スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

加圧トレーニングは確かに効果があるがそれはリハビリ効果としてのもの。

では加圧トレーニングの効果について改めて書いていきます。

 

加圧トレーニングについての訴訟に関する情報も

多くのトレーナーや加圧トレーニングを指導していたであろう人がブログで状況をネット上にアップし、疑問点を指摘してますがそれでも皆共通しているのは「加圧トレーニングは効果がある」ということです。

ただし、それは

楽して痩せられるダイエット効果ではなく

美肌、見た目のアンチエイジング効果でもなく

メキメキと筋肉が発達していく効果でもなく

「リハビリ効果」に関しての話です。

 

加圧トレーニングというとその宣伝文句に使われるのが「大量の成長ホルモンが出る」というもので、効果のほどがあるかないかの議論になっているのはその点なのですが、腕や脚の付け根にベルトを巻いて一定時間血流を制限し、その後緩めることで一気に血流の促進を促すという「加圧と除圧による効果」に関しては間違いなくあると言えるでしょう。

そしてその恩恵を最も受けられる、

つまり一番効果を実感できるというのは

・著しく体力が低下してしまった人

(高齢者、寝たきり状態の人、捻挫や骨折などの怪我をしてしまった人)

に対してです。

 

もう何年も前ですが

私が参加した加圧学会(そんなのがあるんですよ)だったか、

一般人も参加可能な医療系シンポジウムでのランチョンセミナーだったかで加圧開発者の佐藤さんが、当時のノルディック複合アメリカ代表選手であるトッド・ロドウィックさんが参加予定であった2014年の冬季オリンピック開催30日前に上腕骨骨頭部の骨折という大怪我を負ったものの、加圧によるリハビリを毎日続けてなんと30日後の大会に選手として出場したという話でした。

現在もその動画が残っており「KAATSU Global」というYouTubeチャンネルには同様の動画が数多くあるようです。

 

加圧学会で発表される数々の症例の中でも「加圧だからこそ」と思えるものはやはりリハビリ系のものでした。

ダイエット効果や何かのスポーツで好成績が出たという報告もありましたが、それらは「加圧だからできたことで他のやり方では出来ない」という程ではないものばかりでした。

 

そういったリハビリ効果としての加圧でポイントとなるのは

成長ホルモンというよりも、シンプルに「血流」

つまり血の巡りが良くなることにあると考えられます。

ヒトやその他の動物の血流というのは心臓の動きと全身の筋肉の収縮によって促されます。最近になってやっと筋トレが健康に良いということが世間一般に認知されてきましたが、筋トレというのは意図的に筋肉に力を入れたり抜いたりすることによって血流が促進されます。

ですから、単に筋肉が増えるとか大きな力が

出せるようになるということ以外に、

心臓が全身に血を送りやすくなる=血圧が下がる(訂正地になる)

血管が太く、また柔らかくなる=動脈硬化や脳・心筋梗塞の予防になる

などの様々なメリットがあります。

 

ただし、筋トレをする場合は

筋トレができるだけのコンディションが必要となります。腕立て伏せができるとか、しゃがんだり立ったりができる、あるいはダンベルを持って正しく動かすなどがそれに当たります。

そうしたことで筋肉に掛かる「負荷」が「血管の圧迫と解放」という現象を体内で作り出してくれることになり、怪我や病気で弱った身体の部位=血の巡りを良くする必要がある部分、に血が行き届くことになります。

 

ですから、十分な身体活動ができないとか

基本的な筋力が無いという人は

「回復のために負荷をかける行為」を十分に行うことができないということになります。

例えば脚の骨を折ってしまったとすると、スクワットなどできるわけがありませんし、歩くにしても杖を突いてゆっくりと歩くことになります。脚の曲げ伸ばし運動をしようとしても動かせる範囲はごくわずかになるでしょう。

回復のためのトレーニングとして必要な「負荷」をかけられないのです。

 

そこに登場した方法が「意図的に腕や脚を縛る」という方法でした。そうやって意図的に血流制限をするというのは先ほど書いたように、筋トレで力を込めたときに起こる現象と同じことになります。

力を入れて力むと筋肉が収縮し血管が圧迫され血流が制限されます。血管が浮き出るという人もいるでしょう。そしてそこから力を抜けば圧迫された血管が解放され、再び血の巡りが起こります。

つまり加圧で起こる現象というのはそのまま普通の筋トレでも起こる現象なんです。しかし加圧の場合でしたら「ベルトを巻くだけ」なので、極端に言えば腕や脚にベルトを巻き、そのまま何もしないで少ししたら緩めるということをすれば良いということになります。

 

ですから

十分な身体活動ができない状態にある人に対して

コンディションを回復させるために有効な筋トレに等しい

「負荷の掛け方ができる方法」が

加圧トレーニングだということになります。

 

加圧はその意味で、非常に効果的であり革新的な発明、発見であったと言えます。