昨日の続きです。
どんどん下がり続けるフィットネスクラブの月会費。これによりフィットネス業界で働く人材には「正社員とバイトの境目」がなくなってきています。
社員もバイトも仕事はほとんど同じ、給料もそんなに変わらないということです。
では、現場(フィットネスクラブのジムエリア、プール、スタジオなど)ではどんなことが起こるのでしょうか?
確実に言えることは「時給スタッフ」というのが不要になります。前回、正社員がいなくなるということを書きました。それとも関連しますが、何らかの価値提供ができる人材しか、フィットネスクラブの現場では活動できなくなるということが考えられます。
ジムエリアのスタッフ、受付担当スタッフ(入会手続きなどの事務スタッフ)というのは基本的に時給スタッフです。正社員も時給がアルバイトよりも高額な時給スタッフと言ってよいでしょう。
まずジムエリアのスタッフというのは、基本的には警備員・ガードマンに近い存在です。運動指導をするというよりは、器具の使い方の説明、ジム内で何か問題が起こらないかの監視が主な仕事です。すでに現場に配置するスタッフを極限まで減らし(ほぼ1人体制)、入会申込も簡単な書類記入で住んでしまう仕組みのフィットネスクラブも出てきています。
現在のフィットネスクラブでは、事実上のガードマンスタッフのことを「トレーナー」と表現していますが、これは間違いだと言えます。業界全体の低価格化が進み、現場に立つことでお金が発生する時給スタッフの人件費も削られる(払えるだけの余裕がなくなる)ことを考えると、トレーニングマシン、器具を使って運動指導ができる人材しか、企業は欲しいと思わなくなるでしょう。
その人材に、業務委託形式、つまり「自分の分は自分で稼げスタイル」で仕事をさせれば毎月の固定給、保険料、交通費などを企業側は支払う必要がなくなります。
今後、ジムエリアの現場というのはいわゆるパーソナルトレーニング指導ができる人材しか活動ができなくなるでしょう。現にフィットネスクラブのパーソナルトレーナーというのは業務委託契約で固定給をもらっているわけではありません。
また、大手やスモールサイズのジムの求人を見ても「パーソナルトレーナーの求人」というのは盛んにおこなわれていることからもこのことが簡単に推測できます。
スタジオレッスンについても同様です。こちらの方がより鮮明だとも言えますが、決められた振付いわゆるプレコリオを担当するだけのインストラクターというのはその仕事を現場の時給スタッフが兼任していることが大半なことからもわかるように、優れた指導力、プレゼンテーション力、魅力などがあって一定の参加者を確保できる人以外は必要とされなくなってきます。
この様に見ていくと、実はその状態は、フィットネスクラブの現場としては正しい姿なのです。運動指導ができる人材の仕事場=フィットネスクラブなわけですから、ジムエリアに立つのは指導ができるトレーナーであり、監視員はカメラ越しに別部屋にいればよくなります。
スタジオプログラムもマニュアルを覚えただけのレッスンはビデオレッスンにできますし(実際にやっているところもあるらしいです)、ロボットでのできようになります。老人ホームではロボットによる体操指導を試験的に行っているところもあります。
フィットネスクラブの低価格化とは、実は利用者だけでなく、やる気をもってそこで働こうとする人たちにとっても良いことになるのです。
ここで生きてくるのがスーパーマーケットのイオンが始める「月500円の自宅配送サービス」のような「月定額+利用料」の料金形態です。
明日はこれについて書いていきます。