スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

今までの収益構造と営業形態が全て仇となっている大型スポーツジム

つい前月末にフィットネス業界最大手であるコナミスポーツ

運営する施設である「コナミスポーツクラブ」をなんと16店も閉鎖するというニュースが比較的大きな話題となりました。

反対にほとんど話題になっていませんが、日テレ傘下のティップネスが最も力を入れているであろうと思われる新宿の施設「ティップクロス」も閉館となりました。

 

既に経済情報サイトなどでもそれについての多く記事が書かれていますが、これは言ってみればリストラです。直接的な従業員削減という意味でのリストラではなく、どうしても採算が取れない施設を削減し、それに伴う業務委託インストラクターへの委託料の削減、そしてアルバイトスタッフへの時給の削減するということでしょう。

正規雇用の従業員は雇用は守られるにしても、彼らの収入源である「お店の売上」が全社的に下がってしまうわけで(既にフィットネス業各社は赤字ですが)、昇給などが見込めるはずもなく、あるいは現場の指導もできない・スタジオレッスンもできないという支配人連中は実質的には「窓際」という状況にいて、その日その日を消費しているだけになってしまっているかも知れません。

 

一般的に企業でリストラが行われるというのは末期症状に近く、倒産するというところまではいかなくとも、「一番勢いがあって儲かっていた時期」を超えるくらいの成長はもはや見込めないと言えるでしょう。

ソニー富士通パナソニックなどの大企業も既にそうなっていますから、フィットネス業界だってそうなることは目に見えています。

それでもソニーくらいの巨大組織になれば腐っても鯛ということで傍から見ればまだまだ優良企業なのでしょうが、フィットネス業界が動かす市場規模は本当に微々たるものですから、「あそこってまだやってたんだね?」と思われる程度までに規模が縮小していくことが予想されます。

 

新型コロナウイルスという自然災害を踏まえてスポーツジム、またはフィットネスクラブを見直してみると、業界がやってきたその商売のやり方が全て裏返しになって自分たちの首を絞めにかかってきていることがわかります。

 

まずフィットネス業界はスポーツジムを巨大化させました。

世間的には今でも「スポーツジム」とか「スポーツクラブ」と呼びますが、我々業界人はフィットネスクラブと呼びます。

運動をする場所としての「ジム」を超えて、生活に密着する場として「フィットネス」という概念を生み出し、運動施設以外にも銭湯並みの風呂を付けたり、サウナを付けたり、ゴルフレンジを付けたり、と運動以外のサービスを充実させました。

まるでリゾート施設です。

 

そうなると、自然とそのリゾート会員権を買う客層というのは高齢者になります。そもそも昼間から時間があって運動やトレーニングをしに施設へ来ることができるなんて現役世代には無理という基本原理もありますが。

新型コロナウイルスに対して重症化を恐れ、人が集まる場所へ行くことに最もナーバスになっているのは高齢者です。

 

次に、フィットネスクラブは「スタジオプログラム」という運動形式を目玉商品として扱うことで商売を成り立たせてきました。

会員制で月謝制という形でお金をいただくこの業界にとってスタジオプログラムはある意味で欠かせない商品でもあります。

スタジオに30~50人前後の会員を集客し、それを継続させるというのは一定数の会員を辞めさせずに会員で居続けさせること=お金をずっと払っていただけるということになります。施設によっては健康のために最も重要だと言ってよい筋トレのマシンを申し訳程度にしか置いていない、フリーウエイト器具なんかも隅っこにちょろっとだけ、というところもザラです。

ところが、目玉であるスタジオはまさに密閉空間であり、三密に加えてインストラクターも声を張り上げてレッスンをしますから飛沫も飛びまくりという危険地帯になってしまいました。

 

そして肝心の施設で働く人についてです。

フィットネス業界は出来るだけ人件費という経費を削減するために、現場に立つスタッフを時給アルバイトに、スタジオレッスンをするインストラクターを業務委託契約に、とあらゆる手段を講じてきました。

ジム・スタジオ・風呂&サウナ・プール・ゴルフ、となんでもそろった巨大店でもそこに勤務する正規雇用の従業員はだいたいどこも5名前後です。

フィットネスクラブにはトレーナーやインストラクターの顔写真がずらりと並んでいて、その数はどの施設でも10~30名になりますが、そのほとんどがバイトか委託なんですね。

少子化と人口減少という背景もありますが昨今の人手不足によってアルバイト募集にもなかなか応募が無く、インストラクターという仕事もなり手が増えていかず、そこに来てのウイルスということで、正社員たちの負担を減らしてくれる要因が激減し、ただでさえ少ない給料にも拘わらず社員の仕事量は増えるということになりました。

 

主となる客層、施設、人、そのすべてが裏返しになって跳ね返ってきているのが現在のフィットネス業界です。

 

長名と書きましたが、こうなった責任は「人」であり、さらに言えば支配人やチーフなどと呼ばれる正社員たちの仕事に対する気持ちと考え方にあります。

 

だってスポーツクラブで働く社員のほとんどがタバコ吸ってるんですから。ウェブサイトには「健康について」とかなんとかグダグダと書いている癖に、そこに出勤してきた人が真っ先にやることは「裏に行って隠れるように一服すること」なんです。

 

そんな業界なんですよみなさん。