前回の続きとして、姿勢の悪さはそんなに悪いことなのかを考えていきます。
例えば、「ドカーン」とか「バーン」という大きな音がすぐ近くで鳴る。
(すぐ近くで雷が落ちるような轟音ですね)
目の前にボールが飛んでくる、ゴキブリが飛んでくるといった状況になった時に
人はどういう体制をとるでしょうか?
これはちょっと大げさですが、こんな風に”背中を丸めて”、腰痛や肩こりの原因とされる”悪い姿勢”を作って身を守ろうとするはずです。
これは「屈曲反射」(くっきょくはんしゃ)と呼ばれる、人間が身を守るための自然な反応です。
何かにぶつかりそうになった時、つまづいて転ぶ時に
こんなふうに全身の関節を伸ばしている人なんていないはずです。
こんな体制で転んだらそれこそ大けがをします。
柔道のなど格闘技では、まず始めに習うのが「受け身」です。
受け身は必ず顎を引いて背中を丸めて頭(後頭部)を地面に強打しないようにするものです。
この様に考えると、高齢者の背中が丸まってくるというのは、転倒した際の被害を最小限に食い止めるための体制をあらかじめ作っている状態で、
そう考えれば「機能的な姿勢」であるとも言えます。
高齢者の事故で最も怖いのは転倒による骨折です。
まっすぐな背すじで、両手両足を伸ばして転んだら、と考えるだけでも怖いですよね。
背中が曲がった姿勢がいわゆる「悪い姿勢」とされているのは、実は見た目の問題だろうと私は勝手に考えています。
いかにも「おばあちゃん」、「年寄り」、「老人」という感じがして見ていて嫌だし、なりたくないということです。
高齢者の方は背中の丸い年寄り姿勢になる「歩くときに杖を使う」ということを極端に嫌がります。
杖を使ってもらえれば、まず転倒するリスクが減ります。
杖を使えば体重を杖に預けますので自然と前傾姿勢(背中を丸くした姿勢)になりますから転んだとしても受け身の体制になりやすいですよね。
だから家族は進んでおじいちゃんおばあちゃんに「杖使いなよ」といいますが、おじいちゃんおばあちゃんは最後の最後まで嫌がります。
安全な猫背か、転んだら危険な「正しい姿勢」か、どちらを取るかは本人次第です。
姿勢は悪くても、特に肩も凝らない、腰も痛くないから整体院・マッサージなんてほとんど行かない人もいます。そんなに猫背はいけないんですかね?