スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

すごいことになったチョコザップ

またまたブログ更新が滞っていました・・・。

それだけフィットネス業界には書くことが無い=動きが無いということでもあるのですが、突出しているのは以前にも書いたチョコザップです。

正式名はひらがなで「ちょこざっぷ」または英語表記で「chocoZAP」だそうです。

 

業界内で今一番元気、といいますか業界内で唯一、活発に動いている企業です。

ちょこざっぷの存在が目立ち始めたのは2022年の10月~11月ころからだったと記憶していますが、そのあたりから1年もしない期間で

2023年8月現在、店舗数が880、会員数がなんと80万人とのことです。

 

もっとも、ちょこざっぷの場合は

「一つのお店に会員として所属する」ということではなく、専用アプリにクレジットカード登録する、いわゆる有料プランにすることですので「会員」というよりも「有料プラン登録者数」といった方が良いかもしれません。

(この”会員”という仕組みを時代に合わせて見事に変革させた点も特筆に値します)

 

さて、80万人という会員数は業界的には目を見張るものがあります。

自分を慰めるように「あれだけ店舗数一気に増やして、赤字がものすごいらしいですよ」なんて言っている無能フィットネス業界人が非常に多いですが、自分たちが所属する会社だって赤字でしょうし、目立った動きはできていないことは確かです。

 

フィットネス系情報サイトの「BEHIND THE FITNESS」によると業界的に大手と言われるコナミスポーツは2023年3月期で21億円の赤字、セントラルスポーツは約8億の黒字を出しましたが、ルネサンスは11億円の赤字を計上しています。

 

ちょこざっぷは素人目に見ても明らかなほど

大量のポスティングチラシ

街中での手配りチラシ

テレビCM

電車の車内広告

SNSなどインターネット広告

などを打っており、意図的に経費をかけていますが

対する大手は「大した広告も打っていない、目立った販促活動ができていない状態」で「赤字」か「微々たる利益」しか計上できていないわけです。

 

こうやって比較すれば

前者は今後を見据えた積極投資での赤字

後者は何もしていないまま会員数の減少と光熱費の高騰で赤字

というのは明らかで、赤字の中身が全然違うものであることは明白です。

 

さらに言えば

広告に多額の予算を充てられるだけの資金力がある(あるいは資金を調達できるアテがある)こともちょこざっぷの運営会社であるライザップの強みだと言えます。

一時期はM&Aを繰り返して東証一部上場が目の前という所まで行き、買収した各企業の業績が伸びずに「株で大損してしまった」わけですが、それでもここまでの動きができるのは同業他社では不可能です。

 

会員数も80万人のちょこざっぷに対して

コナミスポーツ:公表せず

セントラルスポーツ:約34万人

ルネサンス:約38万人   ※この記事を書いている段階でわかっている数字

ですからちょこざっぷの半分にも届いていません。

また、セントラルスポーツルネサンスは子供のスイミングスクールやテニススクールなどのフィットネス以外の会員数も合わせての数字ですので、純粋にフィットネスを実践する人の数はもっと少ないものになるはずです。

 

完全にゲームチェンジが起こりました。

 

「1日5分の運動で大丈夫」のキャッチコピーや

「土足利用OK」「着替え無しでスーツのままでもできる」といった利便性を打ち出したことで、これまでフィットネス業界がどうやってもアプローチできなかった、「運動初心者」や「運動の必要性を感じながらも”ジムの雰囲気”が嫌で会員になりたくない」という人達の運動意欲を喚起できたのでしょう。

 

ちょこざっぷは「投資」の段階からそれを「回収する」という段階に入っていくはずです。「町中の至る所にちょこざっぷがある」というプラットフォームを利用してあらゆるサービスを付加していくことになると予想できます。

 

「そう来たか!」と思えるものがまた出てくるかも知れません。

 

Amazonで見つけたオモシロ商品をちょっと紹介します。

1個あたり糖質10g以下の低糖質クロワッサン

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バカにできなかったカップヌードルプロ(すみませんでした)

