スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

働き方改革とフィットネス業界②

昨日の続きです。

人口減少と人手不足による働き方の変化によってフィットネス業界ではどんなことが起こると予想されるでしょうか?

 

まず、末端で働くスタッフの仕事量は増えるだろうと予想できます。社員スタッフ新入社員の数が減りますし、アルバイトスタッフの募集を掛けても人は集まりません。ということは既にクラブ内で働いているスタッフは正社員・アルバイト関係なく「様々な」業務をこなさなくてはならなくなることは確実です。

この現象はもうすでにフィットネスクラブでは起きていたことですが、今年から「募集を掛けても人が来ない」という現象がより鮮明になります。

バイトスタッフ達のシフト作成や売上の計算などをアルバイトスタッフが任される、なんてことも出てくるかもしれません。

 

その一方で、ますますアルバイトスタッフの働き方の自由度は高くなっていくと思われます。マクドナルドのアルバイトでも最低週2日で1週間前に働きたい日を事前申請するという店舗もあるようですが、まさにそんなように「週2日から可能」で、とにかく誰でもいいから人来てくれ!という状態になるでしょう。

(これによってまた社員の仕事量は増えるでしょう)

 

NewsPicksの佐藤留美さんの記事にもありますが、政府は今年から副業や兼業を後押しする方針ですから、筋トレ好きな人なサラリーマンや運動好きのOLさんが週2日でインストラクターやパーソナルトレーナーをやるということもあるかもしれません。

 

このように考えてくると、フィットネス業界外か新たにこの業界でなにかしようとする人は増える一方、既にフィットネス業界で働いていた人は退職していくという傾向が見られるだろうと考えられます。

 

フィットネスクラブがもともと「不動産ビジネス」として扱われ、一度ハコを作ってしまって後は何事もないように管理していればよい状態の時(バブル期)にフィットネス業界に入った人たちの多くは現在でもただの管理者にすぎず、運動指導など利用者の求めているものが提供できません。

しかし、年功序列によって給料だけは高いのです。

どの業界でもそうでしょうが、50歳を過ぎても年齢にふさわしい能力(知識や技術やその他相談するといつも良いアドバイスをくれるなど)がない人というのはどうにかして辞めてほしいと思っているはずです。

 

フィットネスクラブという場があればいいだけの「不動産」から、「運動指導やエクササイズを提供する場」になり、さらにそういった技術や資格を持った人が「何かのついでに働く場所」になり、そこに集まる人たちの「コミュニティ」になり、とその姿をどんどん変えていくのに対して、不動産管理者感覚が抜けない社員(支配人クラス)ははっきり言って必要ないのです。

ですが、給料は下げられない。定年を迎えてもどこにも行くところもなくやることもないから再雇用制度を利用します。

 

「役職」というものに対して賃金を設定してしまったために、「能力」に対する給料をしはられないことに対する社員の不満が出ることは簡単に予想できます。

 

ですから新入社員の離職率やアルバイト採用から社員になったスタッフの離職率は増えていくと思われます。

 

さらに明日に続けます。

働き方改革とフィットネス業界

2017年元日より、日経新聞一面やビジネス情報サイトでも

「今までの常識ががらりと変わるのではないか?」という主旨の記事が目立ちます。

特に大きな変化が予想されているのは「働き方」です。

newspicks.com

 

長時間労働の改善、同一労働同一賃金など、政府がはやくもガイドラインを発表している項目もあり、それに対して「実現できない」という理由を述べる記事もあります。

 

フィットネス業界、それも末端で働く多くのアルバイトスタッフや準社員スタッフには「長時間労働の規制」と「同一労働同一賃金」はぜひとも実現してほしい項目だと思われますが、様々な手法で人件費を削減する方法を編み出すことが得意なフィットネス業界のことですから、政府がどれだけ制度や方針を示しても、あの手この手で「独自のルール」を作り出しで、どうにかする、はずです。

 

十分に利益が出るだけの会員数確保がどこのクラブでもほとんどできていない現状に加えて、人口減少+人手不足(この二つも年始の新聞記事でよく見られました)が進むわけですから、会員数は伸び悩み、現場スタッフも募集を掛けてもなかなか集まらない、という状態になるのは素人でも予測できます。

 

居酒屋などの飲食店やコンビニでは、その対策としてアルバイトスタッフの時給が上がり、それでも日本人が来ないため、外国人スタッフが雇われているという状態が起きています。

さらに時給を上げるとなると、どこかでその分の人件費を削減することになるわけですから、正社員の給料(または退職金)を減額するか昇給ナシということになり、それでもだめならロボットを雇います。

