肩こり、首凝り、腰痛、ひざ痛、五十肩などの整形外科的な身体の悩みから
高脂血症、糖尿、高血圧、高コレステロール症などの心臓血管系の疾患そしてそれに付随する内科的疾患など、あらゆる身体の不調を改善・緩和させる一番の薬は運動・運動療法です。
ではなぜ「身体を動かすこと」が「改善や治療」につながっていくのでしょうか?
心臓血管系の不調や内科的疾患の場合は、(以前にも書きましたが)血液がキレイになっていくからです。具体的に言えば、血液が全身を巡って肝臓を通る量が増えればそれによって血液がろ過されて(イメージです。医学的な意味でのろ過とは違います。)ゆく量も増える。それによって血がキレイになるというメカニズムです。
では、関節痛や筋肉の痛みなどの整形外科的な不調がなぜ運動で改善されるのかというしくみは、「身体は動かすことによって神経が促通される」という基本的な人体のメカニズムに沿っているということになります。
わかりやすい考え方がスポーツにおける「ウォーミングアップ」です(ウォームアップともいいますが)。
スポーツをする場合、その種目をいきなり始めるよりも、事前に体を動かして温めて、さらにその競技の本番の動きそのものを低強度の動作でなんども繰り返していくことによって、身体の動きは何もしないよりもずっと良いものになります。
ゴルフなんかいい例ですよね。何もしないでいきなり打つのと、シャドーをするように素振りをして、本番と同じスイングをしてからやるはずです。
身体・関節を動かすことにより、筋温が適度に上昇すると、人の身体はよく動くようになるわけです。これが運動療法の仕組みそのものです。
つまり関節痛がある・筋力が著しく低下している などといった人の場合、
適度に体を動かすことは、
「何かスポーツをする前にウォーミングアップをすることで
よりそのスポーツがやりやすい状態になる」 ということと同様に、
それによって、特に体に不調を感じない普通の状態に体が戻るということです。
健康な人がウォームアップをする→スポーツができる身体の状態になる
不調を抱えた人が運動をする→ウォームアップをする前の健康な人の状態になる
と書くとわかりやすいでしょうか?
これが運動療法の仕組み、なぜ運動が体に良いのか、ということです。