スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

「身体が固い」とはどういうことなのか

「身体が固いんです」という悩みを持つ人というのは結構多くるようです。
「ベターっと開脚ができるようになる!」という本が非常によく売れていることからもわかるように、特に日常生活で困ることではないけれど、コンプレックス的に持っている悩みなのでだと思います。
 
足首が固いとか股関節が固い、という表現をよくしますが、
この場合の「固い」は「関節が十分な可動域を確保できていない」ということを意味しています。
 
「関節が固い」と感じると、
我々は反射的にその関節に関わる筋肉が固いと考え、その筋肉をほぐしたりストレッチをしようとします。
それは間違ったことではないのですが、それ以外にも色々な要因があると考えるべきでしょう。
むしろ他のどこかに「問題」があることが多いです。
 
ですから、関節が固い と 筋肉が固い というのは別物として捉えるべきなのです。
 
足首が固く、野球のキャッチャーのように深くしゃがめない人がよくいますが、「足首が固いから」と考えてアキレス健のストレッチをしたり、ふくらはぎをもみほぐしても「そんなに変わらない」ことが多いはずです。
この場合はアキレス健などうよりも、足の指を曲げる筋肉が上手く使えていない、固いなどということが原因になっていることが多いです。
 
さらに言うと、「筋肉が固い」という言葉が「強い=筋力がある」というイメージを抱かせますが、
固い=筋力があるというわけではありません。
 
筋肉が 固い・柔らかい と 強い・弱い も別です。
 
普通に考えれば、適度にトレーニング&ストレッチをしている筋肉は「柔らかくて強い」となるはずです。
ですから、「固くて弱い筋肉」または「固いor弱い筋肉」の影響で関節の可動域に支障が出る=関節が固いと考えます。
 
その「弱・固筋肉」に対する刺激を入れることがより良い体の状態を作る「コンディショニング」になります。
 
この「弱い・固い」というのも様々な意味を含みます。
単純に筋力が無い、血行が悪い、長い間その筋肉を使っていないことで機能低下している、
カラダの使い方の癖のせいで上手く使えていない(利き手と反対の手で字がキレイに書けないことと同じです)など、色々ありどれか一つに特定するのは難しいです。
 
ですから、「何がいけないんだろう?」と理由を考えるのは良いとしても、そこを追求するあまり、「何をすればいいんですか?」という具体的な方法を探し続けてもなかなか答えにはたどり着きません。
 
専門用語(なのか不明ですが)で言えば「筋肉が弱化している」ということなので、その筋肉を強化する、つまりたくさん筋肉を使って本来の仕事をさせてあげるようにするのです。
 
自分の弱いところがわかったら、まず徹底的にそこを「使う」「動かす」です。
深く考え込んでやらないよりも行動しましょう。

運動がなぜ健康に良いのか

運動することというのがそもそもなぜ健康にいいのでしょうか?

日本人の死因の上位3である、癌・心疾患・脳血管疾患から、生活習慣病、さらにはうつ病まで、共通していることはエクササイズによる予防や改善が見込めるということです。

疾病の程度や重篤さによっては手術や薬の投与に頼らざる得ない場合もありますが、投薬よりもエクササイズの方が優れた改善や治療効果を発揮するという研究結果が出ている症状も数多くあるということだそうです。

 

運動することで一体に何が直接的に人の健康に影響しているのかを考えると、やはり血圧や心拍数というものが考えられます。

「心拍数や血圧の急激な上昇」が心臓や全身の負担となるということです。

 

そしてその急上昇の原因となるが「ストレス」で、これがいわゆる「万病のもと」です。ですからストレスを溜めないようにすることが一番の健康であり、病気の予防や改善になるわけです。

 

 

「心拍数や血圧の急激な上昇」が起こりやすいのはお風呂場です。

 

風呂場のように裸になるところというのは服を脱ぐことによって急激に寒さを感じるので、全身の筋肉にキュッと力が入ります。それによって血圧や心拍数が急激に上昇します。すぐに湯船につかったとしても、お湯の中に身体を入れれば血圧と心拍数は当然上昇します。

それが心臓や血管への過剰な負担となり、場合によっては心臓麻痺などが起こってしまうこともあると考えられます。

今の時期のような冬場は、高齢者がお風呂場で倒れることが多く、中にはそのまま亡くなってしまう場合のあるので、

「入浴する前に浴室を十分に温めておくこと!」

「すぐに湯船につからずにシャワーで十分身体を温めてからはいること!」

などという注意喚起を見聞きしたことがある人も多いでしょう。

 

