筋トレ界では現在、山本義徳さんが提唱する101の理論とボディビル日本チャンピオンの横川尚隆さんの理論(主張?)が論争を巻き起こしているようです。
論争は主にYouTubeの正解で起こっているようで、具体的に両者がどんな言葉でどんな主張をし合っているのか、実際にお互いに個人名を出して批判し合っているのかなど細かい所までは見ていませんが、様々なボディビルダーや筋トレユーチューバー、フィットネスチャンネル運営者がこの理論バトルについての見解を述べています。
まず、論争になっているポイントをおさらいします。
山本理論:トレーニングは短時間でも効果がある(むしろその方が効果的)
横川理論:ボリュームを多くして時間を掛けてトレーニングしないと効果は無い(低い)
簡単に書くとそのようになるかと思います(違っていたら誰かご指摘ください)。
ざっくりとですがこの理論関連を扱った一人しゃべり動画を見る限りは「ボリューム少なめ、短時間」なのか、「ボリューム多め、長時間」なのかについてをみんなが意見を出し合っているという所でしょう。
このブログでもそこに乗っからせていただきますが、
当ブログの結論は、山本理論を推奨します。
理由は、山本理論と呼ばれる「101の理論」について正しく理解し、その上で横川理論と比較をすれば前者の方が色々な意味で実用的だと判断できるからです。
山本義徳さんの101の理論とは
筋発達(筋肉を増やす)のために必要な体への刺激、ストレスとはどの程度のものなのか?を言語化した「表現の一つ」です。
山本さんが独自に考え出した理論ではなく、「こうなった時に体は筋肉を増やそうとする」という人体に起こる現象、化学反応です。「物を燃やせば二酸化炭素が出る」というのと変わりありません。
人体にはホメオスタシスといういわば「今の状態を保とう」とする力が常に働いているので、筋肉を増やそうとするならばそのホメオスタシスを打ち破る刺激が必要です。その刺激をどう与えるのかというと、筋肉に全力を出させることがそれに当たります。
筋肉に全力を出させるには負荷をかけること=レジスタンストレーニング=筋トレをすることが効率が良く、自分が持っている筋力の最大値を100としたならば、それを僅かでも上回る力(いわば101の力)を出せば、それが筋発達のために必要な刺激となる、というものです。
山本さんがボディビルという競技を通じて「筋肉が発達する人体のメカニズム」を研究し、やっと探し当てた答えの一つなのでしょう。
ポイントとなるのはこの「101の理論」において山本さんは
「トレーニングは短時間の方が良い」
とは言っているものの
「トレーニングはもっと楽にできる」
などとは言っていないということです。
山本さんは自身のセミナーや著書の中で、
「ボディビルダーのトレーニングDVDなどを見ると2時間、3時間とトレーニングする人がいるが、その位の時間を掛けてできるトレーニングというのは、筋トレを趣味として楽しんでいる要素が多く、実際に筋発達を促すシグナルが体に入っている=ホメオスタシスを打ち破っている瞬間の除けば、残りの大部分はいわば無駄であり、ホメオスタシスを超えていない」
「ホメオスタシスを打ち破る刺激を入れられるかどうかが重要で、仮にそれが出来るならばトレーニングは時間短縮が可能であり、セット数も少なくできる」
そこから転じて、
「トレーニングとは、いかにホメオスタシスを打ち破るかに集中して、短い時間で、少ないセット数でやる方が効果的だ」
という主張をしていて、それは昔から一貫しています。
101の理論が多くの人に広まっていくにしたがって、まるで伝言ゲームのように重要ポイントがずれていき、先ほどの「ホメオスタシスを打ち破る刺激を入れられるかどうかが重要で、仮にそれが出来るならばトレーニングは時間短縮が可能であり、セット数も少なくできる」という部分だけが独り歩きしているようですが
「101の理論」とは、あくまでも「ホメオスタシスを打ち破る刺激のこと」であり、「短時間・少量」は副次的に得られるメリットの一つに過ぎません。
簡単に、
楽に、
ちょっと集中してやれば短時間で、
少ないトレーニング量で、
・・・・・・筋肉が付く!!
101の理論に対してそんな理解をしていたり、印象を持っていたとしたらそれは大きな間違いです。
山本さんがトレーニング指導をするユーチューバーやフィジーカー、動画に出演してもらって再生回数を稼ごうとする人たちのトレーニング動画を見てみると、みんな1~2種目終わるころにはヘトヘトになってその場にしゃがみこんでいたり、両手を床についてヘタッてしまっている様子が分かります。
撮影という以上はある程度の演出が入るでしょうが、それでも決して楽で簡単に101が得られるものではないことが理解できます。
逆に言えば
それほど強烈に筋肉を刺激することができたなら、そこからさらに追い込むようなことをするとコルチゾルが分泌されてカタボリックが促進されるので、短い時間で切り上げた方が効果的である、ということになります。
こうして改めて書き出してみるだけでも新たな学び、勘違いしていた点の修正ができるかと思います。
そうすると今度は
「いやいや、山本さんは頻繁に”トレーニング時間と量を減らした方がより効果が高かった”という実例や実験結果をTwitterに載せているじゃないか」という意見が出てくるかと思いますが、それらの記事に記されているのはどれも「トレーニングの重要な部分を抽出して、あとの無駄なものは省いた」というものです。
「意図的にボリュームを時間を少なくした」というわけではないし、「トレーニングを意図的に楽なもにした」というわけでもありません。
かつての日本の学校教育における体育や部活において、罰ゲームのように課せられていた(”科せられていた”でも可)「うさぎ跳び」や「空気イス」や「何回もやらされる腕立て伏せ」などには意味は無いということ、
そして日本のスポーツ界で行われているトレーニングでは、依然としてそんな「昔の部活のやり方」が定着している中で、「そんなのカットした方が良い」ということを、101の理論の観点から主張しているのです。
この序論を踏まえて、次回に続けます。