スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

再記:座っているのが一番身体に悪い

「身体を動かさないこと」について、研究や統計調査などは近年国内外を問わず盛んに行われています。

そしてその研究班たちが共通して結論付けているのは
「座りすぎは良くない」「座りすぎは体に悪い」ということです。

一日を「座っている状態」で過ごす時間が長い人はそうではない人に比べて
大小さまざまな病気、疾病にかかるリスクなどを総合的に見た場合の病気の罹患率や死亡率が15~20%も高いそうです。
中にはなんと40%と言っている学者もいるようで、驚きですね。

 

もっともその研究では「一日11時間以上座っている人」も対象に入っていた
ということですから、この時間の長さはだれがどう見てもさすがに長すぎるとは思いますが。

座っていることがなぜ体に悪いのか、普通に考えれば
身体を動かすこと=筋肉が収縮することですから
それによって「代謝」という重要な生命維持活動がなされなくなってしまいます。

食事をしてエネルギーを体内に入れても、座った状態でいると
糖や脂肪などの吸収や消費が十分に行われずに血液中に漂い続けることになりますから、体脂肪が増えることはもちろんそれよりも深刻な症状を招いてしまうことは明白ですよね。

 

日本に比べて海外の医療学会系の各団体が
一般人へ発表する注意喚起はその表現が強めになっていて
「テレビを見る時間が1時間長くなるごとに寿命が22分短くなる」などという少々過激な言い方で、自国民の健康意識を高めているのだそうです。

ちなみに日本人は一日平均7時間を座って過ごしているそうで、
これは国際平均の5時間を上回るものだそうです。

皆さんもご自身で「自分が座っている時間」を数えてみてください。
仕事、テレビ、映画、読書、、、結構長時間になるのではないでしょうか?

 

座りすぎには注意しましょう。

 

一般的に考えれば
立っていることに比べて座っていることの方が楽です。
それに間違いはないのですが、実は楽と感じているのは下半身、つまり脚だけなのです。

立っている状態とは両脚で体を支えていることになりますから、その姿勢が続けば脚が疲れます。
なので座るという行為によって脚は力を出し続ける状態から解放される
ことになりますが、そうなると今度は上半身を体のどこかが支えなければならない状態になります。

実はその「座り姿勢」は立位の状態に比べて4割近くも上半身へかかる負荷が増す姿勢で、その負荷は「腰」の部分へ集中してかかります。
背もたれなどによりかかった場合はある程度負荷は分散されますが、それでも腰が「完全に負荷無し」の状態になっているわけではありません。

 

座っている間中ずっと背筋を伸ばした姿勢をキープすることも長く続けられるものではないし本(新聞、雑誌)を読む、スマホを見る、PC等事務作業をする
といった行為をすれば自然と前かがみの姿勢になり、腰の筋肉への負荷はさらに増すことになります。

2時間以上の長時間の映画を観たり新幹線や飛行機での移動などはずっと座った状態にあって身体を動かすことはないはずですから、理論上筋肉(身体)はすることが無いはずにもかかわらず椅子などの長時間座っている行為は「疲れる」のです。

 

それに加えて影響が出てくるのは「全身の血流」です。

座っている状態とはどんな状態でしょうか?
脇を閉じ、肘や膝、脚の付け根、さらにはその状態で本やスマホを見る、または事務作業をするといった行為を行えば、脊柱(背骨)など、全身の関節が折り畳まれた(曲がった)状態になります。

関節が曲がった状態に必然的に
その関節を通る血管も折れ曲がることになり、血管が折れ曲がっているということになれば血流も制限されて、血の巡りが悪くなることは簡単に想像できるかと思います。

体中の関節と血管が折れ曲がっていても身体の隅々まで血液を行き渡らせる必要がありますからそうなれば頑張らなければならないのは心臓ですね。


座っていることによって心拍数や血圧が目に見えて大きく変化するというほどではないにせよ大の字になって横になっているよりは負担は増えることになります。

また、脚の付け根には上半身から枝分かれした太い動脈が走っているのですが、座っている態勢になればその太い動脈が折り畳まれることになります。
これによって下半身への血流が滞りがちになり、その状態で丸一日過ごすなどしていれば「脚が浮腫む」ということにもなります。

 

体を支える筋肉や関節への負担というものに加えて、心臓や血管、血流という点から
考えても「長時間座っていること」が負担であり疲労の元になっていることがお分かりいただけるかと思います。


では次回は、これまでの話を踏まえて
座っていることから生まれる疲労への対処法を考えていきます。