RICE(ライス)処置という言葉はフィットネスクラブに務めている人や何らかのトレーナー系の資格を持っている人であれば
ほぼ100%の確率で知っているはずの言葉です。
ケガが発生した際の緊急対応について行うべき処置の
頭文字を取って並べたものです。
R Rest(安静)
I Icing(冷却・アイシング)
C Compression(圧迫)
E Elevation(挙上)
の4つです。
挙上というのはイメージがしにくいかと思いますが、足の捻挫などの際に横になってもらい、患部を少しだけ高いところに保つようにする(心臓より高いところへ) というものです。
スポーツの現場ではケガというのはしょっちゅう起こるものですが、フィットネスクラブの場合は、それほど大きなけがが発生するようなことは起こらないことが大半です。特にウエイトトレーニングの場合は、バーベルやダンベルを落とすと本当に命にかかわるくらいのケガをする重量で行うという場合もあるので、トレーニング時にはみんな細心の注意を払います。
クラブ内でケガが起きるのはプールサイドやお風呂で転倒などの水回りと、ランニングマシンでの転倒が多いです。
さて、このライス処置ですが、「ケガをした時はこれ!」というものとして捉えていると、「ケガにはライス処置が有効!」だと、どうしても考えてしまいがちです。
ライス処置というのは「ケガに有効」というポジティブなものではないのです。
むしろ
「ライス処置をしなかったらもっと深刻なことになる!」とか
「ライス処置に反することをすると傷病を悪化させることになる」という
ネガティブなものだと考えるべきです。
仮に足首をひねってしまった人が目の前にいるとして、その人に
ライスとは真逆のことをしたらどうなるでしょうか?
安静にしない、つまり「運動」です。
ケガしたところを動かしてもらったり、他動的に動かします。
アイシングの反対、つまり「温め」です。
患部にカイロを当てたり、ヒーターの前に患部を持って行ったりします。
圧迫の反対、これは「開放」ということになるのでしょうか?
患部に対して「特に何もしない」ということです。
挙上の反対、「下制」です。さらに低いところへ患部を下げます。
細かい説明をそれぞれ書いていってもいいですが、
こうやって書き出すだけで、もうけがが悪化することは明白です。
ライス処置は「すると良い」のではなく「しなきゃヤバい!」「しないと今よりも悪い状態になってしまう」というものだということですね。