スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

ランナー、ジョガーが増えたので改めて有酸素運動について確認してみます。

フィットネスクラブの他、運動施設の休業や閉鎖に伴い

明らかにランニング(ジョギング)をしている人が増えましたね。

 

むしろ増えすぎというくらいで、あの山中伸弥教授もランニング中にもフェイスガードやマスクの着用をする方が良いなどという注意喚起をしているほどです。

 

フィットネス業界と言えばここ数年は圧倒的な筋トレブーム、ボディメイクブームでしたが、ここに来てランニングにフィットネス市場が大きくシフトしています。

まあ、もともと日本人はマラソンが好きですけど。

 

ここで改めて走る、泳ぐ、歩く、などの有酸素運動についておさらいしてみます。

 

 

有酸素運動とは・・・・

主要三大エネルギー代謝の内の有酸素系代謝でエネルギー産生と消費を行う運動。

 

代謝経路1 リン酸系:クレアチンリン酸をクレアチンキナーゼで分解してATPを作る。

 

代謝経路2 解糖系:筋中のグリコーゲン、または血中のグルコースをピルビン酸まで分解(変質と呼ぶべき?)する過程でATPを産生する。このATP産生作業の流れでピルビン酸は最終的に乳酸になる。筋トレして「利いたー!」とか「パンプした感」が出るのはこの乳酸によるものが主。

乳酸が溜まったこと(血中乳酸濃度の上昇)が脳へのシグナルになり、成長ホルモンが分泌される←これが加圧トレーニングの肝の部分!つまり加圧トレーニングとは乳酸を溜めさせる「行為」だということ。

解糖系代謝が行われるのは、ミトコンドリアの中のクエン酸回路 なので「クエン酸を飲むと疲れにくい」とか「疲労回復になる」という謳い文句でサプリが販売されている(最近はあまり目立たなくなったが「カラダ燃える」とかがそれ)

 

代謝経路3 有酸素系代謝※ココ:1と2以外の代謝経路。体内の糖質、脂質、たんぱく質のすべてを分解することでATPを作る。1・2と違ってこの場合は分解に「酸素」が必要なので「有酸素系」と呼ばれる(1と2は「無酸素系代謝」)。また、同じく1・2と違って代謝経路(エネルギーの元)に脂肪”も”使われるため、この部分が強調され「有酸素運動は脂肪燃焼に効果的!」と言われている。酸素を使ってエネルギーを作るというのは「物が燃えること=物質が酸素と結合して熱を生むこと」に非常に良く似ているため、「脂肪燃焼」と呼ばれるようになった。(この語源は製薬会社各社がかつてアミノ酸配合スポーツドリンクを積極的に広告した時に打ち出した言葉だと個人的には思う。「燃焼系♪燃焼系♪「アミノ式」♪のCM by 仲間由紀恵 だったはず」)

 

一般的に1と2は強度が高い運動=キツイ運動として見られ、それに比べて有酸素は「低強度」と見られる(単純に代謝経路から考えるとそれで正しいけど、スロトレなど選択肢はあるし、レジスタンストレーニングをきちんと理解すれば「筋トレ≠キツイ」だとわかる←伝えるべきはここか?)

低強度=誰でもできるということで、「運動」の代名詞として日本人の多くが実践しているのがウォーキング(万歩計を付けて一日一万歩くようにしている)、ジョギング、スイミング(水中ウォーキング)。フィットネスクラブではスタジオプログラムが大人気(「グループパワー」とか「ボディパンプ」と筋トレプログラムも有酸素ですからね)、トレッドミルも利用順で時にはケンカが起こるほどみんな大好き。

最近では「自分の汗まみれの姿が隣の人から見えにくくて良い」ということで暗い部屋の中での有酸素運動(ボクシングやサイクルが主)も人気。

 

ATP産生のために「たんぱく質の分解」も行われるため、筋肉が減ってしまう要因にもなることからボディビル、ボディメイク系のトレーニーは有酸素運動に積極的ではない。減量の時に「取り入れる」程度。

 

世間の一般的な「有酸素運動」のイメージ=「健康に良い&ダイエットになる運動」

 

 

では、より専門的に有酸素運動を見てみるとどうか?

有酸素運動=「心臓血管系の機能向上が見込まれる運動」

有酸素運動=「心臓血管のトレーニング」

有酸素運動=「持久力が向上するもの」

などというのがより正確な表現ではないか?

 

有酸素運動が人体に与える影響(パフォーマンス)として明確にデータが出ているもの

・最大酸素摂取量の増加(VO2max)

  →1分間に消費できる酸素の最大量 多いほど「息が上がらない」ということになる。

・AT(無酸素性作業閾値)の上昇

  →運動を続けるうちにだんだんと強度が強くなる感覚が出てきて、呼吸も辛くなってくるポイント=AT がレベルアップしてより高い位置になること。

酸素の摂取が追いつかず、解糖系代謝を使うようになってしまう運動の境目がより遠くなる。

簡単に書けばこちらも「すぐにバテないようになる」とか「スタミナがつく」ということ。

ATとほとんど同義語でLT(乳酸性作業閾値)とVT(換気性作業閾値)がある。

 

上記の2点から派生する結果として人体に起こる変化は・・・・

・肺での酸素交換(ガス交換)能力の向上:そりゃそーですよね

・心拍出量(一回拍出量)の増加=安静時心拍数の低下:つまり「心臓が強くなる」ということで平常時の血圧が下がる。平常時心拍数も下がる。

※体脂肪が消費される量が増加するなどとは専門書ではあまり書かれていない!!

※書かれているもののあるけどオマケ効果というくらいものでしかない

 

何をどう考えても「バテない体になる」または「疲れにくくなる」ものが有酸素運動

 

アスリートは積極的に走り込みなどをしているのはスタミナをつけるため、アスリートが行っている競技の練習がきちんとバテずに、集中して行える基礎体力作りとして有酸素運動は行っている。

筋肉が減ってしまうとは言え、実際はそうでもないことも頻繁にある。

 

 

有酸素運動によって中性脂肪や血糖値の異常、血中コレステロールのバランス不均衡や糖尿病、あるいは動脈硬化などの内科的疾患?血液系の異常が解消されるのはなぜか?

これについてのメカニズムに関する記述が専門書には少なく、統計的なデータが主。(「有酸素運動を定期的に行ったグループは、そうでないグループに比べて血液関連の各数値が改善しました」みたいなやつですね)

 

 

個人的な推測

有酸素運動によって、全身の血流が促進される。

・入浴や部分的温熱などの他動的なものとは違い、意図的な筋活動と関節運動が行われるため促進さえる度合いがより大きい(水泳などは全身の関節がフル稼働)。

・それによって肝臓への血液還流量(門脈循環と言っていいかも?)が増加する。

・解毒や異物除去、血液中のあらゆる物質のバランス調整を行ういわば浄水器のろ過機のようなものが肝臓なので、ろ過機に何度も血液が通されることで、血液がキレイになってゆく。

・それによって血液系の正常化が促され、「健康な状態となる」

ではないだろうか。

 

以上です。