職場にいる合わない人と顔を突き合わせなければならないような「不必要な緊張感」を感じる時は、イライラ感やムカつき感によって(主にノルアドレナリンの血管収縮作用で)やはり心拍・血圧は上昇します。

お客様からの理不尽なクレームや上司からのカミナリ、陰湿ないじめなど、あなたをイライラさせたり、不安にさせたりするストレスは心拍数と血圧を不必要に上昇させます。

長期間それが続けば頭痛や精神の不安定さなど様々な症状が「血圧・心拍の急上昇」の影響として出てくるでしょう。

毎日のように強烈なストレスを受ける芸能人は、一定の年齢を超えるとよく癌を発症しますし、重度のうつ病にかかるタレント、自殺してしまうタレントも多いです。

 

さて、

運動をするという行為は、身体を動かすことによって全身が血流を必要とした状態、つまり心拍数と血圧が「高くないといけない状態」を意図的に作り出す行為です。

ここが運動のポイントです。

・平常時よりも少し高い血圧

・平常時よりも少し高い心拍数

をストレスでなく身体を動かすという行為で意図的に作っておくことをすれば、その分だけ血圧や心拍数が上がる余分な隙間を作ることができるわけです。

 

ほとんど運動する習慣がないという人は心臓が強くドキドキするということがほとんどないということになります。その心臓が「温度変化や上司の的外れな叱責」などで急にドキドキすることを強制されたとすれば、心臓だけがいきなり100mダッシュをさせられたようなものになるわけです。

これは当然心臓や血管への負担になりますよね。

 

ですが、あらかじめ心臓を意図的に強めにドキドキさせることをしていれば、急激な上昇をしても十分余裕でいられるはずです。まさにトレーニングして強化しておくということになります。

 

運動が癌・心疾患・脳血管の予防&改善に有効なのはこういったことが理由なのだろうと思われます。

フィットネスクラブに来る人たちの表情

昨日の続きです。

根本的にその人が何を求めているのか ということは意外と(明確に?)顔や表情にでているということでした。

 

フィットネスクラブというところに来る人達の表情というのは、見慣れてくると結構よくわかります。

・純粋にトレーニング・運動をしに来ている人

・運動よりも友達とのコミュニティ、サークル活動の要素を強く求めている人

・若い女性スタッフと話したいから通ってくる人

の3つが主にみられる表情です。

 

くっきり分けられているのではなく、それぞれがグラデーションのように混ざり合ったような、そんな表情を持っているのがよくわかります。

 

スタジオプログラムに参加する人でも

鏡に映った自分を見たい

この先生のレッスンの最前列に出たい

友達と一緒に楽しみたい

などの表情に分かれます。

 

こういった人たちに対して、我々現場のスタッフはそれらの表情に見合った対応をする必要があります。それこそがまさに「ご利用されるお客様一人一人に合わせた接客」だと言えるでしょう。

分かりやすいのが「若い女性スタッフと話したい人」です。中高年男性、それも高齢者になりかけの年代の人に多く見られます。

こういった人たちは男性のスタッフが話しかけたり挨拶をしても「フン!なんだ男か!」という表情をしていますので、女性スタッフ以外話しかけるべきではないのです。その人が根本的に求めるモノ=若い女性との会話なわけですから男性スタッフは話しかけるどころか「こんにちは」という挨拶すらしない方が「その人にとっての正しい接客」となります。

 

スタジオの最前列で鏡に映る自分が見たい人表情の人は、その目的(最前列確保)のためにありとあらゆる手段を講じますので、スタジオレッスン参加者の列ができる前の「場所取り」や友達にお願いして「ここには2人で並んでます」の自分ルールを構築します。

こういった人たちの根本的に求めるモノ=スタジオの鏡の前ですから、直前のレッスン終了後に先生がスタジオの床をモップで拭いている時から「どうぞ中にお入りください!」とご案内するのが正しい接客です。

床が汚れていようが、熱気でスタジオ内が暑くなっていようが問題ありません。その人が求めているモノが手に入るわけですから文句は絶対に言いません。

 

ストレッチをするマットが敷かれたスペースを設けているクラブがほとんどですが、純粋に運動に来ている人にとっては「ストレッチスペース」ですが、友達とのコミュニティとして利用している人にとっては「みんなとのおしゃべりの場」です。最近ではあまり見なくなった印象がありますが、不良たちが「コンビニの前」をおしゃべりスペースにしていることとなんら変わりありません。

 

