スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

日本は人生をあきらめた人にはパラダイス

ブロガーのちきりんさんとプロゲーマー梅原大悟さんの対談本が非常に面白く、ネット検索をしたらその本に関しての二人のトークイベントの様子が動画として残っており、そちらも非常に面白い内容でした。

 

イベントの最後に行われた質問コーナーでちきりんさんが

「日本は人生をあきらめた人にとってはパラダイス」と言っており、まさにその通りだと思いました。

ちきりんさんによると、日本という国は今後人口減少によって豊かでありながらも衰退の道を辿っていくのだそうです。

だから、未来のある若い世代の人たちは海外へ出たほうが良いということでした。

 

この構図はフィットネスクラブという施設の中に縮図として表れています。

 

会員自体も全体的に高齢者、リタイアして余生を過ごしている人というのが大半です。

また、フィットネスクラブというところに長年勤務しているスタッフ(正規非正規問わず)というのは大半が「人生をあきらめた人」です。店長やチーフなどの店舗管理者の役所jについている人ほど、何の生きがいもなく、ただ定時から定時までの時間をその場で過ごすだけの生活をしています。

方や、現場のスタッフとなると、トレーニング好きでそれを仕事にしたいとか将来的なことを考えているスタッフが出てきますが、そんなスタッフも数名といったところです。残念なことにそういったやる気のあるスタッフは遅かれ早かれ辞めていきます。

 

正社員でもバイトでも

人生の目標が特にないとか、

今のままの生活でこのままずーっと過ごしていけばいいというまさに「あきらめている人」が残る職場というのがフィットネスクラブです。

 

ですから、彼らはフィットネスクラブというところに勤務する身にありながら、自らフィットネスというものを実践しません。ダンベル、バーベルなんて絶対に持たないし、ストレッチもウォーキングすらもしません。

そのくせ気の合うスタッフ同士でしょっちゅう飲みに出かけていき、一定の周期で体を壊しています。

 

すでにフィットネスクラブの会員だという人でも、フロントスタッフのやる気のない対応ぶりにあきれているという人も多いのではないでしょうか。

いつでも押せるボタンとしてのフィットネスクラブをどう捉えるか

昨日の続きです。

いつでも押せるボタンとしてのフィットネスクラブは

「いつでも行けるから行かなくてもいい」ということになりがちです。

(詳しくは前日の記事を読んでください)

 

さて、そうなってしまう理由というのは現在でもフィットネスクラブが「施設」を売りにしている点にあると考えられます。

設備や施設が売りという点ではホテルも同様なのでしょうが、ホテルの場合は利用する人の目的に合わせた立地や設備などの細かい設定ができますし、ビュッフェやレストランなどの宿泊以外にも人を集められる要素もふんだんにあります。

それに対してフィットネスクラブというのはいわば「どこも一緒」です。トレーニング器具やマシンなどは細かな違いはあれどメーカーごとに大差はありません。

スタジオで行われているプログラムも大体似たようなモノです。

 

フィットネスクラブのチラシを見ればわかりますが、どれも設備の凄さを前面に押し出しています。

「プールがあります!それもこんなに広いのが!」

「ジムはこうなってます!最新のマシンがありますよ!」

「サウナがあります!ミストサウナも付いてますよ!」

などなど、、、、。そしてその次に来るのは決まって以下のような宣伝文句です。

 

「これだけの設備が月々〇〇円で使い放題!」

「さらに今なら入会金と事務手数料は無料!!」

 

これがまさに「いつでも押せるボタン」としてのフィットネスクラブというイメージをお客様に与えてしまってるのです。だからどこのクラブも会費だけ払って1年以上も施設利用が無い人というのが会員の大半を占めているわけです。

 

これがスクール型式、つまり「この日しか来ちゃダメです」とか「この日に来ないとダメです」というような縛りを持たせるということになると話は変わってきます。実際にスクール制を導入しているクラブもありますが、パーソナルトレーナーとトレーニングの約束をして別料金を払って予約をするなんていう面倒な作業も、トレーニングを「いつでも押せるボタン」にさせないための仕組みになっていると言えます。

 

しかし、最も有効なのは「人の魅力」や、そこで働く人(トレーナー)の技術、知識、実績などを売り出すことではないか、と私は考えています。

 

例えばスタジオプログラムにしても、

「エアロビクスができます」とか「ヨガクラスもご用意しております」などという売り方ではなく、

 

「このレッスンは海外のコンペティションに参加した経験のあるダンサーが担当します」とか

「有名アーティストのバックダンサー経験のある者がプログラムを担当いたします」とか

「ニューヨークのヨガスクールを修了した優秀なヨガ講師が指導します」などという売り売り方に変えてみたらどうでしょうか?