炭水化物35gもあるじゃないかと思ったら食物繊維20g+糖質15gでした。

ダイエット中のチートやプチご褒美食に便利。

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糖質カット炊飯器はそれほど糖質をカットしていなかったらしい。

「これを食べれば痩せる」と謳ったダイエット食品にダイエット効果が無かったという話は頻繁にではないですがちょいちょい詐欺事件のようなものとしてニュースになります。

そしてつい数日前も同様のニュースを目にしました。

 

米を炊く過程でその米を糖分をカットして、

低糖質な白米としてご飯を炊いてくれる

「糖質カット炊飯器」または「低糖質炊飯器」が

数年前から製造販売されていますが

国民生活センターの調査によると「実際はそれほど糖質カットされたわけではなかった」とのことです。

※検索すればニュース記事が表示されますので気になる方は調べてみてください。

 

フィットネスを仕事をしている身としては「やはりそうだよね」という程度の感想です。

 

このニュースが出る前にその存在を知ってはいましたが、

どんな仕組みで「ご飯を炊く過程でその米の糖分を減らすのだろうか」とずっと気になっていました。

 

調べてみると

 

米を炊く=高温で煮るということですが、その際に溶け出しくる

デンプン(米を炊くと白い膜のようなものが張ってきますがそれらしいです)を

釜の中に残さずに炊飯器下のトレイに排出する、

あるいは

どういう仕組みなのか理解が難しいですが、お米を炊く際に

その米に含まれる水分の量を増やすことで相対的に糖質の量を少なくする

というどちらかの仕組みを用いた炊飯器のようです。

 

栄養士さんが解説をしているウェブサイトもあるようですが

それにしてもにわかには信じられませんでした。

そしてその結果、は「やはりそうでもなかったのね・・・」ということでした。

 

煮ることで糖分が溶け出すということなら

野菜やその他の食材も同様に低糖質になるはずです。

 

つまり

 

蕎麦、うどん、ラーメン、パスタなど

鍋で煮ることで調理をする麺類は「実はみんな低糖質でした」ということになるでしょう。

どう考えてもそういったことにはならないはずです。

 

国民生活センターではこの製品について(全てではないですが)、

景品表示法上の問題になる恐れがある」という警告を発しています。

既に商品が掲載されたサイトそのもの、

または販売サイトが削除されていてこの流れは大きな波紋となるかも知れません。

 

バッサリ切り捨ててしまえば「インチキ商品」とも言えますが

どうしてそのような製品が製造販売されていた(いる)のかを考えてみます。

 

まずはシンプルに「そのように謳うと売れるから」です。

ダイエットというのは永遠に続いてくブームのようなものであり、

多くの女性にとっていつも考えていることであり、願望であるかと思います。

そして最近では「痩せるためには糖質制限」という認識が

一般の人たちの間にも広く浸透したため、痩せたい方や

体脂肪を減らしたい方へ向けて「糖質オフ」「糖質ゼロ」「低糖質」など

糖が入っていないことを強調する食品やお酒などもたくさん出回るようになりました。

「糖質が無いこと」を強調すると売れるようになったわけです。

これまでは「お米をどうやって美味しく炊き上げるか?」を

追求してなかなか新たな切り口を見いだせないでいた炊飯器に

どんな謳い文句を書けば売れるのか?

「糖質カット」だ!

という切り口を持ってきたということが考えられます。

 

もう一つは

「消費者のニーズに何とか応えようとしてくれた」

というメーカーの企業努力という視点です。

「ダイエットしたいですか?」「痩せたいですか?」と質問すれば

多くの人が「痩せたいです」と回答するでしょう。

しかし一方で

「そうは言っても美味しいものは食べたい」と思うものだし

「ダイエットには逆効果だと分かっていてもつい食べてしまう」というのが人間です。

つまり「痩せたいけど食べたい」ということですね。

 

この万人の願望ともいえるニーズにどうすれば応えられるのか?

