スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

スポーツジムに支配人が要らない理由

新型コロナウイルスによる営業停止の影響から

かろうじて黒字が再び出始めたフィットネス企業もありますが、多くは以前として赤字垂れ流し状態です。

 

数か月前には業界最大手であるコナミスポーツが16店もの運営施設を閉館するということがありましたが、それに近い出来事が今後どこかでまた起こる可能性は非常に大きいです。

フィットネスクラブ(世間的にはスポーツジムですが)は、もっと言えばフィットネス業界はこの状況で何をすべきなのか、シンプルに考えればコストカットです。

カルロス・ゴーン並みに人減らし、つまり従業員を解雇して解雇して、契約を打ち切って打ち切って、一番コストがかかる人件費を削るのです。

 

このブログでも既に何度か触れていますが、

人件費としてカットするべき対象物、または

対象となる従業員or業務委託も含めた契約者とは施設の管理者、つまり一般的に支配人や店長と呼ばれる役職の者たちであるべきです。

なぜかというと、いわゆる支配人と呼ばれる人たちはスポーツジム(フィットネスクラブ)という施設において「何もしない」し「何もできない」からです。

 

以下に列挙してみます。

 

まず支配人たちは自分でトレーニングをしません。

できませんし、やり方も知らないでしょう。中にはご自身でも筋トレを実践していたり、選手として大会に出る(ボディビルに限らずマラソン大会なども含めて)という人もいますが、まさに「そういう人”も”いる」という程度です。

ですから「人に教える」などということができるわけがないのです。

運動施設で働く人が運動アドバイスができないんですね。

 

支配人たちはスタジオレッスンをしません。

できませんし、やり方も知らないでしょう。まあこちらは責任者になる前の平社員の時にはやっていた人も多いでしょうが、本社で数字ばかり見てた人やお客様相談室とか言って電話番をやってた人なんかが支配人になることも多くあり、そういう人は当然ながら「人前で何かをする」なんてできるわけがありません。

 

支配人は施設の現場に立ちません。

ジムスタッフと呼ばれる筋トレエリアに立って接客や利用者の案内をする係りは、ほとんどがアルバイトスタッフです。プールの監視員も同じですね。

正社員スタッフが現場に立つことは頻繁にありますが、支配人が現場に出ることはありません。

 

支配人は電話に出ません。

ジムエリアに立たない、筋トレ指導もできない、スタジオレッスンもできないのならば事務所内で会員の方々や外部からの問い合わせ電話に積極的に出てくれるのか?と思いますが、それもしません。

やはりこちらも「そうじゃない人”も”いる」し「積極的な人”も”いる」という程度です。大半の支配人は電話に出ません。

 

支配人は見学者様のご案内や入会の受付をしません。

フィットネスクラブはフロント業務担当スタッフとジム・プール担当スタッフで業務がわかれており、それぞれにチーフと呼ばれるよくわからない役職の担当社員がいます。入会しようかと興味を持って新しく施設にやってきたお客様をご案内するのは、そのフロントチーフに研修を受けたアルバイトスタッフであることが大半です。

支配人は、何もしません。

 

自分でトレーニングをしない

スタジオレッスンもしない

現場に立たない

電話に出ない

お客様のご案内もしない

・・・・・・・・・・・・こんな従業員、必要ですか?

 

普通に考えて、要らないよね♪

コーラとコロナウイルスと

「コーラを飲むと骨が溶けるよ」
子供の頃に確か学校で?そう教わったのを今でも覚えています。
これは言葉だけ見ればいわゆる「トンデモ」ってやつです。
 
まず、当たり前ですがコーラには骨を溶かす成分は含まれていません。
ぶどう糖果糖液糖とカフェインと炭酸とカラメル色素を混ぜた液体に骨を入れてどれだけかき混ぜても溶けるわけがない。
次に、コーラを飲んだとしても飲食物は食道から肛門までを通っていくわけですから、直接的に骨にコーラが触れるわけでありません。
コーラの成分が吸収され、それが血液と共に骨まで行き届いてそれで骨を溶かす、というのなら骨よりもはるかに柔らかい組織である腸管、血管などの方が先に溶けるんじゃないでしょうか?
少し知識がある生意気な子供がいたら
そんな風に質問して先生を困らせるかもしれません。
あるいは
「非科学的なことを言うな!」
「間違った知識を子供たち植え付けるな!」
「コーラの危険性を過度に煽るな!」
などと言ってくるモンスターご両親もいるかも知れませんね。
 
