フィットネスクラブの現場で運動指導をしていて、特に中高年男性の方に多い傾向として見られるのが
「こちらのアドバイスを聞いていない」または「キチンと話が通じない」ということです。
フィットネスクラブで働くスタッフはこのことが非常によくわかるだろうと思います。
なぜ伝わらないのか?ということをよく考えていくと、
利用者さん・会員さんがスタッフに話してくださることに
「中身がなくて回答に困るということ」と「自分で結論を勝手に決めてしまっている」という2点が挙げられると感じます。
中身がないというのは、お話しの内容がその人にとっての
「過去の栄光の話&現状解説」という場合が多いです。
・「20年前は懸垂が15回はできたのに・・・・」
・「昔はねぇ、俺も90㎏くらいまでベンチプレスが出来たんだけどね・・・」
などという”昔はすごかった”から・・・・
「今日懸垂やってみたら1回もできないんだよ」
「今は(ベンチプレスが)バーベルだけでも重く感じるんだよ」
という現状の解説が続きます。
これが非常に厄介なのです。何をどう言われようが
「今できる重さ・回数・やり方でやりましょう」ということにすべての回答は集約されますし、
「体力や筋力が年月を経てもずっと変わらないままでいる」と思っているならば、まずはそれが間違いだと認識していただかないといけません。
それがなかなか認識してもらえないため、または自分でそれを認めたくないという理由で「昔はね・・・・今はね・・・・」の連続になり、こちらは「そうですか、そうですか、ではこれをやりましょう」の連続になります。
そして、適切なフォームや重さの設定をしてやってもらうと、多くの方がそれを嫌がります。つまり「いや~これはキツイね!もう少し軽いところからでいいね」などというような発言をされて、負荷設定が甘い、効果が薄い方のトレーニングを選択してしまいます。
さんざんお話しいただいた「昔は・・・」の体力・筋力と今のご自分の状態にギャップを感じていらっしゃるのならば、「キツイ!」と感じる負荷で行うことが一番良いトレーニングなのに、それを拒否されるのです。
まさに「自分で結論を作っている」「これが自分には適切だと自分で決めつけている」ということになります。
スタッフやトレーナーに質問をされたにもかかわらず、昔の自分と今の自分の解説をして、適切なトレーニングを教えてもらっても理解しようとせずに、自分で結論を決めてしまっているのです。
これでは、何にもなっていない。
アスリートの活躍に「喝だ!」「あっぱれだ!」と言っても何にもなっていないのと同じです。