ということを突き詰めたのが糖質カット炊飯器だとも言えます。

「痩せたいけど食べたい」

「痩せるためには食べてはいけないけどせめてその罪悪感だけでも減らしたい」

「普通に白飯を食べるよりはわずかでも血糖値が上がりにくくしたい」

そういったいわば「人間のわがまま」をたんなるわがままとして

終わらせず、みんなが欲しいと思うもの=ニーズとして捉え、

何とかしてみようと企業努力によってそれに答えてくれたのが糖質カット炊飯器であるともいます。

 

こう考えてみると

・多くの人は痩せたいと常に思っている

・芸能人やSNSで見た人などに影響されて今度こそは痩せよう!、と決意する

・でも美味しいものは食べたいし、空腹感はとてもじゃないけど我慢できない

・痩せないとな、、、と思いながら根本的には困らないので結局は食べる

・我慢するほうがストレスで体に悪いから、と理論武装する

・今更体形なんて気にしてもしょうがないし、と開き直る

という流れが起こり

定期的にダイエットブームとダイエットより食べたいブームがその人の中でサイクルしていくことが分かります。

 

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こちらも低価格でおススメです。

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大型施設スポーツクラブから派生して、また戻ってくるの繰り返し

2023年!明けましておめでとうございます。

新年ですが、普通に書いてみます。

 

新型コロナウイルスの影響を受ける前から

大型施設スポーツクラブは実はどの施設も経営状態は良いものではありませんでした。それらしいことはこのブログで何度も書いてきたと思います。

経営陣に「スポーツクラブ運動施設、つまりテーマパークみたいなもの」という考えがあるので「作っておいておけば勝手に人が来る」という感覚になっているため、中身(コンテンツ)をどう充実させるか、までには考えが至っていないのです。

 

現場で働くスタッフやフリーのインストラクターの中には大型施設でやっていることを抽出してきて、小型施設でやってしまえばいい(それだけ大手が何も考えていないことへの失望がある)という考えで、色々なフィットネスビジネスを生み出した人がいます。

パーソナルトレーニングジムなどはその最たるものです。

マンツーマンのトレーニング指導の部分だけ大型施設から抽出してマイジムを開業するということです。

ダイエットに特化したライザップなどは大型施設とは対照的にマンションのワンルームほどの広さで成り立つお店です。

マンツーマンで指導する代わりに料金は高額になるのですがそれでも「やる」という人が思っているより多くいることが分かると、今度は大型施設でも「高額パーソナルトレーニングサービス」が導入されるようになりました。

 

ヨガ、ピラティスなども同様です。

元々は大型施設のスタジオプログラムで色々あるレッスンの一つとして導入されていたヨガやピラティスも「そこだけ抽出してきた」ヨガ専門スタジオやピラティススタジオが増えました。

そしてヨガの場合はホットヨガ、サスペンションを使ったエアリアルヨガなどこれまた色々な形でのヨガが派生してきます。そうすると今度は大手がそこに目を付け、スタジオをホットスタジオに改造して「流行りのホットヨガがウチでもできますよ!」と言い出すわけです。

 

暗闇ボクシングや暗闇トランポリン、暗闇自転車エクササイズなどもその源流は全て大型施設スポーツクラブのスタジオレッスンにあります。

大型施設スポーツクラブから派生したものを、また大手が目を付けては導入する、このループが続き、今では2大型施設でも24時間営業するのが当たり前になってしまいました。

これも大型施設からジムエリアだけ抽出し、どうせなら24時間空けちゃおうということで始めた24ジムが思いのほか人が集まる事に目が留まり、大手が後追いで導入した流れがあります。

 

たぶん今年も、その繰り返しになるでしょう。

どうなる?チョコザップ

2022年、ほとんど記事を書いていませんでした・・・。

というのも目に見えて書くような話題が全くと言って程無かった2022年のフィットネス業界でした。

(などと言い訳ですが)