これが事実上の同一労働同一賃金ということになるのではないかと思います。

 

他業界と比べて時給が安いフィットネス業界のアルバイト料も少しアップしてきている傾向ですが、「売上が飛躍的に上がっているから給料が増えている」ということではないので、うれしいことである反面、果たしで良いことなのか?という疑問も感じます。

 

日経新聞に書かれていることというのは基本的に大企業、他者に比べて給料も高い業界のことで、その世界でもこういったことが懸念され、すでに現実になっているわけですから、全社合わせても市場規模が5000億円くらいしかないフィットネス業界(コンビニ業界の方が規模が大きい)は、人手不足・人口減少・それに伴う働き方改革(しかたなしに)が起こるのは確実です。

 

具体的にどんなことが起こると考えられるか、明日以降に続けます。

年の初めに頻繁に見られるフィットネス業界の、ある傾向

新年の始まりと同時にフィットネス業界では2つのことが起こります。

「やめる人」と「社員を目指す人」がSNS上で自らの出処進退について所信表明をしたり、実際にそれに向けた行動を起こすのです。

(フィットネス業界だけではないでしょうけれど)

 

「やめる人」というのはフィットネス業界の正社員スタッフが正社員をやめるということを意味しています。

どの業界でも「新卒採用の社員の3割が入社3年以内に退職する」という統計データがあるようですが、フィットネス業界は特にこの傾向が顕著な業界だと感じます。

 

運動することが好き、または

身体を動かすことの楽しさを多くの人に伝えたいと思って入社したものの、職場のフィットネスクラブで求められることは、

より多くの入会者を獲得することや会員としての在籍者の数を増やすといったような「数字を増やすこと」と、

今いる会員さんたちが退会しないように、ずっと会員で居続けてもらうための

「おべっかと媚売り」ですから、3年もそれを続けていれば、

 

「私がやっていることは”入会して”&”辞めないで”のお願いばかりじゃないか?」

「その”お願い”をこれからもずっとやり続けていく人生なのか?」

という気持ちになるのは自然と言えば自然でしょう。

そして他にももらえる給料の額や職場の人間関係など、様々な要因が積もっていき、「よし!やっぱり自分がやりたいことをやろう!」となって退職、という流れです。

 

反対に「社員を目指す」というのはアルバイトスタッフに見られる傾向です。

社員スタッフとは異なり、アルバイトスタッフの場合は「入会者増やせ!」「会員数を増やせ!」「物販の売り上げを上げろ!」といった「数字を増やさなくてはいけないプレッシャー」はなく、現場でお客様に直接運動指導をしますから、「運動の楽しさを伝える」というやりがいは十分に感じています。

ですが、そういった充実した日々を送っていても、今度は「お金に関する不安」というものが沸いてきます。

 

この正月に一挙に再放送された「下町ロケット」というドラマでも間接的に描かれていましたが、日本という社会は「能力」よりも「役職」に対して賃金が払われます。どれだけ高い技術(フィットネスクラブで言えば中身のある運動指導ができること)があってもそれに見合った対価は支払われません。

「無能な上司の方がもらってる給料の額が多い」という矛盾がこれによって生じます。

 

ですから「大手企業への引き抜き」、「今より高いポストにキミを推薦するよ」といったドロドロの構図や、それに対する「自分の技術で世間を脅かせるんだ!」という願望がドラマになるわけです。

 

フィットネスクラブのアルバイトというのは決して高い時給ではありません。居酒屋やパチンコ屋の方が断然高給です。それだけフィットネス業界というところには多くのお金が流れていないということでもあります。

 

「やってる仕事はすごくやりがい溢れるものだけど、このままだとずっとアルバイトか・・・・」と、ある時ふと考えます。

自分の今後、結婚や世間体といったものが頭をよぎっていき、それでも当面は困らないのでアルバイトスタッフを続けますが、それでもだんだんと不安は膨らんできます。

 

そして生活の安定、もらえる金額のアップを目的として「正社員」を目指すということになります。

 

大卒で「こいつは将来有望だろう」と思って人事が採用をした人材がすぐに辞めていき、現場で必要な「労働力としてのバイトスタッフ」が社員を目指すというのは面白い構図です。

健康格差と肉体格差が明確になった2017年

昨日1月3日より、自分自身の筋トレを再開したのでいわゆる「ジム始め」でした。日本中の多くのフィットネスクラブは3日より通常営業を始めるため、利用者は非常に多く、施設内はどこも混み合うのが一般的です。