ポイントは「伝え方」です。
 
コーラを飲んでも骨は解けませんし、
すぐに何か身体に影響が出るものではありません。
人によっては毎日のように飲んでいても元気にしている人もいるでしょう。
しかし、コーラという飲み物の成分が”科学的に”体に与える影響を見ると「飲まないに越したことはない飲み物」であることは確かです。
そしてそんな飲み物の味を小さな子供のうちに覚えてしまうと、ただの水やお茶よりもコーラのように砂糖がたっぷり入ったジュースの方ばかり飲んでしまうようになるかもしれない、つまり依存症になってしまう可能性が出てきます。
 
小さな子供に
「人体の構造とコーラに含まれる成分が与える影響について」
などというテーマで講座を聞いてもらってもいいですが、
「コーラを含めたジュース類ばかり飲むことにはリスクがあること」
「できれば飲まないようにして欲しい」という願いを込めて
「コーラを飲むと骨が溶けるよ」と伝えるんです。
つまり子供が本能のままに動いてしまわないようにある意味で恐怖を煽って行動に制限をかけるわけですね。
 
さて、新型コロナウイルスです。
日々の感染者数
疲弊した医療現場の声や状況
重症化して弱った姿をした感染者
ちょっと前だと「最悪の場合、日本でも42万人の死者が出る」などと言っていた人もいましたが
こうした報道に対して
まるで先ほどのコーラクレームモンスター親のように
「非科学的なことを言うな!」
「コロナが怖いものだと過度に煽るな!」
「インフルエンザの方がよほど感染者が多い!間違った知識を植え付けるな!」
という人達がいますね。
 
ここでもコーラと同じようにポイントは「伝え方」です。
新型コロナウイルスというのはまだまだその全貌がわかっていない未知のウイルスです。
どんどん変異型が生まれていますし、昨年12月には南極大陸でも感染者が確認され、つい最近ではエベレストのシェルパも感染が確認されたほど、「どこからうつったんだよ!?」と声をあげたくなるほど感染力が強いわけです。
無症状で済む人もいますが、志村けんさんや岡江久美子さんのようにあっという間に生命力を奪われて亡くなってしまう人もいます。
重症化して亡くなる人も出るのはインフルエンザも同じですが、インフルエンザの場合は「空気が乾燥する冬の時期に流行する」「誰もが気軽に受けられるほど副作用リスクが少ない予防接種が定着している」「タミフルという専用治療薬もある」など、その特徴への理解と対処法があります。
 
コロナは夏には感染力が鈍りましたっけ?
そんなことなかったですよね。
 
ワクチンはひとまず出来てきたようですが、今出回っているメッセンジャーRNA型のワクチンというのは、いわば遺伝子組み換えワクチンのようなもので、摂取したことによる人体への影響も考慮すべきものであり、ましてや「コロナ版タミフル」のような治療薬はまだ完成してていません。
 
今後どんな影響が出るかわからないウイルスのパンデミックに対して、医師または一般人よりは専門知識がある人が世間に伝える時にはどう伝えたらいいでしょうか?
「全然問題ないっすよ!弱い人は死んじゃうのは仕方ないけど、ほとんどの人は無害なんでフツーにしてていっすよ♪」
と言えばいいでしょうか?
違いますよね。
 
「何が起こるかわかりません。気をつけてください。」
というべきに決まってますよね?
 
そしてその際には
「ほとんどの人には無関係かも知れないくらいの最悪の事態を想定」して話をするというのはわかりますよね?
 
北朝鮮からミサイルが!と速報が出るのは
「最悪の場合、日本の国土のどこかに飛んでくるからもしれないから」ということで大げさに警報を鳴らすように速報をだすわけですよね?
 
未知のウイルスに対しても警鐘を鳴らす側の人というのは
「42万人も死ぬかもしれないよ!」と
大袈裟に言うものなんです。むしろそれが勤めですよ彼らの。
 
地震調査委員会の予測では
M8~9クラスの地震が首都直下で、または南海トラフ
今後30年間で70~80%の確立で起こるらしいですよ。
 
「恐怖を煽るな!」って怒りますか?
 
