数回にわたって書いている、公共トレーニング施設におけるパーソナルトレーナーのフリー客の連れ込みについてですが、今回は施設の側に立って考えてみましょう。
施設側からすると、
外部からトレーナーが入って顧客の指導をすること自体にはそれほど問題がありません。問題なのは、それを許してしまうと収拾がつかなくなるということなのです。そしてロッカー内などで金銭の受け渡しなどが公然と行われる様子が展開されるのは、施設の印象的にも決して良いものではないはずです。
約10年ほど前のことですが、千駄ヶ谷にある東京体育館というところはそんなフリー客を連れ込んでトレーニングをするパーソナルトレーナーで溢れかえっていました。
それはその東京体育館という施設が非常に設備が整っていて、なお且つ入会などの余計な手間をかけることなく600円くらいで誰でもすぐに中に入れることができ、さらに時代背景的に「パーソナルトレーニング」というものが今ほど有名でなかったこともあり、指導者たちへのルールや規制が儲けられていなかったという背景が重なってのことです。
ライブドア時代のホリエモンが株式の売買に関するルールの甘さを利用してニッポン放送を取得しようとしたように、ルールが整っていない段階から何かを始めてしまうというのは儲かる物事に共通する項目なのかもしれませんね。
何を隠そう、私自身もかつては東京体育館にお客様をお連れして、お金を直にいただくということをしていまして、その時は本当にうれしく、正当な対価を得ている充実感に溢れていました。
当時はフィットネス人口も少なく(現在も多いとは言えないけれど)施設の利用者自体も少なかったので、パーソナルトレーナーが施設内に溢れるようにいても特に大きな問題にはなっていなかったのです。
しかし、2017年現在では、意外なことに公共施設を利用して自分で運動するという人はかなり増えています。
パワーラックやベンチプレス用ベンチなどは「誰も使っていない」という状態にあることの方がまれだと言って差し支えないくらい入れ代わり立ち代わりに誰かがやってきます。施設側も順番待ちを記入するホワイトボードを用意したり、簡易的な整理券などを用意しているくらいです。
そんな状況の中で、パーソナルトレーナーが外部からお客様を連れ込んでトレーニングすることを認めると、大変なことになるというのは目に見えています。
施設側からすれば、誰の迷惑にもなっておらず、むしろお客様や利用者にはプラスになるはずのパーソナル指導なのですが、禁止にせざるを得ないということなのでしょう。