 

その最大の理由は「普段来ない人がジムに来る」ということにあります。

普段からクラブを利用し、ジムや施設利用としている人からすると、30日~翌年1月2日までの4日というのは「身体を動かさないことによるストレス」というものが溜まってくる日数なので、3日に通常営業開始となると「待ってました!」とばかりに施設に人が集まってくるのですが、

そこに「普段ほとんどジム利用をしない人達」が「ゆっくり休み時間がある正月くらい運動でもしてくるか」ということで、施設利用に訪れるわけです。

 

「いつも来る人」と「普段は来ない人」が一緒になると、「こんなに会員数がいたんだ!」と驚くくらいジムエリアが混雑します。

 

こういった時にまず感じることは「肉体格差」です。

定期的に運動に来ているか、来ていないかによってここまで人の身体は変わるのか?と思えるくらいの「ものすごい差」があります。

普段ほとんど運動しない人の身体というのはまるで「進撃の巨人」に出てくる巨人たちのような、「だらしない」と言わざるを得ない身体をしています。

 

まずお腹回りが非常に大きく張り出しています。

そして反対に、腕と脚が非常に細いのです。

そういった人たちが、日常的的にジムに来ている人の身体を見た時の反応はとても興味深いもので、一瞬ですが、まさに「肉体格差にショックを受けた」という表情をします。

「うわ~凄い身体してんな~」

「すごい筋肉だな~」

「あんな重いダンベルを使ってるのか!?」

など、実際にこういった言葉は出てこないにしても、心の声というのは面白いほど表情に出ているものだということがわかります。

 

そして「健康格差」は肌ツヤや表情にくっきりと表れます。

この背景に考えられるのはやはり「普段の食べ物の違い」や「サプリメントの摂取量の差」というものになるでしょう。

トレーニー(トレーニングを定期的に行っている人)の多くはプロテインを基本として、マルチビタミンやコラーゲン、BCAA、クレアチンなどといったサプリメントを、普通に生活費している人たちの数倍は摂取しています。

外食やファストフード店の利用は基本的にしない、または利用したとしても商品を選んで食べるようにしていますので、自分の体内に取り入れているものが違います。

 

日常的な単位で見れば非常に細かいものなのですが、長い年月をかけてこういった「ちょっとの違い」というものが、「肉体格差・健康格差」として現れます。

 

バブル期を経験し

高級レストランで高カロリーなものを好きなだけ食べ、

お姉ちゃんを侍らせながら糖分たっぷりのシャンパンを何本も開け

「朝まで飲みながらディスコで踊った」などという

「バカ丸出しの行為」を「凄いことをしている」かのように誇らしげに語っていた世代の人の身体というのはやはり「そんなカラダ」をしています。

 

その差がくっきりと明確になった2017年が始まります。

年末年始こそ、ジムに行って「ロイヤルカスタマ―」を退会しましょう。

今日で仕事納めという人も多いかと思います。

日本の各省庁は「御用納め」というちょっと権威的な表現を使うようですが、こちらも仕事納めと同じ意味だそうです。

 

もっとも、大手百貨店や電気店、飲食業(特にファストフード店)などは年末年始こそ力を入れて販売する業界ですから仕事納めなんて概念はないでしょう。

警察、医療関係者、交通機関などで働く人も同様です。

フィットネス業界に関しても、年末年始の概念というのはあまり無い方です。24時間型の小型ジムも増えてきていますが、もちろんそういった店舗は休みません。(スタッフ無しの無人状態で営業)

大手のフィットネスクラブでも30日、31日という「年末」は休みますが、多くのクラブが3日から営業を始めます。

元日から営業するという大手クラブもあります。

正月出勤するスタッフのことを考えて、施設利用に別料金徴収する「特別営業」という形でほとんど休みなくお店を開ける店舗も本当に多くあります。

 

マラソンをしたり、デパートの初売りで買い物をしたり、富士登山をしたりと、アクティブに過ごす人はいいのですが、

年末年始はどうしても家でゴロゴロしてしまいがちですし、かつてはそれなりに面白かったテレビもつまらなくなりました(お笑い番組と討論番組だけ)から、そんなものを見ているよりは正月から身体を動かしに行くものいいものだと思います。

どうせテレビを見るならジムのバイクでも漕ぎながら見た方が運動になって一石二鳥でしょう。

年が明けてから心機一転で「よし!頑張るぞ!」とフィットネスクラブに入会をする人も増えるのが毎年1月のフィットネス業界で見られる動きです。

 

