スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

加圧トレーニングで筋肥大は起こるのか?

今回はまた加圧トレーニングについて書いていきます。

 

加圧トレーニングが登場し、芸能人が実践しているなどとして世間に広まっていったのはかれこれ20年くらい前の話になるかと思います。

今ではかつてほどの勢いは無くなりましたが、廃れたということではなく、トレーニング方法の一つ、健康法の一つ、負荷の掛け方の方法の一つ、といった認識で一定数の人たちには定着しているといったところでしょう。

加圧トレーニングで検索をかければ実に様々な効果があるというような言葉が無数にヒットします。健康増進やアンチエイジング、ダイエット、筋力アップなどすべて見ていくとまるで夢のようなトレーニング方法に思えてきます。

 

その中でもフィットネストレーナーや筋トレ実践者たちが最も注目する、または過去に注目したであろう加圧の効果は筋肥大でしょう。

つまり筋肉が付く、筋肉が太くなるということですね。

「加圧をすることによって、辛いことや強度の高いきついトレーニングをしなくてもそれと同様の効果を得ることができる」というと大げさに聞こえますが、ウェブサイトによっては本当にそのような書き方をしているものあります。

 

実際のところどうなのか?簡単に調べる方法があります。

それは実際に筋トレをしている人たちがどうしているか、見に行くことです。

ボディビルダーや筋トレユーチューバーたちのトレーニング動画でも構いません。ポイントは「筋肉を付けることを追求している人たちの動向」を見ることです。効率よく筋肉が付いていく、発達していくという方法やサプリメントなどに最も貪欲なのはそうした人たちです。加圧トレーニングによって手軽に効果的に筋肉が増えていくとか太くなっていくというのなら、トレーニーたちが真っ先に目を付けるはずだし、その方法を実践し続けるはずです。

YouTubeにも加圧トレーニング動画がどんどんアップロードされるでしょう。

 

しかし、現実はそんなことはありません。

 

ゴールドジムやエニィタイムフィットネスなど筋トレ好きが集まるジムに行っても、腕や脚に加圧ベルトを巻いてトレーニングしている人なんで全くと言っていいほど見当たりません。

ちなみに本日(2021年10月10日)はボディビル日本選手権大会が行われましたが、加圧トレーニングだけで体を作ったというビルダーなんて存在しません。

 

この現実が全てを物語っています。

加圧トレーニングで筋肥大は起こらないのです。

 

正しく言えば、ボディビルダーやフィジーカーが求めるような筋肥大は起こらないということになります。

普段から筋トレどころか、まともに運動もせず体を鍛えたこともないというくらいの人が加圧トレーニングを始めたとしたら、少しは腕や脚が太くなるでしょう。その意味での筋肥大は起こりえます。

 

加圧トレーニングのテキストや解説書には筋肉が増えた実験結果として、上腕二頭筋(力こぶ)と大腿四頭筋(ももの前側)の断面積をCTで測った画像や、巻き尺で周囲径を計ってみた結果などが載せられており、確かに加圧トレーニング実践後はそれらが大きくなっています。

しかし、力こぶや大腿部前面の筋肉はアームカールとレッグエクステンションという単純な動作を繰り返し行えば、軽めの負荷でもパンプアップすることがあります。

それをもって「加圧で筋肥大が起こった!」と謳ってしまうのははっきり言って誇張ですし、腕と脚以外の主要な筋肉(殿筋群や各種背筋)には同じことが当てはまるのかどうかまでは触れられていません。

 

加圧トレーニングで筋肉は太くなる、または増えるのでしょうが、

それはあなたが想像するほどではない程度です、と言えるでしょう。