こういった、それぞれの「求めているモノ」を「ゲットするためのそれぞれの行動」に対してスタッフ側が注意をすると、それがクレームとなるのです。

「スタジオ参加のための場所取りはやめてください」と注意しても、「なんでだ!?他にもやってる人がいるじゃないか!」などというクレームになります。

 

女の子に話しかけてほしいおじさんがめちゃくちゃなフォームでトレーニングしていたとしても、男のスタッフがアドバイスのために声掛けすると「うるさい!これが俺のやり方だ!」とお叱りを受けるだけです。

 

表情から深層心理(根本的に求めているもの)を探り出し、それに合わせた対応をする。まさにマニュアル化されていない理想の接客ができます。コツをつかむと結構簡単にできます。

だって顔に出てるんだもん。

根源的に求めているもの

色々なビジネス書を読んでアウトプットする習慣をつけるようにと、定期的に受講しているセミナー講師のアドバイスもあり、ビジネス書をよく読むようにしているのですが、それらの中で書かれていることの多くは筋トレやエクササイズに通じるものが本当に多いです。

 

特に著者が外国人(主にアメリカのビジネスマンや教授)のビジネス書の場合、

「仕事で結果が出せないのは、あなたのダイエットが続かないことと同じだ。普段から身体を動かさないでいるのに”同窓会のその日に間に合わせよう”と急にトレーニングを開始して1日で身体を引き締めようとするようなものだ」などという例え話として頻繁にフィットネスに関連する事柄が使われます。

 

様々な本を読んでいくと、どれにもほぼ共通して書かれていると言っていいことが、

「根本的(根源的)にその人が求めているものは何かを理解する」ということです。人付き合いにしてもセールスにしても非常に重要なポイントで、日々の何気ない行動ひとつひとつにもそれは現れます。

「根源的に何を求めているか」を考えながら周囲を見ると結構わかることがあります。

 

それは「顔に出る」ということ。

 

結果だけ書くとまあ当たり前の話なのですが、その人がどう思っているかというのを表情から推測すると、その人に対する対応(接し方、話し方など)がわかってくるので、何をどうすればいいのかがわかりだすと安心感がでるので、精神的な安定を得るためには本当に「使える技」になります。

 

筋トレというもので考えても、純粋に筋トレが好きであるとか、どうすれば筋肉が効果的につくのかを考えている人というのは「自分の筋肉を見せびらかそう」という表情はしていません。研究者とか競技者に近い表情をしています。

一方で

ここ数年で流行ってきているいわゆるカッコイイカラダ系のコンテストは色々あります。参加者の人たちで寄り集まってみんなでポーズを取った写真をSNSにアップしていることが本当に多いのですが、面白いようにみんな揃って似たような表情をしています。「俺って・私って凄いでしょ?見て見て!」という顔です。

コンテスト自体が「自分の身体が一番イケてるだろ!」という気持ちの者同士の戦いですからそれはそれで問題ないのですが、場合によっては少し異様なものを感じることもあります。

「私、あまりまめな方じゃないんで・・・」とか言いながら

「これから〇〇します!」の報告とか

「みんなと楽しく食事してます!」の報告とか

「今日はこんな感じ」と自分ファッションの公開(ジムの鏡の前の自撮りはいいとしてもトイレの中の鏡の前で撮るのはやめてほしいもんです)

などを本当にまめにSNSに載せてくれます。

こういった人はトレーニングが好きということではなく、「自分の身体を見てもらうことで注目されることが好き」だということがわかります。

「多くの人にフィットネスのすばらしさを伝えたい!」とよく言うのですが、それは建前で「私だけ見ててください」なわけですからそれに合わせた対応を考えればいいわけです。

※ボディビルダーの場合は前者の表情の人が多いです。

 

動画の広告収入だけで1億円は稼いでいるのでは?といわれているヒカキンというユーチューバ―がいますが、純粋に「多くの人が見たがるウケる動画を取ろう」という表情をしているのがわかります。

それに対して、「ヒカキンの様に動画の再生回数による広告収入で稼ごう」という動画投稿者も非常に多くいて、そういった人たちはやはり「そんな顔」をしています。

 

明日に続けます。

「方法」を求め続けるとどうなってしまうのか。

運動、トレーニング、ダイエットなどというものついて「何をするといいのか」「どうするといいのか」という方法を求め続けていくとどうなるか、を書いていきます。そうすると結構面白いことがわかります。

 