ウイルスによる営業停止を余儀なくされたフィットネス業界、特に大型施設は現在でも元の姿を取り戻せていません。

この3年で世の中がすっかり変わってしまい、もはや

「駅前にプールもスタジオもジムもエステも温泉もなんでもある施設を出店して数千人単位で人を集める」というスタイルが時代遅れになったようでもあります。

(中には公共施設やホテルのジム・プール運営を受託することで何とかしのいでいるところもあるようです)

 

そんな中で年末に唯一と言っていいほどのフィットネス系情報として注目されたのがチョコザップです。日経トレンディが予測する2023年のヒット(商品?サービス?)に「コンビニジム」がなんと第1位になりましたが、まさにチョコザップのことを指しています。

チョコザップは当初「ZAPAN(ザパン)」という名称で

「ライザップがプロデュースする月2980円の低価格ジム」として世に出ましたが、すぐにチョコザップへとその名称や運営方式を変えました。

 

スポーツクラブ、フィットネスクラブ、ジムなどと言えば「会員制」のサービスです。月定額制で使い放題のサブスクリプションの元祖はフィットネスクラブだと私は思っていますが、従来の「会員」とは「そのお店の会員」を指します。

それに対してチョコザップの会員とは「アプリの有料登録者」です。

 

前者はお店を利用しない、または利用できない状況になる、生活習慣や職場が変ることで物理的に来店が出来なくなるといった理由で退会、つまりそのお店の会員ではなくなるという現象が起こりるため「ある程度の会員数を確保するための現場レベルでの様々な施策」が必要になります。

施設の大小を問わず、すべてのジムやフィットネス施設はそこが商売の肝であり、必死になる部分でしょう。

 

それに対してチョコザップが作り上げようとしているのはその土台を変えるということです。一つの施設に対して何人を集めるか、ではなく、

アプリ会員を増やす

そしてそのアプリ会員がすぐに運動できるように

簡易的な施設をたくさん作る事、これがチョコザップの戦略です。

 

国民全体の性格的に運動をしたがらない日本人の

フィットネス需要を喚起できるのか?

特徴的なCMでヒットしたライザップがどうやってチョコザップをトレンドに載せていくか、注目しています。

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一般人を相手にするフィットネストレーナーなら「山本理論」を選ぶべき理由:指導する対象は誰なのか?

またすっかり更新が滞ってしまいました・・・。

そして横川理論vs山本理論もすっかり沈静化してしまいましたが個人的な意見として続きを書いていきます。

 

「筋肉を付けたいならトレーニングボリュームを多く、時間を掛けないとダメ」という横川理論

「筋トレはそもそも無酸素運動、長時間で大量にできるものではない」という山本理論の論争がありました。

このブログでは山本理論を推奨するスタンスを取っていますが、そのもっとも大きな理由が「トレーナーの顧客は誰なのか」ということです。

 

横川理論とは言い換えれば「短時間でちょっとやった程度で筋肉が付くわけないでしょ!ハードトレーニングをしなきゃだめだ!」ということになります。これは確かにその通りです。

フィットネスクラブでトレーナーをしていると、「医者から足腰の筋肉を付けるように言われて・・・」と言って入会する人を頻繁に目にしますし、「見た目にも身体にハリが無くなってきて筋肉が欲しい」という方も多いです。こういった人達に共通しているのは「少し筋トレをやれば簡単に筋肉が付くだろう」と考えている点です。トレーナーなら、または筋トレ実践者であれば当たり前のように認識していますが、筋肉が付くことというのは根本的な体質の変化ですからそうそう簡単に体が変化していくわけではありません。

地道な作業(トレーニング)を、定期的に繰り返して、ある程度の時間を掛けて、やっと自覚できるようなものです。

しかし、本人が自覚できるかどうかは別にして、仮に不定期であっても筋トレをしているかどうかによるコンディションの違いははっきりと表れます。

その違いを日常生活のどこかで感じる瞬間があればトレーニングの意味を感じますが、それ以前に「こんなに辛いことしなきゃいけないの?」と言ってギブアップし、「もう少し軽めのトレーニングから始めます・・・」と筋トレから離れてしまう人も多いのです。

