーが有名ですが、実際に愛用されているサプリメントはそういったモノであることが多いです。

ビタミンやミネラルなど、栄養サプリメントについて少し調べてみると、日本製というのは確かに品質は良いのでしょうが、値段が高額であり、サプリメント自体に含まれる栄養素の含有量も少なくなっていることが多いのです。

ですから、サプリメント愛用者の多くは値段的にも安く、一日の必要量を一回の摂取で満たされるように作られている海外のものを利用しています。

 

こうしたことは実際の現場を見てみるとわかることですし、今の時代であればSNSYouTubeでも確認することができます。

 

実際の現場とはまさにジムや運動施設を利用している人のことですね。試しに一度でいいからジムやフィットネスクラブに入会て実際に通ってみましょう。

レーニングをしている人が何をしているか、ロッカールームでどんなサプリメントを摂っているかなどの現実を自分の目で見ることができます。

 

SNSYouTubeも著名人になると企業案件やタイアップ企画などを請け負っていて、実際にそのサプリを使っているのかどうかは不明確になりますから、忖度無しのレビューをネットに載せている素人さんの投稿や動画を参考にしてみましょう。

 

事実を見れば多くの事がわかります。

加圧だからより効果的だ、ということはありません。

加圧トレーニングについて、そのホントのところをまた書いていきます。

 

様々な効果が宣伝文句に使われている加圧トレーニングですが、実際のところどうなのか?加圧トレーニングに限らず色々な健康器具やサプリメントでも言えることですが、まず見るべきは実際に起こっている現象です。

 

前回の記事では加圧トレーニングと筋肥大について書きましたが、「加圧トレーニングを行えば低い強度の負荷でも筋肉が付いていく」というのならば、筋肉を求めるボディビルダーやアスリートたちがこぞって加圧トレーニングを実践しているはずですから、ジムの中は加圧ベルトを巻いた人たちで溢れかえるはずだし、YouTubeにも加圧トレーニング動画が大量に出回るはずです。

しかし、実際にそんな現象は起こっていません。

 

美容効果についても同様です。

加圧トレーニングには美容効果(美肌効果?)やアンチエイジング効果があるという謳い文句がまるでセットのようについてきますが、こちらもその言葉の通りならば芸能人やモデルたちが加圧トレーニングをガンガンやるはずだし、個人で加圧ベルトを買ってインスタグラムにでも載せてくるでしょう。

しかし、実際にそんな現象は起こっていません。

 

というように、甘い言葉や楽に願いが叶うかのような言葉を見たら「本当にその通りだとしたら起こるはずの現象が起こっているのか」を確認すれば間違いありません。

 

筋力アップ、美容・美肌に合わせて加圧トレーニングにはダイエット効果や体脂肪が減る効果があるとも言われますが、こちらも「それが確かならば」と考えれば、日本中の加圧トレーニングジムや加圧をやっている運動施設が「好きなものを好きなだけ食べても加圧トレーニングをすれば痩せられます!」「食事制限不要のダイエット!」などという言葉をウェブサイトや広告に掲載しまくるでしょう。

一般の人たちの間でも「毎日お菓子を食べまくりだけど加圧トレーニングで引き締まったままです!」というSNS投稿がどんどん出てくるはずです。

 

正確に細かく説明と解説をしていけば

加圧トレーニングには確かに筋力アップ、美容、ダイエットなどの効果はありますが、「加圧トレーニングだからこそ効果が出る」とか「加圧という手段を取ることによって通常のトレーニングでは得られない効果が得られる」という程ではありません。

 

加圧トレーニングをしているから、してない人よりも筋力が上がる

とか

加圧トレーニングをしているから、していない人よりも肌がきれいだ

とか

加圧トレーニングをしているから、体重が減っていくスピードが普通のダイエット方法よりも早くて効果的だ

などということはありません。

 

「じゃあ加圧ってなんなの?」という話になりますがそれは次回に書くとして、加圧だからそこ通常では考えられないほどの効果があるものが、実はあります。

それはリハビリ効果です。

 

大きな手術を受けた人(骨折や脊柱管狭窄症などの整形外科的なものから、脳梗塞などの外科系なものまで)が病院のベッドに寝た切りになってい状態から起き上がり、立ち上がり、自分の足で歩くようになる、または手足を自分の思うままに動かせるようになっていくといった回復という点では、加圧トレーニングはまさに「他の方法と比較すると比べ物にならないくらいの」効果を発揮しするようで、

実際に加圧学会の場では数多くの「加圧トレーニングならではの、早期リハビリテーション」や奇跡的な回復の症例が報告されています。

 

この点において、加圧は間違いなく効果があるものだと言えますが、その他の点において「加圧をすること」が他の運動方法やトレーニングに比べてより効果的だ、ということはありません。