スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

「ながら運動」よりも「意図的な運動」が重要です

テレビを見ながらできる運動、キッチンに立って料理をしながらできる運動など様々な「ながら運動」というものがメディアで取り上げられることがあります。

 

そういったながら運動は簡単に言ってしまえば「やらないよりはずっとマシな状態」を作ることはできますが、体力筋力を向上させていく、ウエストを引き締めていく というような上昇していくグラフのようなものを描くような効果はあまり期待できません。

 

歩くこと(ウォーキング)を例に挙げて考えてみましょう。多くの人がほぼ毎日のように歩いているはずです。地方のように歩くだけでは時間がかかり過ぎるいわゆる車がなければやっていけないという環境にいる人を除いて、多くの人が駅まで、または会社まで歩いてor自転車などで出勤しています。

この時の通勤のために駅・会社まで歩いていくというのは「ウォーキング」という立派なエクササイズです。通勤も仕事の一つと考えれば、まさに仕事し”ながら”ウォーキングをしている「ながら運動」です。

 

日本の多くの企業は週休二日制ですから、週5日はウォーキングをしている、会社からの帰宅も併せて考えれば週5日、つまり”ほぼ毎日10回”のウォーキングをしているということになります。

 

ですからそれを何年も続けているサラリーマンの人たちは、健康で、体力があって、足腰も丈夫なはずです。

でもそんな人いるでしょうか?毎日ウォーキングをしているにもかかわらず、年を重ねるごとに体力低下を感じている人、メタボ腹になっている人は多いですよね?というかそんな人だらけですよね?

「ながら運動の効果」とは損程度のものだと思って構いません。

 

ではやらなくもいいのかというとそんなことはないのです。明日からすべての移動を車で行うか、通勤なしで自宅で一日中部屋にこもって仕事をするようになったとすると、驚くほど速いスピードで体力と筋力は「今の状態」からグッと下がります。

自分の力で野球のキャッチャーのようにしゃがむこと、そしてそこから立ち上がることもできなくなります。実際にやってもらうと驚くほど当てはまっているので我々は「車での移動が多いですね」とか「ちょっと外に買い物に行くのも車を使ってしまいますね」などとその人の生活をある程度当てることができるほどです。

 

通勤で駅まで、会社まで歩いているというのは「有酸素運動」の一つと言えますが、言い方を変えれば「足を動かして自分の身体を前方に送り続けているだけ」ともいえるのです。これは運動とは言えません。

 

自分の意志で「運動する」という意識をもって歩くことは「ウォーキング」というエクササイズであり、心臓血管系のトレーニングであると言えます。

そのくらい「意図的に身体を動かす」こと「ながら運動」には差があるのです。