 

さて、パーソナルトレーナーまたはトレーナーとして仕事をしていく場合に考えなくてはならないのは当然ながら「仕事として成立させること」つまり顧客を持ち、リピーター様になっていただいて収入をえることでしょう。

その点から考えると横川理論が通じるのはコンテストに出るような体を作りたいと思っている人か、ビルダー同士、フィジーカー同士の間のみになります。市場規模がかなり限定されますね。

パーソナルトレーナーを別料金まで払ってやろうという人はそういった意識がものすごく高い人である一方、「自分では何をしたらいいかわからないからお金を払うので教えてください」という超初心者も多いです。

ゴールドジムのようなところでも、その他一般的なフィットネスクラブでも、パーソナルトレーナーを頼むのは圧倒的に初心者や高齢者です。

 

その人達が口にするのが「医者から言われた」「筋肉を付けたい」という先ほど書いた言葉です。

そういった人達に横川理論で話をしてしまうと、せっかく興味を持って申し込んでくださった顧客候補の方を逃してしまうことになりかねません。

 

山本義徳さんのプロフィールを見れば、山本さんは決してボディビルダー同士で指導しているトレーナーではなく、他のジャンルの人や選手にも指導していることが分かります。

普通のフィットネスクラブで働いていればアスリートに出会うことなどまずありませんので、一般人それも運動初心者がパーソナルトレーニングの見込み客となるはずです。そういった方々へのいわば宣伝文句として、山本理論は「少し頑張るだけでも意味と効果はありますよ」「短い時間でインターバルも長めにとって自分のペースでやっていいんですよ」という希望を感じさせるものになるはずです。

 

実用性という観点からも山本理論を選択するほうがよいだろうと考えます。

一般人を相手にするフィットネストレーナーなら「山本理論」を選ぶべき理由:横川理論が通用するのは横川さんだけ

前回の続きを書いていきます。

今回は「横川理論」について考えてみましょう。

 

横川理論とはボディビルダーの横川尚隆さんが考える「トレーニングについての意見」です。実際にボディビルという競技で日本一に輝くまでに色々なやり方でトレーニングをしてきたはずですから、その経験の中で体で学んできた「筋トレの現実」とも言えるかと思います。

 

レーニング(レジスタンストレーニング)について少し詳しい人なら

「筋肥大を狙うなら8~12RMで2~3セット」というのはもは定番でしょう。筋トレをしている人ならほぼ確実にこの目安に沿った負荷設定と回数でトレーニングをしたことがあるはずだし、やり続けているはずです。

 

全く筋トレをしたことが無い人が何かのきっかけでトレーニングを始めた場合、「8~12RM」つまり「8~12回ギリギリできる重さ」でやると「筋肥大がしやすい」と理解して、それを信じてマッチョボディを目指していくことになるのが一般的です。

しかし、8~12RMをどれだけきっちりこなしたとしてもそう簡単に筋肉は増えていくものではないということが次第にわかってきます。

 

ボディビルとは言い換えれば

「どれだけ多くの筋肉を付けて脂肪を減らしていくかを競い合う競技」です。野球、サッカー、ゴルフ、格闘技などと同様の”スポーツ”ですので、「これをやれば競技がうまくなる」などという簡単な方法があるわけではありません。

多くの人が上手くなるために色々な練習を何年間も行っているはずです。

 

横川さんはボディビルという競技で日本チャンピオンになったわけですが、その位の実績を残すならば「8~12RM、2~3セット」だけでトレーニングを済ませていて大丈夫なわけがありません。

数ある練習方法の一つが8~12RMというだけです。

 

