ここ数年はパーソナルトレーニングという言葉が一気に定着し、言葉だけでその意味が伝わるようになりました。(この現象に最も貢献したのはライザップです)
それと同時にここ数年でパーソナルトレーニングジムを店舗として自分で開業をするパーソナルトレーナーたちも非常に多く出現してきています。
自分のジムをやるということはトレーナーにとってはまさに夢だと言えるでしょう。と同時に「やったところでうまくいくだろうか?」という不安から一歩を踏み出せないでいる人も多いかと思います。
確かに、ジムの開業だけであればそれ自体は決して難しいことではありません。保育士は誰でもできるものだとは思いませんが、開業は誰にでもできます。
すべては金の問題であり、金さえあればできることだからです。
手段の良し悪しを抜きに考えれば、どうにかこうにかお金を集めてテナントを契約し、トレーニング器具を入れればもうマイジムの完成です。
問題はやはり経営です。一定の利益を出していくということ=継続的な集客がいかにできるか、という点がやはりネックです。
多くのトレーナーがジムの経営、生命線である集客手段を何によって行っているかというと、「自身の人気」に頼っていることが大半です。
スポーツクラブorフィットネスクラブでパーソナルトレーナーとして活動し、人気が出て高い売り上げを継続的に持続しているトレーナーが開業をするという流れが一般的ですが、大半のジムはそうした人気トレーナーが自身の顧客を引き連れて外へ出ていく形式で開業をします。
すでに顧客を抱えて独立するというのは、ビジネスにおいては何の問題もなく、知名度というものは選挙でも同様に、物事の成功には重要な要素です。
知名度を上げるためにボディビルやベストボディ系のコンテストに出ているという人も多いでしょう。
しかし、それは開業時に良いスタートが切れるということであって、長期的な集客ができるかどうかということとは別の問題です。
スポーツクラブ所属時代には「自分の力」によってお客さんを捕まえていたと思っていても、実はクラブ側が高額な広告宣伝費をかけて施設まで人を呼び寄せてくれた力は大きいのです。
最近では新規の入会者に対して初回からパーソナルトレーニングを受けて体験をさせるサービスも定着してきているため、なんとなくやっていればどんなトレーナーでも自然と固定客が付いてくるという状態ができています。
お客さんを捕まえてリピーターになっていただくための個人の力の大きさも重要ですが、結局は会社の力の大きさには敵わないと言えます。
オープン当初はおしゃれでかっこいいウェブサイトだったのに2~3年後には経営はできているものの、明らかに安っぽいサイトになっているとか
そのジムに所属するトレーナーの顔ぶれがしょっちゅう変わるとか
ジムの代表と務めるトレーナーが自身のジムにほとんどおらず、外貨獲得のためにセミナー講師としてのドサ周りに余念がなかったり、などということがほとんどのパーソナルトレーニングジムで見て取れる光景です。
開業するのは基本的には良いことなのですが、見方を変えれば「それしか道が残されていない」という側面もあるということです。
道が開けたようで、実は袋小路に追い詰められているだけなのかもしれません。