「いつでも押せるボタン」としてのフィットネスクラブというものからお客様や利用者が感じる印象がかなり変わってくるだろうと考えられます。

 

それこそ、タレントや俳優がレッスンを持ったり、歌舞伎町のホストたちがビシッと身体を絞って割れた腹筋を見せた写真とともに「私がボディメイクを担当します!」と言ってパーソナルトレーナーをやったとしたらかなりの売り上げを上げてしまうんじゃないか、とも考えられますね。

 

この様にフィットネスクラブが売り出すべきは施設ではなく「人」、そしてそれに関連する技術や知識、人となりなど、目には見えない部分にあります。

「ボタン」としての概念をどのように変えるのか、そこがポイントだと思います。

「OPTION B」を読んでわかったフィットネスクラブに行かなくなる理由

気が付くと1か月以上もブログを放置してしまっていました。

本当にすみませんでした。

連動させているツイッターではここ数日「言いたい放題」の状況でしたが・・・。

 

先月より数冊の本を読み込んでいましたが、自分の中では結構な当たりはずれがありました。その中からここにアウトプットできるものを紹介します。

日経新聞等でも盛んに広告を出し、売れているらしい「OPTION B」という本があります。

フェイスブック社の役員の女性が、夫が突然死によって亡くなってしまったショックからどう立ち直っていくのか、というテーマについて書かれたものです。

既に読んだという方も多いかもしれません。

 

日本で売られているのは当然日本語翻訳版なのですが、そういった原作が他国の言語にあたる本というのはどうしても表現がその国のものがベースになってしまうので、イメージがしづらいという点もありました。

「部屋の中のゾウを追い出す」という例えがあるのですが、「?」というのが私の感想です。

ですが、それ以外にも分かりやすく書かれている点も多いので、大切な人を無くしてしまった、またはそれに近いような精神的なストレスに悩んでいる人にはお勧めの本といえます。

 

この本の内容と強引にフィットネスというものをつなげて考える場合、本に記載されている「音を消すボタン」の実験結果についてです。

被験者はナイトクラブのような大音量の部屋の中に入り、その部屋の中でどれだけの時間をその状況の中で耐えているられるかを調べたもののようです。

「とても耐えられない!」と思ったら手を挙げると音楽が鳴り止むというものなのですが、Aグループの被験者たちには特に何も与えられません。一方Bグループには「ボタン」が渡されます。そしてこう説明を受けます。

 

「耐えられなくなったらいつでもそのボタンを押してください。そうしたらすぐに音楽は止まります。」

 

実験結果をみると面白いことに、ボタンを渡されたグループの被験者たちの方が、長時間うるさい部屋にいることができたのだそうです。

つまり「どんなことがあってもこれがあればすぐに助かるor大丈夫だ」と思えるいわば「心の支え」(ボタン)があると人はかなりの過酷な状況に居てもある程度はやっていけるという事ですね。

 

親や子供といった家族の存在はまさに多くの人にとっての「ボタン」ですね。ボタン自体が何か特別なものということではなく「居てくれるだけでいい」といい存在です。

自殺をしてしまったり、見るからに悪徳な宗教団体などに入れ込んでしまう人というのは何かのきっかけに「ボタン」に相当する人やモノを失ってしまったと感じる人なのかもしれません。

ペットと買うこと、多額の貯蓄をすること、など我々がやっていることの多くは「ボタン」に相当する心の支えを求めてのことでしょう。

 

さて、それを踏まえてフィットネスクラブという者と考えてみると、ほとんどの人がフィットネスクラブに通えなくなってしまう理由がわかります。

「いつでも押せるボタン」と同様に

「いつでも来られるフィットネスクラブ」は、入会者や会員さんたちを

「いざという時になったら行けばいいや」という心理にさせてしまいます。

(本人のやる気の無さもありますが)

 

医者から運動するように言われているけど、

最近明らかに体重が増えて身体がブヨブヨになってきたけど、

「このボタンを押せばいいんだ!そしてそれはいつでもいいんだ!」

というのと同じ感覚でフィットネスクラブがその人にとっての「ボタン」になってしまいます。

健全な精神状態を保つという意味では「ボタン」の考え方は非常に有効ですが、運動や肉体的な健康、ボディラインや見た目の美しさという観点からするとボタンとしてフィットネスクラブを捉えてしまうことはむしろ逆効果です。

 

そうなってしまう理由や対策については明日に続けます。

ベンチプレスよりショルダープレス?

レジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)にはビッグ3と呼ばれる種目があります。なにはともあれこの3つをやっておいて損はないというものですね。

その3つとは

スクワット、デッドリフト、ベンチプレスの3つです。

(わからない方はネット検索を)

 

この3つが選ばれている理由として考えられるのは、まずその種目で動員される筋肉(筋)の豊富さです。スクワット=脚、デッドリフト=背中、ベンチプレス=胸というのが一般的な理解です。これに間違いはありませんが、その動作をする際には、体のほかの部位のあらゆる筋活動があります。

スクワットもデッドリフトもほぼ全身を使う、といっても過言ではありませんし、ベンチプレスでも下半身や適度な体のそりを作るために広背筋の筋力も必要です。

 

トレーニング初心者でも軽い重量からでもいいのでやってほしいのはビッグ3だと考えられますが、ベンチプレスに関ては私は少し疑問を感じています。

 

アスリートに帯同するトレーナーやストレングスコーチでもまともな人というのは選手に対してベンチプレスというものを積極的にやらせていない、ほとんどやらせることはない、というのが実態なようです。(自身のブログで公表している人もいます)

その理由は、ベンチプレスという動作そのものにあります。

あらゆるスポーツや競技において、ベンチプレスの動きに関連する動作というのはありません(ほとんどみらません)。

バスケットボールのチェストパスという動作は一見すると関連があるように思われますが、動作のもとになっているのは下半身であったり肘と手首のスナップであったりします。

 

アスリートでもそうなんですから、一般の人が健康維持や体力向上、体の機能向上を目的としたトレーニングをする場合にベンチプレスというトレーニングはその優先度は高くない、むしろやらなくてもいいのではないか?と感じます。

(カッコイイ体を作る、とか、厚い胸板を作る、というボディメイクの観点からすればセどんどんやるべきですが)

 

それよりもやってほしいと感じるのはショルダープレスです。

頭上にダンベルを上げる動作この種目も、日常生活ではそんなことをすることがほとんどありませんが、積極的に行ってほしいものです。

何故かというと、

現代の生活では、自分の頭よりも上に手が行くというのは頭を洗う時以外にほとんどありません。ということは必然的に肩の筋力が低下していきます。

四十肩、五十肩などという深刻な肩の痛みに現代日本人の多くは悩まされていますが、これは手を頭上へ上げる動作をすることなく、数十年間生活をしてきたことが原因にあると考えられます。

 

また、ショルダープレスという動作をするためには背中(胸椎)をまっすぐにして、さらに自分の腕が顔の真横からやや後方まで下げることが必要です。

姿勢が悪く猫背になっていたり、いつの間にか肩の可動域が狭くなり、万歳のように手を挙げても手が前方に行ってしまい、まっすぐ真上に上げられない人も多いでしょう。

そういった人たちにとっては、そんな体の不調の改善に

まだそうなっていない人にとっては、姿勢を悪くせず、肩の関節が良い状態を保つための予防として、

積極的にやってほしいものです。

 

ビッグ3という概念は今後も変わることなないのでしょうけれど、

一般人にとってのビッグ3はスクワット、デッドリフト、ショルダープレス

アスリートにとってはスクワット、デッドリフト、ヒップスラスト

というのが現実なのではないか、と感じています。

メタボ猫から考える動物(人)が太る条件

8月に入り、一気に涼しくなっています。

連日雨がまるで梅雨のように鬱陶しいですが、30度越えの暑さよりは歓迎しています。

 

さて、8月の頭に早めの夏休みをいただき、韓国の釜山へ行ってきました。

釜山は港町で日本で言えば横浜と大阪を合わせたような街だ、と職場にいる韓国出身のスタッフが教えてくれたのですが、まさにそんな印象でした。

 

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今回の旅行では宿代を思いっきり安くしてみよう!ということで

初めてゲストハウスというものに宿泊してみました。その点だけでも色々と書くことができますが、割愛して、このブログで扱える材料として以下の写真をご覧ください。

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かわいいですね!この子たちはそのゲストハウスで飼われている猫です。

すっかり人間慣れしているため、旅行者が入れ替わりに施設を訪れても怖がりません。

見てわかりますが、完全にメタボです。

猫なのでかわいいから許されるのですが、人間であったらそれどころではないですね。糖尿病の危険性大!今すぐ食事の改善と定期的な運動が必要な状態です。

 

