日本では「トレーナー」という言葉がとてもあいまいで広い意味を持っているため、トレーナーになりたい人やそういった仕事に就くことを目指している人がアルバイトの場として選ぶところがフィットネスクラブです。
しかし、それ自体が実は間違いであるというケースが多く、実際にフィットネスクラブというところに勤務してから現実を知り、すぐにやめてしまう人も後を絶ちません。
根本的なことを考えてみると
トレーナーという言葉のイメージがあらゆる誤解を生んでいるのではないかと思われます。日本の場合は「人の身体に関する仕事」に少しでも関わっていればすぐに「トレーナー」と呼ばれてしまいます。
スポーツの現場で選手のサポートをする人はトレーナーですし、マッサージ系の身体のケアを行う人もトレーナー、ランニングアドバイザーなど特定のスポーツを教える人(いわゆる先生)もトレーナーです。
このように考えてくとアメーバの増殖のように誰でも何かのトレーナーになっていくことでしょう。
そして数ある意味のトレーナーという言葉の中で多くの人が持つイメージというのは、レジスタンストレーニング指導者、つまり「筋力トレーニングを教える人」というものでしょう。
特に何かのスポーツにつなげることが目的ではなく、脂肪が少ない引き締まった体を作る「ボディメイク」としての筋トレを指導する「ボディメイクトレーナー」が多くの人が考える「トレーナー」だと思われます。
(2ちゃんねるの創始者から”それはあなたの感想ですよね”と言われそうですが)
そしてその意味でのトレーナーの仕事ができる場がフィットネスクラブだと思い多くの人が働きに来るのですが、施設を利用する人たちに対して実際に筋トレ指導を行う場面はそう多くはないというのが現実です。
フィットネスクラブの現場での業務の大半は「監視」です。重大事故やお客様同士の喧嘩などのトラブルを未然に防ぐために施設内をひたすらうろうろしながら見て回るだけの時間の方が8~9割でしょう。
スタジオプログラムを持たせてもらえたり、パーソナルトレーニング研修を受ければようやくやりたかった運動指導ができるようになりますが、そのための研修が有料であったり、一定期間は監視員としての仕事をしなければいけなかったりします。
つまりフィットネスクラブにおける「トレーナー」とはフィットネスクラブという施設で働く人をなんとなくそのように読んでいるだけに過ぎないのです。
実際の業務は監視員であり、警備員であり、ホテルのサービススタッフであり、フィットネスクラブという娯楽施設を利用者が快適に過ごせるようにするための施設管理業なのです。
スポーツトレーナーの中にはご自身のブログで、
「スポーツ系の専門学校を卒業して資格を取得しているのにフィットネス業界に就職することは間違っている。あそこはサービス業であり、不動産ビジネスの業界だ!」
「そもそもフィットネスクラブ勤務とトレーナーは別物だ!」
とはっきり言いきっている人もいます。
実際にフィットネスクラブというところで働いている身からするとその意見はごもっともだと思います。
トレーナーを目指すならフィットネスクラブで働かない方がいいかもしれません。筋力トレーニング指導者としての仕事はありますが、割合的には「ほんの少し」ですし、それができるまでには時間もかかります。