前回の続きを書いていきます。
今回は「横川理論」について考えてみましょう。
横川理論とはボディビルダーの横川尚隆さんが考える「トレーニングについての意見」です。実際にボディビルという競技で日本一に輝くまでに色々なやり方でトレーニングをしてきたはずですから、その経験の中で体で学んできた「筋トレの現実」とも言えるかと思います。
トレーニング(レジスタンストレーニング)について少し詳しい人なら
「筋肥大を狙うなら8~12RMで2~3セット」というのはもは定番でしょう。筋トレをしている人ならほぼ確実にこの目安に沿った負荷設定と回数でトレーニングをしたことがあるはずだし、やり続けているはずです。
全く筋トレをしたことが無い人が何かのきっかけでトレーニングを始めた場合、「8~12RM」つまり「8~12回ギリギリできる重さ」でやると「筋肥大がしやすい」と理解して、それを信じてマッチョボディを目指していくことになるのが一般的です。
しかし、8~12RMをどれだけきっちりこなしたとしてもそう簡単に筋肉は増えていくものではないということが次第にわかってきます。
ボディビルとは言い換えれば
「どれだけ多くの筋肉を付けて脂肪を減らしていくかを競い合う競技」です。野球、サッカー、ゴルフ、格闘技などと同様の”スポーツ”ですので、「これをやれば競技がうまくなる」などという簡単な方法があるわけではありません。
多くの人が上手くなるために色々な練習を何年間も行っているはずです。
横川さんはボディビルという競技で日本チャンピオンになったわけですが、その位の実績を残すならば「8~12RM、2~3セット」だけでトレーニングを済ませていて大丈夫なわけがありません。
数ある練習方法の一つが8~12RMというだけです。
どんな競技でもそうですが、試合や大会で勝つためにはありとあらゆる練習をする必要があり、試合・大会の規模が大きくレベルが高いものであればあるほどそれにふさわしいだけの練習量、練習時間が必要になります。
山本義徳さんの「101の理論」は一見すると「101の刺激を入れることができれば筋肉は増えるからカンタンだよ♪」と言っているように感じられますが(そうでないことは前回記事に書きました)、横川さんが出場するような大会となると、簡単にできる程度のトレーニングで済ませても勝てるわけがないことは明白です。
ですから、「そんな簡単に筋肉はつかないから、ハイボリュームでトレーニングしないとだめだ」という結論に至るのは自然なことで、それが「横川理論」と呼ばれるようになったのだと思います。
ポイントなのは
「その理論が誰にでも当てはまるものなのか」という点です。
ハードなトレーニングをしないと筋肉が付かない、時間を掛けてやり込まないと筋肉が付かないというのが確かだとしても、筋トレ初心者がその理論を実践することは難しいはずです。
サイヤマングレートとのトレーニング動画で横川さんは腕のトレーニングだけで6種目30セット以上、それもかなりの高重量でトレーニングをしていますが
それができるのはサイヤマンなどのように既に大会出場経験があり、一定の実績も残している選手に限られます。
角度を変えて言えば、
その位のハイボリュームのトレーニングをこなせるのは横川さんしかいないので、彼は日本チャンピオンになれたし、筋トレを通じてテレビタレントにもなれたわけです。
横川理論は横川さんにしかできないオリジナルメソッドであり、
オリンピックアスリートが一般人の労働時間に相当する8~10時間を競技の練習に充てるような行為と同じです。
多くの一般人には当てはまらない理論でしょう。