確かに恐怖を煽ってはいますよ。
でもそれはコーラで骨が溶けると同じように
「最悪の事態」を想定しての警鐘と、危機回避のための行動制限を起こさせるために「必要なこと」なんですよ。
 
あなたが新型コロナウイルスの対策について
記者会見で全国民に情報共有する立場だったらどういいますか?
「インフルで死ぬ人の方が多いから大丈夫ですよ」
「今まで通り、好きなことをして楽しんでください」
って言いますか?
 
じゃあ、あなたの子供にもこう言ってください。
「コーラを飲んでも骨は溶けたりしない」
「大丈夫だよ!美味しいと思うなら好きなだけ飲んでいいよ♪」
ってね!
 
 

加圧トレーニングは確かに効果があるがそれはリハビリ効果としてのもの。

では加圧トレーニングの効果について改めて書いていきます。

 

加圧トレーニングについての訴訟に関する情報も

多くのトレーナーや加圧トレーニングを指導していたであろう人がブログで状況をネット上にアップし、疑問点を指摘してますがそれでも皆共通しているのは「加圧トレーニングは効果がある」ということです。

ただし、それは

楽して痩せられるダイエット効果ではなく

美肌、見た目のアンチエイジング効果でもなく

メキメキと筋肉が発達していく効果でもなく

「リハビリ効果」に関しての話です。

 

加圧トレーニングというとその宣伝文句に使われるのが「大量の成長ホルモンが出る」というもので、効果のほどがあるかないかの議論になっているのはその点なのですが、腕や脚の付け根にベルトを巻いて一定時間血流を制限し、その後緩めることで一気に血流の促進を促すという「加圧と除圧による効果」に関しては間違いなくあると言えるでしょう。

そしてその恩恵を最も受けられる、

つまり一番効果を実感できるというのは

・著しく体力が低下してしまった人

(高齢者、寝たきり状態の人、捻挫や骨折などの怪我をしてしまった人)

に対してです。

 

もう何年も前ですが

私が参加した加圧学会(そんなのがあるんですよ)だったか、

一般人も参加可能な医療系シンポジウムでのランチョンセミナーだったかで加圧開発者の佐藤さんが、当時のノルディック複合アメリカ代表選手であるトッド・ロドウィックさんが参加予定であった2014年の冬季オリンピック開催30日前に上腕骨骨頭部の骨折という大怪我を負ったものの、加圧によるリハビリを毎日続けてなんと30日後の大会に選手として出場したという話でした。

現在もその動画が残っており「KAATSU Global」というYouTubeチャンネルには同様の動画が数多くあるようです。

 

加圧学会で発表される数々の症例の中でも「加圧だからこそ」と思えるものはやはりリハビリ系のものでした。

ダイエット効果や何かのスポーツで好成績が出たという報告もありましたが、それらは「加圧だからできたことで他のやり方では出来ない」という程ではないものばかりでした。

 

そういったリハビリ効果としての加圧でポイントとなるのは

成長ホルモンというよりも、シンプルに「血流」

つまり血の巡りが良くなることにあると考えられます。

ヒトやその他の動物の血流というのは心臓の動きと全身の筋肉の収縮によって促されます。最近になってやっと筋トレが健康に良いということが世間一般に認知されてきましたが、筋トレというのは意図的に筋肉に力を入れたり抜いたりすることによって血流が促進されます。

ですから、単に筋肉が増えるとか大きな力が

出せるようになるということ以外に、

心臓が全身に血を送りやすくなる=血圧が下がる(訂正地になる)

血管が太く、また柔らかくなる=動脈硬化や脳・心筋梗塞の予防になる

などの様々なメリットがあります。

 

ただし、筋トレをする場合は

筋トレができるだけのコンディションが必要となります。腕立て伏せができるとか、しゃがんだり立ったりができる、あるいはダンベルを持って正しく動かすなどがそれに当たります。

そうしたことで筋肉に掛かる「負荷」が「血管の圧迫と解放」という現象を体内で作り出してくれることになり、怪我や病気で弱った身体の部位=血の巡りを良くする必要がある部分、に血が行き届くことになります。

 