この猫ちゃんたちを見て、人間がメタボ化する条件と見事に同じ状況にあるのだと私は思いました。言い換えれば、人も含めた動物が太る(肥える)ための一定条件、環境というものがあるということですね。

その条件とは以下のようになります。

 

・外敵がいないこと(身の安全の保障)

・定期的な食事供給

・狭い活動範囲

 

この猫ちゃんたちは子猫のころからそのゲストハウスの中でくらいしていてほとんど外に出たことが無いそうです。

そしてお腹がすた時に「にゃー」と泣けば、職員が栄養価の高い食事を出してくれます。それも満腹になるまで食べることができます。

ゲストハウス内で生活するわけですから身体活動の量、つまり運動量は外で暮らす野良猫よりかなり低い状態にあります。

 

人に置き換えて考えてみましょう。

命が危険にさらされる可能性が極めて低い、会社と自宅の往復の生活、食べたいものが簡単に手に入りお腹いっぱいでもう食べられなくなるまで食べられる。

現代の日本はまさにそんな状況にありますよね。

 

それではこの猫ちゃんたちのようにそこに暮らす人間がメタボ化していくのは必然的なことです。

 

スタイルの良かった芸能人や人気歌手でもピークを過ぎ、個人的に十分な資産を築き上げてしまうと、途端に体系が劣化します。(浜崎あゆみとか)

食事と運動というのは良いスタイルの維持や健康維持のために必要なことは当たり前ですが、「みっともない姿を人に見せられない!」という緊張感がある状態を維持することも健康とスタイルキープには重要です。

 

自分の身を危険にさらせ!とまでは行かなくとも、社会とのつながりを持ってある程度の緊張感を自分に与える習慣も必要ですね。

トレーナーオブザイヤーが生み出しているフィットネス業界の大問題点とは

昨日に続けて、フィットネス関連情報誌「NEXT」が企画するトレーナーオブザイヤーの問題点をさらに深堀りしていきましょう。

フィットネス業界全体が生み出している大問題と直結していると言っても過言ではありません。

 

それはズバリ、ねずみ講です。

 

フィットネス業界に蔓延するねずみ講というテーマでこのブログでも記事を書いていますが、そのねずみ講とここ数日書き続けているトレーナーオブザイヤーが密接に関連しているのです。

 

フィットネス業界のねずみ講というものをかんたんにおさらいしていきます。

フィットネス業界というのは、ありとあらゆるエクササイズやトレーニング方法、トレーニング器具というものが雨後の筍のように出現してきます。

バランスボールやストレッチポールというものは一般の人でも知っている人がいるほど世間的に認知されていますが、その他にも多くの人には知られていないフィットネス関連のものごとが存在しています。

試しに下記の言葉で検索を掛けてみてください。

TRX、バイパーエクササイズ、ウエーブストレッチリング、マスターストレッチ

いかがでしたでしょうか?

正直これはいったい何なの?と質問したくなるものばかりです。

中には、まるでミノムシのように全身を大きなチューブで包んでエクササイズやストレッチを行う「ストレッチ―ズ」というものあります。

よく考えるなあと半ばあきれてしまいます。

エクササイズ器具だけ膨大な量があるわけですから、ピラティス等の「エクササイズ方法」まで含めると、冗談ではなく天文学的な数字の「フィットネス関連ものごと」があるということになります。

 

問題なのはそれらの器具やエクササイズメソッドに対して、

「それらを使ってお客様へ運動指導を行うためには指導者(トレーナー)の資格を取るように」ということで資格が設置されていること、

そしてその資格が初級から上級というように段階分けされ、セミナー受講や一定期間の養成スクールに通うというシステムが構築されていること、さらにはトレーナーを養成するためのトレーナー(マスタートレーナー)がセミナーや養成スクールを開催して何も知らないひよこ達からお金を巻き上げているということです。

まさに資格ビジネスなんですね。

 

トレーナーオブザイヤーとの関連というのはこのあらゆるエクササイズ方法に関連するマスタートレーナーなんです。

トレーナーオブザイヤーを獲得するまたは準グランプリなどに入賞すると、そのトレーナーに対して、どこかの会社からか、まだ世間には未公開の新しいエクササイズ方法が紹介されます。

そしてオブザイヤーに輝いたトレーナーが他の一般トレーナー達がそのエクササイズの存在を知るはるか前にそのエクササイズの資格を取得し、そのエクササイズのマスタートレーナーになってしまいます。

 

先ほど挙げた「ストレッチ―ズ」などはまさについ最近登場してきたエクササイズですが、それがフィットネス関連情報誌で取り上げられる頃には既にストレッチ―ズの指導者としての資格とそのための養成コースがしっかりと作り上げられた状態になっていました。

