人体の構造や関節の動き、そしてトレーニング理論などを真面目に学んできた人たちがフィットネスクラブという現場で活動を始めると、勉強してきたことと現場で求められる物事にあまり多くのギャップがあり悩んでしまうということがよくあります。
スポーツ選手の運動指導を行うトレーナーの中には、
「専門学校等でトレーニング理論や栄養学などを学んでおきながら、フィットネス業界で働くということがそもそも間違い。フィットネス業界というのはサービス業でありエンターテイメント業だ。」
と言い切っていいる人もいます。
フィットネスクラブの現場では、利用者からトレーニングに関する質問を受けることが多いのですが、その一つ一つに対して「正しい知識」というものを教えようとすると本当に説明が長くなってしまいます。
例えばトレーニングに関して
「腹筋を鍛える効果的なやり方を教えてほしい」
というような質問を受ける現場のトレーナーは非常に多いのですが、この程度の質問でも正しいアドバイスをしようとすると大変です。
まず腹筋を鍛えるなら
これです。
古くからあるやり方で何も変わりません。
「効果的なやり方」も何も、この動きをやることが効果的です。
あえて「もっと効果的なもの」をアドバイスすることもできますが、そもそも「効果的なやり方を知りたい」という人ほど、この基本的な腹筋運動がまともに10回もできなかったりします。
その他にも、動作の回数や扱う重量の目安など、文字通り「教科書に書いてある」いわゆる正しい(と現時点では認定されている)知識、技術はフィットネスクラブの中ではなかなか受けれ入れられない(ウケない)ことが多く、一部の筋トレ好きなマッチョなオジサン達にのみ、正しい知識&技術が受け入れられるのです。
ちなみに例に挙げた腹筋運動ですが、
それに関してアスレチックトレーナーテキストというスポーツトレーナーの教科書に書かれている「正しい知識」をお伝えするならば、効果的な方法は、
1日300回です。そしてそれを毎日繰り返すこと、が「腹筋運動の効果的なやり方」であり、「効果的な腹筋の鍛え方」です。
300回💛
毎日です💛
それが「一番効果的」「最も効率の良い方法」なんです💛
しかし、それを伝えると多くの人が敬遠してしまうのです。
せっかくの正しい知識なのに、正しい技術なのに・・・・。
ではフィットネスの現場で求められること(知識&技術)は何か?
それは「ウケる」ものです。
最近の例でいうと「カーヴィ―ダンス」というものがあります(ありましたといってもいいかもしれません)。
トレーニング理論や人体に関するあらゆる知識を基本として考えてみても、販売されているカーヴィーダンスDVDで紹介されているエクササイズで「体脂肪が効果的に減っていく」とは考えられません。
そんなに効果があるなら「今でも多くの人が継続してやっているはず」です。
(DVDを買った人?いまでもちゃんとやってますよね?)
しかし、カーヴィ―ダンスはウケました!本当に多くの人がDVDを買いました。
まさにフィットネスの現場で活きるのは、こういったウケる知識・技術なのです。
腹筋を鍛えるなら先ほど乗せた画像の運動が効果的で効率がいいはずのなのに、ウケが悪いので、
この様ないわゆる「体幹トレーニング」と呼ばれれているものを「腹筋の強化に効果的です!」とか「お腹の引き締めにとてもいいですよ!」などといわなくてはならないのです。
この写真の動作はここ数年あらゆるメディアで本当によく出てくるものなのですが、はっきり言ってこんなの「何の意味もない」です。
四つん這いになって片手片足を上げて、、、、で、何?ということです。
腹筋の強化とは関係のない動きだし、体幹というよりも、支えているのは手と膝ですし、いったい何なんでしょうかこの動きは、、、、。
でもウケてるんです。
これが現場で悩むギャップです。