ですから、十分な身体活動ができないとか

基本的な筋力が無いという人は

「回復のために負荷をかける行為」を十分に行うことができないということになります。

例えば脚の骨を折ってしまったとすると、スクワットなどできるわけがありませんし、歩くにしても杖を突いてゆっくりと歩くことになります。脚の曲げ伸ばし運動をしようとしても動かせる範囲はごくわずかになるでしょう。

回復のためのトレーニングとして必要な「負荷」をかけられないのです。

 

そこに登場した方法が「意図的に腕や脚を縛る」という方法でした。そうやって意図的に血流制限をするというのは先ほど書いたように、筋トレで力を込めたときに起こる現象と同じことになります。

力を入れて力むと筋肉が収縮し血管が圧迫され血流が制限されます。血管が浮き出るという人もいるでしょう。そしてそこから力を抜けば圧迫された血管が解放され、再び血の巡りが起こります。

つまり加圧で起こる現象というのはそのまま普通の筋トレでも起こる現象なんです。しかし加圧の場合でしたら「ベルトを巻くだけ」なので、極端に言えば腕や脚にベルトを巻き、そのまま何もしないで少ししたら緩めるということをすれば良いということになります。

 

ですから

十分な身体活動ができない状態にある人に対して

コンディションを回復させるために有効な筋トレに等しい

「負荷の掛け方ができる方法」が

加圧トレーニングだということになります。

 

加圧はその意味で、非常に効果的であり革新的な発明、発見であったと言えます。

加圧トレーニングが流行ったのは「効果があるから」ではなくて「客が来るから」

あまり世間的には有名になっていませんが、

過去に大ブームとなった加圧トレーニングについて数年前から集団訴訟が起きており、おそらく2021年4月現在も係争中(既に済んでいるかも知れません)の様です。

と言っても「加圧トレーニングそのものがインチキだ!」という訴訟ではなく、加圧トレーニングの開発者や資格の管理団体などが世間的に謳う「加圧による効果というものが誇大広告だ」という主旨のもののようです。

この点はまた入念に調べていきたいと思いますが、ここでは加圧トレーニングについて実際に指導していた身としての過去の経験について書きます。

つまり私は過去に加圧トレーニングインストラクターとして加圧指導を行っていた経験があるということです。

既に何年も前に資格は失効してしまい、現在は行っておりません。

 

加圧トレーニング、つまり

腕や脚の付け根にベルトを巻いて血流を制限し

関節を動かして血管内に乳酸を溜め

圧を抜くことで一気に血流を促すこと

の効果についてはあらゆる実例が報告されているようなので、「一定の効果はある」ということは間違いなく言えます。

しかし、その効果というものの多くが「骨折をしてしまったアスリートの競技復帰」や「低体力の高齢者」あるいは「大きな手術を受けた後で身体を十分に動かすことができない」という状態にある人のリハビリ的な症例です。

この点に関しては加圧は本当に有効な運動手段であり、ダンベルや自体重などのトレーニングに欠かせない「負荷」として「血流を制限する」という方法が編み出されたことは発明だったと言っていいでしょう。

※この点については次回に掘り下げます。

 

ダイエット効果、脂肪燃焼効果もあると判断できますが、そもそも体脂肪を減らすためには食事コントロールが絶対に必要だという原則がありますし、ダイエット効果があった例として紹介される人というのは

日常的にウエイトトレーニングをしていて、

さらに定期的に減量する習慣がある人

または

その反対で普段はほとんど運動をせず好きなものを好きなだけ食べて太っている人のどちらかがその大半です。

 

前者の場合、

「加圧をしてみたらなんだかいつもより身体の絞り具合が良かった」と感じる人もいるようですが、既にトレーニング習慣が身に付いていて食事も自己管理が出来ているからこそ得られた効果とも言えます。

後者の場合は

加圧トレーニングを行うとなると大抵はトレーナーがその人に付いて指導をするパーソナルトレーニング形式になります。ですから加圧だけでなくなんらかの食事に関するアドバイスや改善が求められることになり、加圧の効果というよりも「加圧を始めることがきっかけとなってその人の生活習慣そのものが変ったことによる効果」といった方がより正しい言い方になります。

 

今から約10年前に加圧トレーニングはブームとなり、その指導資格保持者も激増しました。私もその一人でしたが、実際に指導者としての講習を受け、自分で加圧を実践してみるとわかるのは「これって要は筋トレと同じだね」ということです。