そしてその養成スクールの担当講師を務めるのはトレーナーオブザイヤーに輝いたトレーナーです。

 

こうしてトレーナーオブザイヤーに輝いたトレーナーはありとあらゆるエクササイズ方法が未公開株状態にあるうちにそのエクササイズを受講し、そのマスタートレーナーとなって新人ひよこ達を集めて養成スクールやセミナーをやり続けるのです。

 

NEXTでトレーナーオブザイヤーに輝いたトレーナーが数か月後に発行されるNEXTでは新しいエクササイズ方法のマスタートレーナーとして養成スクールの宣伝に登場するということが頻繁に起こります。

そして多岐にわたるエクササイズ方法に関するあらゆるセミナーが毎回、同じ顔触れの講師たちによって行われています。

 

まさに情報弱者を相手にしたセミナービジネスです。

 

これがトレーナーオブザイヤーが生み出している大問題です。

トレーナーオブザイヤーの問題点

昨日触れました「トレーナーオブザイヤー」というものについて掘り下げていきましょう。

これはフィットネス関連情報誌(フリーペーパー)の「NEXT」を発行する出版社(名前はわかりません)が毎年行っている「企画」です。

フィットネスに関わる者たちがどんなことをしたか、どんな実績を残したのか、などということをコンペティションし、編集者や審査員がその年の最優秀トレーナーを決めるというものです。

 

ここでまず一言言いたいのは「トレーナーオブザイヤー」という名前です。フィットネスに関わる人のことを「トレーナー」と呼んでしまいますが、実際にスポーツの現場等で本当に「トレーナー」をしている人とは全くの別物です。

「こんなトレーニング方法やケガの対応方法が選手の活躍に貢献した」とか

「トレーニングサイクルを工夫したことによってチームが勝った」などということが「トレーナーの仕事」と考えるのが一般的だと私は思うのですが、

NEXTで取り上げられるのは「加圧ジムをオープンして経営が順調である」とか「ピラティススタジオが盛況で2店舗目、3店舗目と店舗数が増えている」というような経営者としての手腕が発揮されている人たちです。

中には、トレードマークとして髪型をリーゼントにしているジム経営者がグランプリを受賞したケースもあり、本当にやるせない気持ちになりました。

 

スポーツの現場で日々活動する本当のトレーナー達はこういった企画に応募してくることはまずありません(そもそもそんな時間が無い)。一流アスリートやスポーツチームに帯同しているトレーナー達とフィットネス業界が「トレーナー」と呼んでいる人たちは全くの別物だということです。

 

そして、このトレーナーオブザイヤーの最大の問題点はその選考方法にあります。

自薦他薦を問わないのです。自薦OK!つまり

自分で応募することが可能なわけですね。

実際にこれまでの受賞者たちのほとんどは自分自身でプレゼン資料を作り、選考を受けています。

現場での指導と経営するジムのマネジメントをしながらよくそんな資料を作る時間があるなと思ってしまいます。(実は暇なんですかね?)

 

選考委員たちへ向けて、自分の活動実績をキレイに資料にまとめて送れば選考に通るかもしれないわけです。人に見てもらうとなったら多少は実績を「盛る」でしょうし、やろうと思えば大したことが無いことでもそれっぽく演出ができてしまいます。

ここに問題があります。

 

中にはチベットなど海外へのボランティア活動(実際はただのバックパッカー)をしたり全身タイツを着て盛り上げ役として東京マラソンに参加したなどというトレーナー活動とは明らかに違う内容の活動をしている者が受賞していたりします。

これはどう考えてもおかしいです。

 

そのトレーナーの腕やサービス精神、人格などが評価の対象になるべきであり、それを判断するのはそのトレーナーの周囲にいる人やお客様であるべきだと私は思います。

ミシュランの審査は審査員たちが一般客に紛れて極秘に来店し、料理の味やお店の雰囲気、店員の印象などを判断して星をつけるかどうかを判断しているそうですが、審査というものはそれが当たり前でしょう。

 

オリンピックの候補地などのように「一つの共通の目標に対する審査」ということであれば自薦というのは自然なことですが、どのトレーナーが優秀なのか、ということはNEXTを発行する会社の編集委員たちが、各スポーツクラブや個人経営ジムの利用者たちか生の声を集め、実際に客として現場に足を運んだ上で審査をしていくべきものです。

 

明日はさらにトレーナーオブザイヤーが作り出す業界の大問題について触れていきます。