昨日の続きです。
いつでも押せるボタンとしてのフィットネスクラブは
「いつでも行けるから行かなくてもいい」ということになりがちです。
(詳しくは前日の記事を読んでください)
さて、そうなってしまう理由というのは現在でもフィットネスクラブが「施設」を売りにしている点にあると考えられます。
設備や施設が売りという点ではホテルも同様なのでしょうが、ホテルの場合は利用する人の目的に合わせた立地や設備などの細かい設定ができますし、ビュッフェやレストランなどの宿泊以外にも人を集められる要素もふんだんにあります。
それに対してフィットネスクラブというのはいわば「どこも一緒」です。トレーニング器具やマシンなどは細かな違いはあれどメーカーごとに大差はありません。
スタジオで行われているプログラムも大体似たようなモノです。
フィットネスクラブのチラシを見ればわかりますが、どれも設備の凄さを前面に押し出しています。
「プールがあります!それもこんなに広いのが!」
「ジムはこうなってます!最新のマシンがありますよ!」
「サウナがあります!ミストサウナも付いてますよ!」
などなど、、、、。そしてその次に来るのは決まって以下のような宣伝文句です。
「これだけの設備が月々〇〇円で使い放題!」
「さらに今なら入会金と事務手数料は無料!!」
これがまさに「いつでも押せるボタン」としてのフィットネスクラブというイメージをお客様に与えてしまってるのです。だからどこのクラブも会費だけ払って1年以上も施設利用が無い人というのが会員の大半を占めているわけです。
これがスクール型式、つまり「この日しか来ちゃダメです」とか「この日に来ないとダメです」というような縛りを持たせるということになると話は変わってきます。実際にスクール制を導入しているクラブもありますが、パーソナルトレーナーとトレーニングの約束をして別料金を払って予約をするなんていう面倒な作業も、トレーニングを「いつでも押せるボタン」にさせないための仕組みになっていると言えます。
しかし、最も有効なのは「人の魅力」や、そこで働く人(トレーナー)の技術、知識、実績などを売り出すことではないか、と私は考えています。
例えばスタジオプログラムにしても、
「エアロビクスができます」とか「ヨガクラスもご用意しております」などという売り方ではなく、
「このレッスンは海外のコンペティションに参加した経験のあるダンサーが担当します」とか
「有名アーティストのバックダンサー経験のある者がプログラムを担当いたします」とか
「ニューヨークのヨガスクールを修了した優秀なヨガ講師が指導します」などという売り売り方に変えてみたらどうでしょうか?
「いつでも押せるボタン」としてのフィットネスクラブというものからお客様や利用者が感じる印象がかなり変わってくるだろうと考えられます。
それこそ、タレントや俳優がレッスンを持ったり、歌舞伎町のホストたちがビシッと身体を絞って割れた腹筋を見せた写真とともに「私がボディメイクを担当します!」と言ってパーソナルトレーナーをやったとしたらかなりの売り上げを上げてしまうんじゃないか、とも考えられますね。
この様にフィットネスクラブが売り出すべきは施設ではなく「人」、そしてそれに関連する技術や知識、人となりなど、目には見えない部分にあります。
「ボタン」としての概念をどのように変えるのか、そこがポイントだと思います。