先ほど少し書いたように「筋トレ」とは筋肉を発達、成長させるために色々な手段で負荷をかける行為です。その負荷の掛け方の一つとして加圧するという方法もあるといった程度です。

おそらくほとんどのトレーナーがそのことを理解しています。

熱心に加圧をやり込んだとしてもメキメキと筋肉がついてくるというわけではないことは、2021年現在でも加圧トレーニングのみで身体を作ったというボディビルダーが現れていないことがそれを証明しています。

 

一般的には普通の筋トレのバリエーションの一つに過ぎない加圧ですが、ではなぜこれほどまでブームになり、みんなが指導資格を求めて群がったのかというと、ずばり「申し込みがあるから」、言い換えれば「稼げるから」です。

実にシンプルです。

 

パーソナルトレーナーという仕事は一般的にはどこかの専門機関や団体が発行する指導者資格を得て行うもので、素人でも一日で取得できてしまうような「資格を発行する側が儲けるために作った資格」もあればテキストを入念に読み込んで真剣に勉強しないと認定が得られないような上級資格もあります。

 

しかし、どんな資格を得たとしても世間一般、スポーツジムへ来る人達にその意味が分かるわけではありません。

そしてジム運営をする側のフィットネス社員たちは「商品をどうやって売るか」ということなぞ何も考えていませんから、ジム館内にはまるで「トレーナーの履歴書か?」といいたくなるような紹介ポスターしか張りません。それで申し込みがあると思っているのです。

 

トレーナーは自慢げに保有資格としていろいろな名前の資格名をプロフィールに記載しますが、その意味が分かる人などいるわけもなく、集客に頭を悩ませることになります。現在も同じ状況にいるトレーナーは多いでしょう。

 

そんな中で、プロフィールにこれさえ書いておけば自分から面倒な営業活動をせずともトレーニング指導の申し込みが来るという資格が登場しました。

それが加圧トレーニングだったのです。

 

加圧トレーニング開発者の佐藤義昭さんという人は非常に上昇志向の強い性格なようで(実際にはわかりませんけど)、加圧というメソッドについて東大の教授と共に研究し、ゴルフのシニアプロだった杉原輝雄さん(既に亡くなられています)や藤原紀香さん、杉本彩さんなどへお願いして加圧トレーニングの広告塔になってもらうなど、とにかく加圧という方法で天下を取ろうと動いていました。

今ではどうなったか知りませんが、以前に私が受講しに行った講演会では米軍やNASAに加圧を売り込みに行ったという話もしていました。

 

ただ、開発者のそういった熱心な(野心的な?)活躍のお陰で加圧はテレビや雑誌といった当時の主流メディアで取り上げられるようになりました。

また、お笑い芸人みたいなよくわかないタレントのヒロミが加圧トレーニングジム経営をしていることが世間的に知られるようになったこともあり、

末端のパーソナルトレーナーたちにも「営業不要で客が来る」という甘い汁が垂れてきたことは事実です。

あまり知られていませんが、高島礼子高知東生夫妻(当時)も加圧ジムを経営していたことがあります。

 

フィットネスクラブ館内にプロフィールを張っても

一日中施設の中で営業活動をしても

全く客が来ないまま棒立ちで過ごすという日々から

加圧トレーニングができるとなると途端に申し込み殺到です。

 

だからみんなが加圧トレーニング資格を欲しがりました。

だから加圧トレーニングは流行ったのです。

効果はまあさておき、単純に売れるから、稼げるからです。

今までの収益構造と営業形態が全て仇となっている大型スポーツジム

つい前月末にフィットネス業界最大手であるコナミスポーツ

運営する施設である「コナミスポーツクラブ」をなんと16店も閉鎖するというニュースが比較的大きな話題となりました。

反対にほとんど話題になっていませんが、日テレ傘下のティップネスが最も力を入れているであろうと思われる新宿の施設「ティップクロス」も閉館となりました。

 

既に経済情報サイトなどでもそれについての多く記事が書かれていますが、これは言ってみればリストラです。直接的な従業員削減という意味でのリストラではなく、どうしても採算が取れない施設を削減し、それに伴う業務委託インストラクターへの委託料の削減、そしてアルバイトスタッフへの時給の削減するということでしょう。