どんな競技でもそうですが、試合や大会で勝つためにはありとあらゆる練習をする必要があり、試合・大会の規模が大きくレベルが高いものであればあるほどそれにふさわしいだけの練習量、練習時間が必要になります。

山本義徳さんの「101の理論」は一見すると「101の刺激を入れることができれば筋肉は増えるからカンタンだよ♪」と言っているように感じられますが(そうでないことは前回記事に書きました)、横川さんが出場するような大会となると、簡単にできる程度のトレーニングで済ませても勝てるわけがないことは明白です。

 

ですから、「そんな簡単に筋肉はつかないから、ハイボリュームでトレーニングしないとだめだ」という結論に至るのは自然なことで、それが「横川理論」と呼ばれるようになったのだと思います。

 

ポイントなのは

「その理論が誰にでも当てはまるものなのか」という点です。

ハードなトレーニングをしないと筋肉が付かない、時間を掛けてやり込まないと筋肉が付かないというのが確かだとしても、筋トレ初心者がその理論を実践することは難しいはずです。

サイヤマングレートとのトレーニング動画で横川さんは腕のトレーニングだけで6種目30セット以上、それもかなりの高重量でトレーニングをしていますが

それができるのはサイヤマンなどのように既に大会出場経験があり、一定の実績も残している選手に限られます。

 

角度を変えて言えば、

その位のハイボリュームのトレーニングをこなせるのは横川さんしかいないので、彼は日本チャンピオンになれたし、筋トレを通じてテレビタレントにもなれたわけです。

 

横川理論は横川さんにしかできないオリジナルメソッドであり、

オリンピックアスリートが一般人の労働時間に相当する8~10時間を競技の練習に充てるような行為と同じです。

 

多くの一般人には当てはまらない理論でしょう。

一般人を相手にするフィットネストレーナーなら「山本理論」を選ぶべき理由の序論:「101の理論」をきちんと整理してみる

筋トレ界では現在、山本義徳さんが提唱する101の理論とボディビル日本チャンピオンの横川尚隆さんの理論(主張?)が論争を巻き起こしているようです。

 

論争は主にYouTubeの正解で起こっているようで、具体的に両者がどんな言葉でどんな主張をし合っているのか、実際にお互いに個人名を出して批判し合っているのかなど細かい所までは見ていませんが、様々なボディビルダーや筋トレユーチューバー、フィットネスチャンネル運営者がこの理論バトルについての見解を述べています。

 

まず、論争になっているポイントをおさらいします。

山本理論:トレーニングは短時間でも効果がある(むしろその方が効果的)

横川理論:ボリュームを多くして時間を掛けてトレーニングしないと効果は無い(低い)

簡単に書くとそのようになるかと思います(違っていたら誰かご指摘ください)。

ざっくりとですがこの理論関連を扱った一人しゃべり動画を見る限りは「ボリューム少なめ、短時間」なのか、「ボリューム多め、長時間」なのかについてをみんなが意見を出し合っているという所でしょう。

 

このブログでもそこに乗っからせていただきますが、

当ブログの結論は、山本理論を推奨します。

理由は、山本理論と呼ばれる「101の理論」について正しく理解し、その上で横川理論と比較をすれば前者の方が色々な意味で実用的だと判断できるからです。

 

山本義徳さんの101の理論とは

筋発達(筋肉を増やす)のために必要な体への刺激、ストレスとはどの程度のものなのか?を言語化した「表現の一つ」です。

山本さんが独自に考え出した理論ではなく、「こうなった時に体は筋肉を増やそうとする」という人体に起こる現象、化学反応です。「物を燃やせば二酸化炭素が出る」というのと変わりありません。

 

人体にはホメオスタシスといういわば「今の状態を保とう」とする力が常に働いているので、筋肉を増やそうとするならばそのホメオスタシスを打ち破る刺激が必要です。その刺激をどう与えるのかというと、筋肉に全力を出させることがそれに当たります。

