スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

浮かれまくっていたフィットネス業界はもう元には戻らないかも知れない。

東京の新型コロナウイルス感染者数が減ってきました。

実際に何をもってどの段階で感染者として一人をカウントしているのかなどの議論はありますが、現状は良い傾向と呼べるのではないかと思います。

音楽やダンス系のライブイベントも徐々に再開されてきていますし、テレビで野球中継を見るとセ・リーグは遠目には通常通りの観客を球場に入れているようにも見えます。

 

芸能人やユーチューバーたちの感染は続いていますが、自宅療養で回復する場合もあり、「重症化は怖いけれど活動しないことには仕事にならないし、仮に感染してしまったらとにかく家で寝ているしかない」といったマインドに多くの人がなってきているのではないかと思います。

 

そんな中で、フィットネス業界(個人的には飲食業に次ぐ規模で新型コロナウイルス感染による経済的被害に遭った業界だと思っている)は現在でも活路を見い出させていません。業界紙が少し前に発表した大手フィットネス業界のIR情報によれば、感染が蔓延する前の年と比較した現在の売上高は、

業界最大手のコナミスポーツで60%、第二位のセントラルスポーツで63%、第三位のルネサンスは比較的ましな方で74%に止まっているそうです。

※ちなみに新宿の大型施設(電車の窓からも見えるくらい)の閉館で話題になったティップネスは52%という落ち込みぶりだそうです。

 

業界の象徴でもあるこれらの会社が復活するには?

新業態への変革が必要なのか?

生き残り戦略として何をすべきなのか?

など、いろいろと考えを巡らせてもいいのですが、いくら考えても「基本的には無理です」というのが私の考えです。

敢えて言えば「今の売り上げ規模くらいの大きさで細々とやっていくことになる」となります。

※ですからこのブログで何度か「フィットネスクラブは支配人という無駄な人件費をカットせよ」と主張しています。

 

では、売り上げが戻ってこない理由、または今のようになってしまった原因はどこにあるのでしょうか?

答えはシンプルで

「業界人がほぼ全員杜撰で何も考えていなくて浮かれていたから」です。ですから今回のような危機に対応できなくなってすべてが後手後手になり、慌ててSNSを駆使してオンラインの告知や実際の店舗の宣伝などに力を入れだしても「時すでに遅し」になってしまったのです。

 

その一例を挙げます。

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2017年の写真

こちらは業界人の一人が2017年にfakebookに投稿した写真です。

この人物と私は何の関係もありませんが、「いいね」という便利機能のお陰で巡り巡って私のスマホにも流れてきました。

パクチー&セクシーだそうです・・・・。

多分パクチー入りの飲料を飲んで写真を撮ったんでしょう。

 

fakebookが一気に浸透したのはおそらく2012~13年のあたりですが、それからフィットネス業界人のSNSはこういった「どうでもいい写真」や「バカ写真」で埋め尽くされることになりました。

※この他は「食べ物の写真」か「酒の写真」かくらいしかありません。

 

そして同業者同士で「いいね」を付け合い、コメントを付け合い、まるでSNS依存症になったように投稿・いいね・コメントのサイクルを繰り返していました。

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上の写真についたコメント

コメントのやり取りを見れば何ともあほらしいと思えるでしょう。

しかし、流行とは恐ろしいものでこの年にはそれが最先端を行くイケてる行動のようにみんなが思っていたのです。

 

今でしょ!で有名になった林修さんは大学卒業後に就職した銀行を僅か五か月で退職したそうですが、その理由は「みんな浮かれていたから」だそうです。

 

まさにフィットネス業界も浮かれに浮かれていました。

現在では「サブスクリプション」という言葉が定着しましたが、月会費制または定額使い放題という料金形態の元祖はフィットネス業界であると言えるくらいずっと昔からやってきているお支払方法です。

これによって一度会員として人を入れてしまえば、後は放っておいても定期的に収入が入るというまるでアパート・マンション経営のような感覚でフィットネスクラブやスポーツジムというものは運営されるようになります。

(だからマンションの管理人みたいなボケっとしたオジサンが支配人になる)

 

放っておいても金が入るわけですから、社員たちは勉強もしませんし、出勤してきてまずやることが休憩室のベランダに出てタバコを吸うことだったりします。

 

そして現場に出れば会員からチヤホヤされ、すっかりタレント気取りのインストラクターたち、パーソナルトレーナーたちが調子に乗ってもっともらしいことを言っているわけです。

 

フィットネス業界人(社員、インストラクター、パーソナルトレーナーたち)は全員が浮かれていました。

今回のようなウイルスによる影響が出るなどとは微塵も考えていませんでした。

ですから本来は「自分自身の仕事の告知」や「特技」などを世間に知らしめて自分の仕事の幅や収入アップ、新たな収入源の開拓などに活用するべき出るSNSを「遊び道具」として使い、使い倒してしまっていました。

 

先ほどのバカ写真、食べ物と酒の写真、お互いに褒め合うコメント、でタイムラインを埋め尽くしてきたのです。

散々そんなことをやっておいて、コロナになったら「これからZOOMでオンライントレーニングです!30分1,500円です!」なんてfakebookで告知しだしても誰も反応しません。

 

業界も、そこで働く個人も、浮かれていました。

だからもう、元には戻らないでしょう。