正規雇用の従業員は雇用は守られるにしても、彼らの収入源である「お店の売上」が全社的に下がってしまうわけで(既にフィットネス業各社は赤字ですが)、昇給などが見込めるはずもなく、あるいは現場の指導もできない・スタジオレッスンもできないという支配人連中は実質的には「窓際」という状況にいて、その日その日を消費しているだけになってしまっているかも知れません。

 

一般的に企業でリストラが行われるというのは末期症状に近く、倒産するというところまではいかなくとも、「一番勢いがあって儲かっていた時期」を超えるくらいの成長はもはや見込めないと言えるでしょう。

ソニー富士通パナソニックなどの大企業も既にそうなっていますから、フィットネス業界だってそうなることは目に見えています。

それでもソニーくらいの巨大組織になれば腐っても鯛ということで傍から見ればまだまだ優良企業なのでしょうが、フィットネス業界が動かす市場規模は本当に微々たるものですから、「あそこってまだやってたんだね?」と思われる程度までに規模が縮小していくことが予想されます。

 

新型コロナウイルスという自然災害を踏まえてスポーツジム、またはフィットネスクラブを見直してみると、業界がやってきたその商売のやり方が全て裏返しになって自分たちの首を絞めにかかってきていることがわかります。

 

まずフィットネス業界はスポーツジムを巨大化させました。

世間的には今でも「スポーツジム」とか「スポーツクラブ」と呼びますが、我々業界人はフィットネスクラブと呼びます。

運動をする場所としての「ジム」を超えて、生活に密着する場として「フィットネス」という概念を生み出し、運動施設以外にも銭湯並みの風呂を付けたり、サウナを付けたり、ゴルフレンジを付けたり、と運動以外のサービスを充実させました。

まるでリゾート施設です。

 

そうなると、自然とそのリゾート会員権を買う客層というのは高齢者になります。そもそも昼間から時間があって運動やトレーニングをしに施設へ来ることができるなんて現役世代には無理という基本原理もありますが。

新型コロナウイルスに対して重症化を恐れ、人が集まる場所へ行くことに最もナーバスになっているのは高齢者です。

 

次に、フィットネスクラブは「スタジオプログラム」という運動形式を目玉商品として扱うことで商売を成り立たせてきました。

会員制で月謝制という形でお金をいただくこの業界にとってスタジオプログラムはある意味で欠かせない商品でもあります。

スタジオに30~50人前後の会員を集客し、それを継続させるというのは一定数の会員を辞めさせずに会員で居続けさせること=お金をずっと払っていただけるということになります。施設によっては健康のために最も重要だと言ってよい筋トレのマシンを申し訳程度にしか置いていない、フリーウエイト器具なんかも隅っこにちょろっとだけ、というところもザラです。

ところが、目玉であるスタジオはまさに密閉空間であり、三密に加えてインストラクターも声を張り上げてレッスンをしますから飛沫も飛びまくりという危険地帯になってしまいました。

 

そして肝心の施設で働く人についてです。

フィットネス業界は出来るだけ人件費という経費を削減するために、現場に立つスタッフを時給アルバイトに、スタジオレッスンをするインストラクターを業務委託契約に、とあらゆる手段を講じてきました。

ジム・スタジオ・風呂&サウナ・プール・ゴルフ、となんでもそろった巨大店でもそこに勤務する正規雇用の従業員はだいたいどこも5名前後です。

フィットネスクラブにはトレーナーやインストラクターの顔写真がずらりと並んでいて、その数はどの施設でも10~30名になりますが、そのほとんどがバイトか委託なんですね。

少子化と人口減少という背景もありますが昨今の人手不足によってアルバイト募集にもなかなか応募が無く、インストラクターという仕事もなり手が増えていかず、そこに来てのウイルスということで、正社員たちの負担を減らしてくれる要因が激減し、ただでさえ少ない給料にも拘わらず社員の仕事量は増えるということになりました。

 

主となる客層、施設、人、そのすべてが裏返しになって跳ね返ってきているのが現在のフィットネス業界です。

 

長名と書きましたが、こうなった責任は「人」であり、さらに言えば支配人やチーフなどと呼ばれる正社員たちの仕事に対する気持ちと考え方にあります。

 

