スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

運動しなくても、不健康な食事を続けても「直ちに健康に害はない」

「直ちに健康に害はない」という言葉を本当に繰り返し繰り返し聞きました。東日本大震災に関連する福島第一原発放射能漏れ事故があった直後のことです。

炉心溶融」いわゆるメルトダウンのことだと思いますが、その言葉を使わないように東京電力が指示を出していたということが明らかになったのは”つい昨日”のことです。

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当時の官房長官が「直ちに健康に害はない」ということばを記者会見のたびに発言していたようなイメージがあります。

 

さて、放射能というものに対する知識は私にはありませんが、「直ちに健康に害はない」という言葉から考えると、「そのうち健康に害がある」「今後、どこかのタイミングで健康が悪化する」という意味に捉えることもできると思います。

 

この意味においては運動不足、偏った栄養摂取(食習慣の乱れ)というのも「直ちに健康に害はない」ものです。放射能と同様にというと大げさな表現になりますが、放射能に被曝することによって様々な健康被害が「直ちに、ではなく後ほど」出てくるように、運動不足・不健康な食事による健康被害も「後ほど」出現してきます。

 

もっとも有名なものが糖尿病(Ⅱ型)です。そのほかにも色々な症状の病気のことをまとめて生活習慣病と表現したりしますが、まさにこれはその人自身が自分の身体にとって悪影響があることをやり続けた結果、起こるものです。ですから医者たちはその前段階で健康診断を受けさせ、その危険性を伝え、生活を改善するように勧めます。(その過程でほぼ100%の確率で進められるのが運動であり、フィットネストレーナーの仕事はその指導なわけです)

 

しかし、多く人は医者のアドバイスは聞きますが、行動には移しません。「直ちに健康に害はない」からです。毎日のように酔いどれになるまで酒を飲もうが、何十本もタバコを吸おうが、コンビニ弁当を食べ続けようが、ラーメンを食べ続けようが、ジャンクフードを食べ続けようが、「直ちに健康に害はない」のです。

 

ですから、頭の中でこう考えます。「自分だけは大丈夫だろ」と。「ヤバくなったらその時辞めればいいや」と。だって「直ちに健康に害はない」んですから。

害が出てきたらやめればいいや、となるわけです。同じような感覚で「直ちに健康に害はない」、「害が出てきたらすぐに移住すればいいや」ということで福島県に移り住む人はいないのに、不健康な生活はいつまでたってもやめることはしません。

 

害になったらやめればいいというのは明らかな間違いです。糖尿病というのは事実上、なってしまったら治ることはないのです。症状がひどく悪化しないように抑え込み続けていかなくてはなりません。「直ちに健康に害はない」から、「最後には助かるだろう」という甘い考えも加わり、不健康な生活を送り続けることは、「直ちに健康に害はない」からという理由で放射線量が高い場所に居続けることと同じくらいの健康リスクがあります。

 

運動しなくても、筋肉を鍛えなくても、不可欠栄養素を摂らなくても、

直ちに健康に害はありません。

 

糖質と油ばかりの食事を続けても、大量のアルコールを飲み続けても

直ちに健康に害はありません。

 

だからそのままにしますか?

何か行動を起こしますか?