スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

睡眠で「疲労」は回復するのか?

睡眠について、引き続き考えていきます。

 

このブログを書くにあたって、「睡眠の常識はウソだらけ」という本を参考にしており、そこでは「いかに我々が持っている睡眠というもののイメージが間違っているか」「根拠のないところから勝手に植え付けられた幻想であるか」といったことが書かれており、その上で「睡眠はコントロールできるものである」として

短い時間でも大丈夫なもの=睡眠 だとしているようです。

(私もショートスリーパーにはなってみたいものですが、今のところどうやってもできないままです)

 

ここ数回、睡眠についての私の考えをまとめていますが、やはり睡眠は必要なものであり、どうしても7~8時間はかかってしまうものではないかという意見に変わりありません。

 

この本の中では「睡眠に疲労回復効果があるなら、多くの人が肩こりと腰痛に悩んでいるのは不思議だ」と指摘しています。

この点に関しては確かにその通りなおかしな点であるといえますが、肩こりと腰痛は「疲労」というよりも「不調」と表現すべきだと思います。

 

つまり、

「睡眠は肩こりや腰痛などの整形外科的な体の不調や痛みを直接的に回復させるものではない」ということです。

この場合、必要なのは血流を促すことです。

患部やその周辺に血流が十分にあることで、痛みの元となる物質が流れ、栄養素が送り込まれることによって痛みが緩和していきます。

ストレッチやエクササイズ、あるいは鍼灸、マッサージなどの医療行為はすべて、血流を促す行為であると考えられます。

 

睡眠時には血流はむしろ制限されますから、寝ることは痛み改善の条件から遠ざかることになります。むしろ関節痛などは「寝ている時にひどく痛む」ということもあるくらいです。

「睡眠時には成長ホルモンが出る」というものよく聞く話で、そのホルモンが傷んだ組織を修復するということもまた睡眠の話が出る時によく聞かれますが、「ホルモンは血液によって全身に運ばれるもの」ですから、寝ている時に分泌されたとしても、それが痛いところに十分届いているかは疑わしいものです。

もっと言えば、寝ている時に成長ホルモンがきちんと出ているかは専門の研究機関で調べてもらわないとわかりませんし、そもそも成長ホルモンは「子供が大人になっていく過程で積極的に出る物質」ですから、大人になってからそれが出ていたとしても、その効果を実感することができるかは不明です。

 

このように振り返ると、睡眠は「痛みを直接的に回復させるもの」ではないと考えられます。

 

 

しかし、一般的な疲労または疲労感を回復させる効果はあるのではないかと考えられます。それは睡眠について書いた何回か前の記事で触れたように、

日中の活動で身体を活発的にした分の、帳尻合わせとして身体の代謝をさげること

というものになります。「動かした分、休ませないとダメ」ということですね。

 

寝ることとは、基礎代謝を下げ、体温を下げ、血流量を下げ、血圧を下げ、と一見すると人体にとっては危険な状態になることのように見えますが、

「人体の生命維持に必要な最低限の代謝、最低限のエネルギー消費まで活動レベルを落とすこと」という見方もできます。

 

一旦そこまで活動レベルを下げることで、身体のあらゆる機能を使わなくて済む状態になり、それが「回復」に相当する体の状態を作るのではないでしょうか。

 

「睡眠の常識はウソだらけ」では、

「風邪などの体調不良から体が復調するのは寝るか寝ないかではなく、時間経過によるものだ」と主張していますが、風邪を引いた状態で通常通りの生活をするよりも、安静にしている、さらにしっかりと眠るほうが治りは早いのではないかとも思います。

(個人的な体験からの話になってしまいますが)

風邪を引いたけど、寝ないでずっと起きているほうが良いとはどうしても思えません。

 

上記のように

生命維持以外の余計なことをさせないこと=睡眠

と考えれば、

寝ること=生命維持に人体が集中できる状態 であるとも言い換えることができます。

 

睡眠とは「身体活動や消化吸収など、余計なことをしないで生命維持に集中できる」ということ。

そしてそれが風邪等のウイルスと戦う「免疫力」をもたらすのではないでしょうか?