だってスポーツクラブで働く社員のほとんどがタバコ吸ってるんですから。ウェブサイトには「健康について」とかなんとかグダグダと書いている癖に、そこに出勤してきた人が真っ先にやることは「裏に行って隠れるように一服すること」なんです。

 

そんな業界なんですよみなさん。

インストラクターたちが辞めない理由:承認欲求が満たされ続けるから

かなり間隔があいてしまいましたが、前回の続きです。

日本のサラリーマンの平均年収、または平均所得と比較してもお世辞にも良い給料がもらえるというわけではないのがインストラクターという仕事です。

インストラクターと言えばフィットネス業界ではそれだけで「スタジオインストラクター」の意味となり、鏡張りの部屋(スタジオ)の中でエアロビックダンスや格闘技エクササイズ、ヨガなどを指導する先生のことを指します。

我々は略してイントラと言ったり、IRと表記したりします。

 

前回の記事で、一般的には若くて元気な人たちがやっていそうな仕事であり、客層もそういった人たちだろうと思われるフィットネスクラブ(スポーツジム)というところが、実はもっと年齢層が高い人達が主要な客層であり、指導する先生(インストラクター)も同じように50~60代(もう少し年が若いかも知れませんが)が多いということを書きました。

単純に考えれば、ある程度の年齢になったらインストラクターを引退といいますか、その仕事を辞めて何か別の仕事か、フィットネス関係での他の業務へシフトしていけばいいのではないかと思うでしょう。

人は年齢で決めつけてはいけないし、動ける身体でいられるならば続けてしかるべきだとも言えますが、それでもインストラクターという仕事は体力勝負ですから、一般的に年齢を重ねるごとにきつくなるはずです。

 

インストラクターという仕事はそもそも給料が安く、その大半が正規雇用で固定給として給料が発生しているわけではなくて、今流行りのウーバーイーツのように業務委託として1レッスン当たり○○円という計算で給料(正確には報酬)が発生します。

ウーバーイーツの仕事のあり方が問題になっていますが、我々フィットネス業界人からみると「もしかしてウーバーってウチらの真似した?」と思えるくらいずっと前から業務委託として余計な手当てや社会保険などを一切払わずに、レッスン担当業務料金だけをインストラクターへ支払ってきました。今もそうです。

 

ですから、インストラクターとして稼ぎを増やしたければ、ウーバーで何件も何件も配達を担当するように、担当レッスンの数を増やしていくしかありません。

明らかに体力的にきついはずです。

 

しかしながら、多くのインストラクターたちは、辞めません。

担当レッスンの数を減らして、またはヨガなどエアロビックダンスに比べて身体を動かさなくて済むプログラムへシフトしたりしながら年齢を重ねてもインストラクターで居続けようとします。

ですから、現在ではヨガインストラクターが供給過多で余っているほど、もうみんな「○○ヨガインストラクター」の資格を持っています。

 

さて、その理由は何なのかというと、記事タイトルの通り「承認欲求が満たされるから」ということになります。承認欲求などと言うと堅苦しいですが、簡単に言えば「チヤホヤされる快感がたまらないから」ということです。

ZOZOの代表だった前澤さんという人が100万円を配るという企画をやっていましたが、いくらお金を稼いでも、周囲から相手にされなければ空しいものであり、注目を浴びるためにバラマキをやったわけです。

逆に言えばお金は無くとも周囲の人々から必要とされる感覚は強烈な快感で、仕事のやりがいもここにあると考えて良いと思います。

やりがい程度に収まればいいのですが、そこにどっぷりハマってしまうのが大半のインストラクターです。

 

スタジオという独特の空間で鏡を前に音楽をかけながらみんなで身体を動かせば、それは楽しいに決まっています。そこにわずかな数とはいえ人(客)が集まってくるというのは、自分はちょっとした人気者なのだと思わせてくれる状況です。

さらに人気が出てくれば担当のプログラムが始まる前には参加者の列ができ、整理券なども配られるようになります。

そうなると、もうすっかりイントラは芸能人気取りになります。

ライブイベント会場で開始を待つファンの元へ現場入りするアーティストのような気持ちになってしまうのは、スタジオプログラムという物自体の構造から仕方がないものでもあるのですが、自分の担当レッスンに多くの人が集まる、さらにリピーターになってくれる、そして拍手をくれてみんなでさわやかに汗をかいて、、、

