スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

一般人を相手にするフィットネストレーナーなら「山本理論」を選ぶべき理由:指導する対象は誰なのか?

またすっかり更新が滞ってしまいました・・・。

そして横川理論vs山本理論もすっかり沈静化してしまいましたが個人的な意見として続きを書いていきます。

 

「筋肉を付けたいならトレーニングボリュームを多く、時間を掛けないとダメ」という横川理論

「筋トレはそもそも無酸素運動、長時間で大量にできるものではない」という山本理論の論争がありました。

このブログでは山本理論を推奨するスタンスを取っていますが、そのもっとも大きな理由が「トレーナーの顧客は誰なのか」ということです。

 

横川理論とは言い換えれば「短時間でちょっとやった程度で筋肉が付くわけないでしょ!ハードトレーニングをしなきゃだめだ!」ということになります。これは確かにその通りです。

フィットネスクラブでトレーナーをしていると、「医者から足腰の筋肉を付けるように言われて・・・」と言って入会する人を頻繁に目にしますし、「見た目にも身体にハリが無くなってきて筋肉が欲しい」という方も多いです。こういった人達に共通しているのは「少し筋トレをやれば簡単に筋肉が付くだろう」と考えている点です。トレーナーなら、または筋トレ実践者であれば当たり前のように認識していますが、筋肉が付くことというのは根本的な体質の変化ですからそうそう簡単に体が変化していくわけではありません。

地道な作業(トレーニング)を、定期的に繰り返して、ある程度の時間を掛けて、やっと自覚できるようなものです。

しかし、本人が自覚できるかどうかは別にして、仮に不定期であっても筋トレをしているかどうかによるコンディションの違いははっきりと表れます。

その違いを日常生活のどこかで感じる瞬間があればトレーニングの意味を感じますが、それ以前に「こんなに辛いことしなきゃいけないの?」と言ってギブアップし、「もう少し軽めのトレーニングから始めます・・・」と筋トレから離れてしまう人も多いのです。

 

さて、パーソナルトレーナーまたはトレーナーとして仕事をしていく場合に考えなくてはならないのは当然ながら「仕事として成立させること」つまり顧客を持ち、リピーター様になっていただいて収入をえることでしょう。

その点から考えると横川理論が通じるのはコンテストに出るような体を作りたいと思っている人か、ビルダー同士、フィジーカー同士の間のみになります。市場規模がかなり限定されますね。

パーソナルトレーナーを別料金まで払ってやろうという人はそういった意識がものすごく高い人である一方、「自分では何をしたらいいかわからないからお金を払うので教えてください」という超初心者も多いです。

ゴールドジムのようなところでも、その他一般的なフィットネスクラブでも、パーソナルトレーナーを頼むのは圧倒的に初心者や高齢者です。

 

その人達が口にするのが「医者から言われた」「筋肉を付けたい」という先ほど書いた言葉です。

そういった人達に横川理論で話をしてしまうと、せっかく興味を持って申し込んでくださった顧客候補の方を逃してしまうことになりかねません。

 

山本義徳さんのプロフィールを見れば、山本さんは決してボディビルダー同士で指導しているトレーナーではなく、他のジャンルの人や選手にも指導していることが分かります。

普通のフィットネスクラブで働いていればアスリートに出会うことなどまずありませんので、一般人それも運動初心者がパーソナルトレーニングの見込み客となるはずです。そういった方々へのいわば宣伝文句として、山本理論は「少し頑張るだけでも意味と効果はありますよ」「短い時間でインターバルも長めにとって自分のペースでやっていいんですよ」という希望を感じさせるものになるはずです。

 

実用性という観点からも山本理論を選択するほうがよいだろうと考えます。