昨日に続いて
知っておくと少しだけ玄人っぽくなれる知識・言葉の意味として「複雑骨折」というものを解説していきます。(グーグル検索1発で済むじゃないかとは言わないでください)
英語のComplicated Fractureをそのまま日本語に直訳したために複雑骨折という表記になったのではと私は考えています。
どうしてもこの表現だと、「骨の折れ方が複雑な骨折」だと思えてしまうでしょう。しかし、複雑なのは骨折の仕方ではなく、その骨折に対する対処方法の方なのです。
つまり
折れ方が複雑な骨折ではなく、「その骨折が起こると対応や対処が複雑」な骨折なのです。
複雑骨折というのは教科書のようにかっこつけて書けば、「骨折面が外界と接している骨折」または「骨折面が皮膚の外へ露出している骨折」です。
考えるだけでもグロテスクな場面ですが、つまり骨の折れたところが身体の外へ飛び出た状態にあるということです。ですからもちろん血が流れています。
複雑骨折の別名は開放性骨折(または開放骨折)です。
何が開放されているか、わかりますよね?
転んで手をついて腕の骨を折ってしまったとしましょう。
骨折していても「皮膚がつながっている」という状態であれば、ひとまずその場で安静にしてもらうか、危険の及ばない場所へ移動する、フィットネスクラブなどのお店であれば、他のお客様の目につかないところまで移動する。そして救急車を呼んで来るまでの間に応急処置を施すという流れで対処できるでしょう。
(もちろん担架などを使ったり安全に移動させるという意味です。骨折のした人の感じる痛みは尋常ではないことも理解しないといけません)
では、今度はその骨折面が開放してるとしたらどうでしょう?
骨折した人がいます。同時に骨折した骨が外に飛び出ていて目に見えます。そして血も流れています。どうしますか?
まず即119番通報です。これは反射的にできるでしょう。
では次にどうしますか?
救急車到着までその場で放っておくなんてできませんよね。
血が出ているわけですから止血をしないといけません。取り敢えず自分が来ているシャツで傷口を抑える、ということもできますが、雑菌が付いたシャツなどの布を充てるとなると細菌感染のリスクも出てきます。
ケガをした人に安静にしてもらおうとその場で横になってもらってもいいですが、傷口を床や路面や土の上(外だったら)に触れさせないように対処が必要です。
ケガした人が自分で折れた腕を持つなんてできませんから他の誰かが傷口が床に触れないように持っていてあげないといけないでしょう。
その状態から医務室や救護室やその他安静にできる場所まで担架で運ぶにしても、骨折面が皮膚の外へ飛び出ている状態をどうにかしなくてはいけません。
何かいい方法はないでしょうか?
というように、皮膚を突き破っている=出血が伴っている骨折というのは、その対処の難易度が、皮膚を破っていない骨折に比べて格段に上がります。
その意味での複雑骨折、ということなんです。