スポーツジムで働くトレーナーblog

フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしているトレーナーです。トレーニング関連の話、フィットネス業界の話、健康関連の情報・ニュースなどについて書いています。

改めて「自律神経とは何か」の確認

今年も11月、年末と言っていいシーズンに入りました。

 

この時期はとにかく風邪やインフルエンザなどに注意する時期、体調を崩さないように注意しなくてはいけない時期です。

 

体調の乱れというと「自律神経の乱れ」という言葉を

よく目にしますが、それっていったい何なんでしょうか?

分かっているようでわかってない自律神経というものについて自分自身の再学習のつもりで確認していきたいと思います。

 

そもそも自律神経とはどこにあるのでしょうか?
非常に端的に書けば、「背骨の中」ということになります。

脳の中から尾骨(一般的には「尾てい骨」と呼ばれます)まで、
いわゆる後頭部からお尻の所まで、背骨の中を

縦に走っている神経が2本あり、それぞれが交感神経と副交感神経、二つ合わせて「自律神経」と呼ばれます。

 

たったこれだけであってもそれを知れば
「背筋が伸びた正しい姿勢を保つこと」や

「姿勢を保てる筋力をキープし続けること」が自律神経へ余計な負担をかけないことへ繋がりコンディションキープに役立つことがわかるかと思います。

 

そして「自律神経とは何をするのか」というと
こちらも端的に書けば「体内の環境を整える」になります。

自律神経は内臓や血管など、体内の臓器やその他の組織全てをコントロールしていて
その最大の特徴は「常に独立して働き続けていること」、つまり意識的に動かすことができないということです。

 

例えば、何か物を食べたとして、それを消化させないで
しばらく胃の中に入れておくということを意図的にはできませんし、
いくら「汗をかこう!」を意識して力を入れても自分の意志で汗を出すことはできません。

 

自律神経は何らかの刺激に対する反応で働きます。
口の中に食べ物が入ってくれば唾液が出るというように
光、音、モノに触れる、何かを見る、など様々な刺激に対して
それぞれどんな反応が生命維持のため必要、適切であるかを判断して
執り行っているのが自律神経なのです。

風邪などを引いて体調を崩すと「普通の状態」でいることの
ありがたさを感じるものですが、その裏には自律神経の絶え間ない仕事ぶりが
あるということなんですね。

 

自律神経の一つは「交感神経」です。

交感神経とは簡単に言えば身体を興奮させる作用をする神経です。
興奮というと少し大げさですが、主に日中に身体をシャキッとさせて
活発な動作を行うため、目が覚めた状態にさせるものと考えればいいかと思います。


目が覚めた状態になるためには全身に血液が行き届いている必要があるため
心臓がドキドキと活動的に動き、血流量を増やします。
脈拍や心拍数、そして血圧も必然的に上がることになります。
目の瞳孔も開いてより多くのものをしっかりと見ることができる状態になります。

現代人の我々にとってはもはや命を懸けて狩りをして獲物を取ってくる
という必要性はありませんが、交感神経の「興奮」や「緊張」という作用が
仕事に取り組んだり何かを考えて作り出すといったことに対して、
集中力を高めるために役立っているということになります。

フィットネスクラブで運動する、特に筋トレをするというのはまさに交感神経全開なんですね。

基本的なことですが、これを踏まえると
「自宅でエクササイズをする」ということが思いのほか難しいことがわかるかと思います。

自宅というのは多くの人にって「リラックスの場」です。
交感神経を休めてダラダラ、ゴロゴロして過ごすのはある意味当たり前の空間なわけですが
そういった場で気持ちを切り替えて何かエクササイズをするというのは
考えている以上に労力がいる行為なのです。

通販等でエクササイズ器具を買ってはみたものの
すぐに使わなくなって自宅に置きっぱなしになっているという方は多いかと
思いますが、交感神経を働かせない場でその反対の作用を起こそうとすることが
難しいからという言い方もできるんですね。

 

もう一つ自律神経は「副交感神経」です。

副交感神経が働いている状態というのは「リラックスしている状態」です。
心臓の動きが穏やかになって、気持ちも落ち着いている状態ですので
脈拍や血圧も抑えめになり、筋肉も緩んだ状態になります。

また、内臓の動きが活発になり蠕動運動(ぜんどうんどう)という
蛇がニョロニョロと動くような"うねり動作"が促されます。
これによって食べたものを消化し、栄養素を吸収しながら
腸へと送っていくことができるわけです。
「食休み」という言葉がありますが、食事をした後はすぐに動くよりも
少しじっとしている方が消化と吸収が促され、胃腸への負担にもなりません。

 

究極のリラックス状態、つまり副交感神経が
100対0とも言える割合で優位になっている状態とは睡眠です。
ですから、入眠の良し悪し、眠りの深さ、目覚めの良さなど
眠りに関するそれぞれの状況によって自分の自律神経が
交感、副交感のうちのどちらが優位になっているか、
切り替えがスムーズにできているかを判定する指標にもなるわけです。

リラックス状態を作るというと一見、ただゴロゴロしていれば大丈夫
というように簡単にできそうな印象がありますが
副交感神経を働かせるために必要なことは相反作用がある交感神経を
一日の中で働かせること、つまり一日に一回はシャキッとする状況を
作り、生活の中にメリハリを持たせることが適切な休息のためには非常に重要になります。

 

身体をリラックスさせる方法はネット検索すれば無数にヒットしますが
ある程度の緊張感や疲労を身体が感じることが、すべての前提として
無ければ、あらゆるリラックス方法を試してみても実感する要素が
少ないものになる場合も多々あります。

身体を休めるためにも、緊張が必要なんですね。
筋トレをするというのはその意味でも非常に効果的であると言えます。

 

次回にもう少し続けてみます。