前回に続いて、「最もつらい四十肩五十肩の症状」が現れる
「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」について説明していきます。
カルシウムが結晶化したものが肩の腱板という細い筋肉に
溜まることで炎症反応が出て、それが悩ましいほどの
痛みを発するということを前回はお話しました。
問題はカルシウムがなぜ溜まるかということですね。
まず筋肉が力を発揮して収縮する時にはカルシウムが使われるということが挙げられます。
脳から筋肉を収縮させる命令が神経を伝わると、
筋原線維を取り囲む「筋小胞体(きんしょうほうたい)」という
ところからカルシウムイオンが放出されます。
放出されたカルシウムイオンが、筋収縮のスイッチ(トロポニンと言います)
にくっつくと筋肉が収縮するのです。
四十肩五十肩に腱板というのは細い筋肉が関係していることは
今までお伝えしてきましたが、その細い筋肉は使うことがなければ
他の筋肉と同様に筋力は低下していきますし、大きさも細くなっていきます。
腕の重さというのは体重の約6%ほどになりますので
60㎏の人であれば3.6㎏になります。
年を重ねるごとに体重が減って痩せて行くようであれば腕の重さも
軽くなっていくわけですが、一般的にそんな上手くはいかないですよね。
運動をしないで、食べる量が変わらなければ体重は増えていきますが
反対に筋肉は弱くなって行きます。
つまり、腕の重さはどんどん重くなっていくのに対して
肩の筋肉である腱板は弱くなっていきますが、その重くなった腕を支えるために
より大きな力を出さなければいけないことになります。
先ほど説明したように、
筋肉が力を発揮するとき(筋収縮するとき)はカルシウムが使われるわけですから
腱板は年々重くなっていく腕を支えるために
カルシウムを出しっぱなしにしなくてはならなくなります。
腕が重くなっていく時間経過にに対して
腱板が力発揮をしていく量が増えていき、「もう腕を支えられない!」と
腱板がギブアップをしてしまうタイミングが
人の年齢にすると40歳~50歳という年齢になる頃だということですね。