この一年で、定期的にジムに通って「運動の継続」というものが出来た人たちにとって年末年始というのはいわば「ご褒美期間」のようなものです。

年末年始くらいトレーニングを休んでもいいじゃないでしょうか。

 

「行こう行こう」と思いながらも足が向かず、毎月の会費だけ払い続けてしまったという人(クラブ側からすればある意味ロイヤルカスタマーですが)も多いと思いますが、年末年始というのはそういった人たちにとっても「ご褒美」なのです。

「時間が出来た時・ある時に行こうと思っているのになかなか時間が取れない」というのが多くの人がジムに来ない理由ですから、その「時間がある時」「時間ができる時」というのがついにやってくるのが年末年始です。

 

1年間よく待ちましたね!頑張りました!「時間ある時」になりますよ!

 

このタイミングを逃してしまうと、次の「時間がある時」は恐らくまた1年後の年末年始になってしまうでしょう。ですからここでなんとしてもジムへ行くべきです。

「いつか」という日(時)というのは自分から作り出さない限り「絶対にやってこない」のです。

 

幽霊会員というロイヤルカスタマーはもう退会しましょう。新規に入会する人と同じような気持ちでジムに来ましょう。

そして利用回数を増やして、施設側からすると「最も客単価が安い利用客」になってください。

若者の筋トレ離れは、まだ起きていない(まだ流行ってもいない)

テレビ離れ、車離れ、飲み会離れ、ブランド品離れ、雑誌離れ、恋愛・結婚離れなど、「若者の〇〇離れ」という言葉が数か月単位でメディアにちょくちょく登場します。

 

なんと今度は「外出離れ」だそうです。

blogos.com

「今の若者は昔と比べて〇〇をしなくなった」という意味の「〇〇離れ」ですが、これは恐らく「バブル期を経験した人たちの若いころにしていたこと」が基準となり、その比較からくる言葉だと思われます。

(これについて書き出すと長くなるので書きません)

 

フィットネスにおける「若者の〇〇離れ」と言えば、間違いなく「筋トレ離れ」です。根本的に「フィットネス離れ」と言ってもいいと思います。

もっとも、この「離れ」の意味は「始めから離れている」という意味で、車離れや雑誌離れのように「かつてはそうしていたが、今はしなくなった」というものではありません。

 

フィジークコンテストのようなカッコイイカラダを競う競技の参加者も年々増加しているとはいえ、全体的に見ればその規模は決して大きなものではありません。

20代の参加者も増えてきていますが、どの大会でも最も参加者数が多く、層が厚いのは30代後半~40代です。

男の場合は高校生くらいから「筋トレにハマる」という人も出てくるので、20代前半の参加者もある程度いますが、20代前半の女性のコンテスト参加者というのは非常に少ないです。

 

エアロビクスなどのスタジオプログラムでも20代前半の女性インストラクターというのはめったに合うことはなく、ほとんどが40代~50代の女性です。

ダンス系のプログラムの場合は若い人もいます。

そして、そういったレッスンの参加者も同様です。参加者の場合はもっと年齢層が高くなり、50代、60代、70代が主な参加者の年齢層です。

 

ライザップのCMもそうですが、「身体を引き締めることってカッコいいでしょ?」という提案をインスタグラムなどのSNSで、世界中のカッコイイカラダをしている人たちが発信していますが、日本に関してはその提案がなかなか受け入れられていない現実がまだあると思います。

 

 

どうすればそういった提案が受け入れられるのかというのを考えると、流行とか流行るものという言葉が思い浮かびます。

例えば、

昨日最後の放送だったSMAP木村拓哉がかつてドラマで美容師の役をやりましたが、その翌年の美容系専門学校の入学希望者が増えたという現象が起きたそうです。

スラムダンク」というマンガの影響で、バスケットボール部に入ったという人はたくさんいたはずですし、Jリーグが盛り上がってきたのでサッカーを始めるやつというのも私の中学生時代にはたくさんいました。

 

そういった意味では、韓国の俳優やタレントは筋肉質の身体をしていて、ドラマや映画でもあえてその体を見せびらかすように作られたシーンが頻繁に出てくるという印象があります。

日本人よりも韓国人のほうがカッコイイカラダづくりに対する意識が高いというのは全体的な印象として感じることです。その延長で美容整形も日本よりも盛んで、日本よりもオープンです。

 

キムタク並みの視聴率を取るスターがまた出てきて、筋トレするシーンをドラマで流せば筋トレブームがいきなり訪れるのではないかと思います。