スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

パーソナルトレーナーたちの今後とは(人気パーソナルトレーナーの登場と業務委託契約)

昨日の内容を続けます。

 

フィットネスクラブにおいてパーソナルトレーニングというサービスが登場するとそこで働くスタッフが「パーソナルトレーナー」として活動するようになります。

そうすると当然のように人気者になるスタッフが出てきてお客様が集中するようになります。

 

月に50万円から100万円という売上をあげるトレーナーが出てきます。

女性のボディメイクトレーニング指導の元祖と言っても良い尾関紀輝(おぜきとしあき)氏は嘘か本当か、一日に60分のパーソナルトレーニングを10本、月に300セッションのトレーニング指導を行っていたと自身のウェブサイトに記載していました。

(ここについて掘り下げて考えてもいいですが止めておきます)

 

技術や知識があるということもありますがそれ以上に、そこで働くスタッフとして、お客様からの印象に支えられている部分が非常に大きいのではないかと、当時を振り返ると改めて思います。

ホストのような見た目のカッコよさということも多少なりともあるでしょう。そして特に何も考えることがない業界人や施設管理者たちはパーソナルトレーニングをまるでマッサージのように「30分でいくら、60分でいくら」という時間単位での販売形式で売り出します。

(この形式は明らかにまちがいだと今でも私は考えています)

 

今でも30分3000円、60分6000円が

パーソナルトレーニングの料金の相場ですが、人気のトレーナーにはその単位のお金が一気に集中することになります。

実際は各フィットネスクラブにいる人気スタッフへ

ファンが支払ってくれた支援料に近い形式で、

同じ施設で活動する他のトレーナーたちに同様の金額(売上)が発生しているわけでないのですが、頭が悪い施設管理者やフィットネス本社で働く頭が悪い人たちは「パーソナルトレーニングというものが有料サービスとして売り出せる」と勘違いして正式に(といっても実際の販売方法や宣伝媒体は子供にも伝わらないレベル)パーソナルトレーニングを販売し始めます。

他店ではどんなことをやっているかを観察して、まるでアジアのどこかの国のようにモノマネすることが得意なフィットネス業界人は、一部の人気者に集中している売上金額を見て「パーソナルトレーニングはこんなに儲かるのか」と勘違いをして、「うちでもやろう!」と安直に同じことを始めてしまいます。

 

ところが実際には期待するほどの売上が上がるはずもなく、パーソナルトレーニングの販売よりもより多くの会員数を確保することのほうが大事なことに気が付き、パーソナルトレーニングの販売はますます雑な扱いになっていきます。今でも手書きの予約台帳で予約を取っているクラブのあるくらい、その傾向は残っています。

ところが、頭の悪いはずのフィットネス業界人がなぜかこの時に頭を働かせ(悪知恵)を働かせ、たとえ少ない売上でも施設が儲かる仕組みを思いつきます。

 

それが「業務委託契約」です。

 

個人を一事業主としてパーソナルトレーニングという業務を委託する形式です。

この形式であれば、従業員として雇用しているわけではないので各保険料や手当て、交通費等を払う必要はありませんし、何しろ給料を払う必要はありません。

トレーナーが稼ぐ金額の30~50%を施設へ払ってもらう形式で契約し、残りの金額を委託料として払い、それをトレーナーの収入にしてもらえば、たとえ売上が少ないトレーナーであっても施設へわずかながらお金が入ります。

人件費0円で利益が生まれるこの仕組はフィットネス業界が思いついた(他からパクってきたのだと思いますが)業界内最大の発明です。

 

この仕組は人気トレーナーからは歓迎されました。

それまでは正規雇用の従業員だった人気トレーナーはどれだけ売上を上げても収入は固定給です。業務委託契約であれば支配人などへ出世しなければ得られない額(あるいはそれ以上)のお金を稼ぐことができますし、従業員ではなくなりますから、自分の好きな時間に仕事をして休みとるもの自由、サラリーマンとしての縛りから開放されるまさにいい事ずくめの働き方です。

 

現在でも多くのフィットネスクラブで働くパーソナルトレーナーはこの業務委託契約で働いていますし、悪知恵の働くフィットネス本社の人たちは、「ジムに立っている時間はアルバイト契約」、「レッスンやパーソナルトレーニングをしている時間はその時だけ業務委託契約にする」というなんとも狡っ辛い手法で人件費をできるだけ安く抑えることに余念がありません。