ダイエット(脂肪燃焼)を例に見ていきましょう

「痩せたいんだけどいい方法はないだろうか?」ということになりますね。

その「いい方法」とは

基礎代謝を高めること、つまり運動をすること となります。

すると今度は「基礎代謝を高める方法」や「効果的な運動方法」は何だ?となります。

その「いい方法」とは

筋トレ(無酸素運動)と有酸素運動ということになります。

そしてまた疑問が生まれます。「どんな筋トレがいいの?」「どんな有酸素運動がいいの?」という「効果的な方法」としての方法を知りたくなります。

その「方法」とは

筋トレで言えばスクワットに代表されるような、大きな筋肉を使うもの、たくさんの関節を動かすもの、がこれに該当します。

有酸素運動とは、歩く、走る、泳ぐ、自転車を漕ぐなどの強度が低めで長時間でも続けて行える運動のことです。

また疑問がわきます。「何回やるのがいいのだろう?」「何分やるのがいいのだろう?」「いつやるのがいいのだろう?」などの「具体的な方法」を探し出します。

その「方法」とは

筋トレの場合、基本的には10回×3セットを目安、有酸素運動では30分というものになります。

疑問は止まりません。「10回3セット続けてやった方がいいの?それとも休み休みの方がいいの?」「30分続けた方がいいの?休み休みがいいの?」

などというような「もっと効果の高いやり方(方法)はないか?」「どちらの方法の方がより効果的なのか」という疑問が出てきます。

その「方法」とは

その人の運動経験や体力の程度など様々な要因に依るものになります。「いい方法」としてあえて書くならば、「直感的に頼ること」です。

10回3セット、つまり30回続けて動作を繰り返せるくらいの筋トレは一般的に考えて「あまり効果的ではない」と言えますので、「重さを上げてみること」が「効果的な方法」となります。

有酸素運動も「走り始めて5分でヘロヘロ」であれば30分づつけなくてもそこで休んで構いませんし、「30分何か楽勝!」ということであればもっと走ってもいいです。

つまり最も効果的なダイエット方法とは

「色々な運動をやってみる」ということになります。

「私にぴったりのダイエット方法」というものがドンピシャで探し出せるということはありません。

その最も効果的なダイエット方法で「結果を出す方法」もあります。

それは運動の継続です。

結局ここに落ち着くというわけですね。

あなたが知りたい「痩せる方法」はどっちでしょうか?

もう今年もクリスマスや年末年始など、太りやすいものをたくさん食べる(食べなくてはいけない)日が近づいてきています。

食べる量が増える割に身体を動かす割合が減る日という言い方もできるでしょう。

今頃は忘年会も盛んでしょうから連日飲み会続きという人もいるのではないかと思います。

 

さて、こういった際に多くの人が求めるものが「方法」です。

「何かいい方法ないの?」という質問はフィットネスクラブのトレーナーが本当によくされる質問です。

この「方法」というものが、質問する人によって求めているものが違うため、我々が回答するのに困ってしまうのです。

どういった意味での「方法」を皆さん求めているのでしょうか?

 

よくあるのが

忘年会や飲み会があって飲み食いすることになるんだけど何かいい方法ないの?

というものです。

 

実はいい方法はあります!忘年会に参加しなければいいのです。

まだあります!参加しても何も食べたり飲んだりしないようにするのです。

 

何くだらないこと言ってんだ!などと思わないでください。

そもそも飲み会に参加するという時点で、身体に脂肪が付きやすいものを食べてしまうということから逃れられないのです。

一般的な飲食店や居酒屋で出されるメニューの中からどれだけGI値の低い物や低糖質のものを選んだとしても、やはり商品として提供されるものには「砂糖・脂」は含まれているでしょう。

どうしても太らない食事をしたいということならホームパーティ型式にして自分の食べたいものを持ち寄って忘年会をしましょう。それなら大丈夫です。

 

つまり、どうあがいても、忘年会に参加したら身体に脂肪は付いてしまいます。

 

でも実は、「一番良い方法」があります。それは筋肉量を増やしておくこと、または普段から身体を動かして自分の代謝(基礎代謝)を高くするようにしておくことです。この状態を作っておけば、例え飲み会が続いたとしても、被害が最小限で済みますし、一通り忘年会が終わってからすぐにジムに来て運動すれば食べた分を消費できます。

 

その「一番いい方法」を手に入れるにはどんな「方法」があるのか、つまり「方法のための方法」にはどんなことをしたらいいのでしょうか?

 

f:id:blog_practice:20161220225604p:plainこんなことや

 

この他いろいろなエクササイズ・トレーニングがあります。それらがまさに「方法」だと言えます。

その「方法」がをもっとも効果を発揮するにはどんなやり方(方法)をすればいいのでしょうか?(なんかいい方法ないの?)