筋肉に全力を出させるには負荷をかけること=レジスタンストレーニング=筋トレをすることが効率が良く、自分が持っている筋力の最大値を100としたならば、それを僅かでも上回る力(いわば101の力)を出せば、それが筋発達のために必要な刺激となる、というものです。

山本さんがボディビルという競技を通じて「筋肉が発達する人体のメカニズム」を研究し、やっと探し当てた答えの一つなのでしょう。

 

ポイントとなるのはこの「101の理論」において山本さんは

「トレーニングは短時間の方が良い」

とは言っているものの

「トレーニングはもっと楽にできる」

などとは言っていないということです。

 

山本さんは自身のセミナーや著書の中で、

ボディビルダーのトレーニングDVDなどを見ると2時間、3時間とトレーニングする人がいるが、その位の時間を掛けてできるトレーニングというのは、筋トレを趣味として楽しんでいる要素が多く、実際に筋発達を促すシグナルが体に入っている=ホメオスタシスを打ち破っている瞬間の除けば、残りの大部分はいわば無駄であり、ホメオスタシスを超えていない」

ホメオスタシスを打ち破る刺激を入れられるかどうかが重要で、仮にそれが出来るならばトレーニングは時間短縮が可能であり、セット数も少なくできる」

そこから転じて、

「トレーニングとは、いかにホメオスタシスを打ち破るかに集中して、短い時間で、少ないセット数でやる方が効果的だ」

という主張をしていて、それは昔から一貫しています。

 

101の理論が多くの人に広まっていくにしたがって、まるで伝言ゲームのように重要ポイントがずれていき、先ほどのホメオスタシスを打ち破る刺激を入れられるかどうかが重要で、仮にそれが出来るならばトレーニングは時間短縮が可能であり、セット数も少なくできる」という部分だけが独り歩きしているようですが

「101の理論」とは、あくまでも「ホメオスタシスを打ち破る刺激のこと」であり、「短時間・少量」は副次的に得られるメリットの一つに過ぎません。

 

簡単に、

楽に、

ちょっと集中してやれば短時間で、

少ないトレーニング量で、

・・・・・・筋肉が付く!!

101の理論に対してそんな理解をしていたり、印象を持っていたとしたらそれは大きな間違いです。

 

山本さんがトレーニング指導をするユーチューバーやフィジーカー、動画に出演してもらって再生回数を稼ごうとする人たちのトレーニング動画を見てみると、みんな1~2種目終わるころにはヘトヘトになってその場にしゃがみこんでいたり、両手を床についてヘタッてしまっている様子が分かります。

撮影という以上はある程度の演出が入るでしょうが、それでも決して楽で簡単に101が得られるものではないことが理解できます。

 

逆に言えば

それほど強烈に筋肉を刺激することができたなら、そこからさらに追い込むようなことをするとコルチゾルが分泌されてカタボリックが促進されるので、短い時間で切り上げた方が効果的である、ということになります。

 

こうして改めて書き出してみるだけでも新たな学び、勘違いしていた点の修正ができるかと思います。

 

そうすると今度は

「いやいや、山本さんは頻繁に”トレーニング時間と量を減らした方がより効果が高かった”という実例や実験結果をTwitterに載せているじゃないか」という意見が出てくるかと思いますが、それらの記事に記されているのはどれも「トレーニングの重要な部分を抽出して、あとの無駄なものは省いた」というものです。

「意図的にボリュームを時間を少なくした」というわけではないし、「トレーニングを意図的に楽なもにした」というわけでもありません。

 

かつての日本の学校教育における体育や部活において、罰ゲームのように課せられていた(”科せられていた”でも可)「うさぎ跳び」や「空気イス」や「何回もやらされる腕立て伏せ」などには意味は無いということ、

そして日本のスポーツ界で行われているトレーニングでは、依然としてそんな「昔の部活のやり方」が定着している中で、「そんなのカットした方が良い」ということを、101の理論の観点から主張しているのです。

 

この序論を踏まえて、次回に続けます。