というのはSNSで数千個という単位で「いいね」が付くことに等しいくらいの気持ちよさがあります。

だから、どんなに安い給料で、身体が辛くても、辞められないのです。

 

インストラクターという仕事をしていれば、そうやって「いいね」が集まる日が毎日続くわけです。さらに今ではまさにSNSがあり、

仕事を終えて「さあ、これからビールを飲みますよ~!みんさんお先に~」という一言とビール写真をアップすればそこにまたファン化した会員たちからのいいねと同業者からのいいねも集まってきます。

 

承認欲求が満たされまくりになるのです。

 

ですから、インストラクターはインストラクターを辞めません。

いつまでたっても、です。

フィットネスクラブってこんなところ

まだまだ新型コロナウイルスによる影響が続いていますが、

つい先日にはエニィタイムフィットネスのオープンを知らせるチラシが自宅ポストに入っていたりと、小型ジムに関してはコロナ禍にありながらもたくましく生き残っている施設も多いように感じます。

かつてはフィットネスクラブと言えば「総合型の大型施設」を意味していました。プールがあり、スカッシュコートがあり、ゴルフレンジがあり、スタジオがあり、、、、という感じでいわゆる筋トレをするジムは「ジムエリア」と呼ばれる「一つの区画」に過ぎませんでした。

今ではその「ジムエリア」の部分だけが切り抜かれ、トレーナーたちが自分のお店を持つ開業ラッシュが続いています。

近年顕著なのはマンションの一室くらいまで規模を小さくしたジムです。パワーラックという器具(のようなもの)が一つあれば(あとダンベルを少し)十分な筋トレ、ボディメイクは可能であることがだんだんわかってきたようで、徹底的にコストを抑えての出店も可能になってきました。

というかそのくらいでもどうにかして集客すれば何とかなってしまうのです。

 

私が職場としているのはそういった小型ジム・パーソナルトレーニングジムというものではなく、昔ながらの総合型施設ですが、ざっくりとどんなところなのかおさらいしてみます。

 

まず客層です。

運動するための施設というと、若い人が多いところだと思う人もいるでしょうが、もっとも頻繁に施設を利用するのは高齢者です。

実は若い人(会員)というのはフィットネスクラブにはあまりいません。

健康への意識が高く、運動することの必要性も感じていて、尚且つ昼から時間があるのはやはり高齢者です。

20代30代の人も少なくはないのですが、ファッション的にトレーニングを始めてみるもののすぐに飽きて会員を辞めてしまうことが多いです。

また、5年10年と会員で居続ける利用者たちの「お友達同士感」になじめず、会員同士のコミュニティ化が起こっていない「エニィタイム」などの24時間ジムを選ぶことも多いです。

 

次にトレーナー・インストラクターについてです。

「インストラクター」とは主にスタジオの中でエアロビックダンスやボクササイズなどを指導する人のことですが、実はこの人たちも若い人というのはあまりおらず、40代後半から60歳手前という年齢層の人が多いのです。

そもそもフィットネス業界というところ、そしてインストラクターという職業が「稼げる職業」ではないのであまり若い人が入ってきません。

そして高齢インストラクターたちは(とっとと引退して後進に道を譲ればいいのですが)、あの手この手で業界に居続けようとします。

※この点については次回に掘り下げます。

 

ところが「トレーナー」となると、これは若い人が多いのです。

圧倒的に20代が多いでしょう。これは「トレーナー」とは名ばかりの「アルバイトスタッフ」だからです。居酒屋などの飲食店と変わらず、スタッフの呼び方をトレーナーとしているだけで、大学生やフリーターを働かせているだけに過ぎません。

 

そして次に「人気の運動方法」について、

会員の多くは何をしているのかということですが

これはなんと「ランニングマシン」です。

みんな走っている、または歩いているんですね。

このブログの1回目の記事で触れたことですが、会員の多くは毎月の会費を払い、毎回靴とタオルと着替えをもってフィットネスクラブまで行き、「歩くか走るかのどちらか」を一番熱心にやっているのです・・・・。

または前述したような高齢インストラクターが指導するスタジオプログラムですね。筋トレなんてその合間にちょろちょろっとやるくらいの人が大半です。

 

一般の人が思っているよりも「さわやかなところ」ではないかも知れません。