つまり「方法の方法」です。

ちゃんと全部書くと

基礎代謝を高めるという「一番良い方法」を手に入れるための「方法」がトレーニングであり、その「方法(トレーニング)」を効果的にする「方法」、となります。

 

いい方法があります!それは日常的にトレーニングしておくこと、少なくとも週2回のトレーニングをやり続けることです。

それこそがまさに「痩せる方法」と言えます。

 

もしかして、あなたが求めている「方法」は今まで説明したものと違っていますか?

・週2回どころか普段は全く身体を動かすことなんてしないのに

・忘年会シーズンで太ることが気になるので

・なるべく太りたくない食べ方や、

・食べても「すぐに痩せられる方法」

としての「痩せる方法」を探していたとしたら申し訳ありません。

間違った「方法」について書いてしまいましたね。

そちらの意味での痩せる方法は、私も知らないので、ぜひあなた自身で調べてみてください。

生産性の向上が難しい日本

前回に引き続き、投資セミナーを受講してのことを書いていきます。

講師の岸博幸氏の話では、今後の日本の経済状況を考えると、

「自分の身は自分で守る」ことが必要になってくる。そしてその為には「生産性の向上」が必要だということで、個人レベルでできることとして「スキルアップすること」を紹介していました。

そのスキルアップとして「投資の勉強」も非常に有効な手段であるということで、セミナー主催の証券会社が、「当社で口座を開きませんか?」という流れに持っていくわけです。

この流れは上手いな~と思いました。

 

「生産性の向上」とか「生産性を上げる」というのは捉え方によって色々な物事がそれに当てはまります。例えばスマホで考えた場合、スマホSNSやゲームばかりやることは、生産性は低いor生産性が無い と考えられますが、SNSで情報が効率よく入手できたり、ゲームでもして息抜きした方がその後の頭の回転が良くなる、などということであれば、無料でできるSNSアプリやゲームは「その人の生産性を向上させるもの」だと言えます。(実際はそんなことはなく、ほぼムダでしょうけども)

 

筋トレをしたり運動をするというもの、健康な体を作る&その良好な状態をキープするものと捉えれば、「生産性の向上」につながりますし、逆に仕事の時間や人付き合いの時間を削ってまでトレーニングに充てるということならば健康に良いはずのトレーニングなのに「その人の生産性を下げている」ということにもなります。

 

日本人というのは世界的に見てもサボらないし、時間通りにきっちりと仕事をこなす、勤勉で真面目な人種だそうですが、その割には「個人の生産性」というものは決して高くはないそうです。

私はその理由は、

長時間残業をしたり、積極的にサービス残業をするなど、何かをやり続けることや他者よりも多くの時間を費やすことに価値を見出いしでいる場合が多いためではないかと思います。

子供は「長い時間勉強机に向かっていたこと」で親から褒められるように、質よりも量に目が向けられるケースが多いからではないでしょうか?

 

自分の仕事は終わっていてすぐに帰って明日の疲れを溜めないうちに寝てしまうことが「生産的・効率的」であるのに、周囲の人がまだ残って働いている中で自分だけ帰ると「まるで自分だけ楽をしているように見られる」と感じてしまい、やることが無くても会社に残ってしまうという経験をした人も多いでしょう。

 

自分にとって何が(どんなことが)生産性を上げるかを考えることは今後の日本社会でのいわば必修課題だと思います。

 

日本人の生産性の低さを象徴するシーンにもそのセミナーで遭遇しました。

セミナーの後半(と言っても残り10分ほど)は質疑応答で岸氏と直接話ができる時間だったのですが、「質問はありませんか?」という問いに、真っ先に手を挙げて60代と見られる男性がマイクを持ちました。

そして

「今日は貴重なお話をありがとうございました。私は〇〇で✖✖で◇◇でして・・・」と自分の話を始めたのです。残り10分というタイミングで他にも多くの人が直接話したいと思っている状況で、です。

 

自分の話を一通りした後

「それで先生にお聞きしたいのは〇〇はどうかというのが1点と、✖✖✖についてはどう思われるかというのが1点、あともう1点は・・・・」

と3問も質問を続けようとしました。

岸氏の方が気を使って「時間もあまりないので2点までにしましょう」と話し切って質問に答えました。

 

結局そこで多くの時間を使ってしまい、質問したのそのオジサン(おじいさんになりかけのオジサン)ともう一人のたったの二人でした。

 

民間企業や中小企業にはこのような他者のことを考えないオジサンたちが管理者という役職に就いているということを考えると、「そりゃ生産性が低いもの納得」と感じられた瞬間でした。